AC北斗の拳と言うゲームがある。修羅と呼ばれるキチガイ達が集い、人力でTASのようなプレイができて初めて上級者と呼ばれることを許されるという、はっきり言って頭がおかしいと言われても何も言い返せないユーザーの集まるゲームだ。
通常の格闘ゲームにおいて強キャラと呼ばれるキャラ以外存在せず、その中において最弱と呼ばれるとあるキャラクターでさえ他のゲームに持って行けば当然のようにアーケードにおいてラスボスを張れるという文字通りの意味でキチガイじみたゲームだ。何しろ、全てのキャラにおいて相手の体力を全て削り切ることができる必殺技が存在しているだけでなく、その必殺技を使わない通常攻撃やゲージ技などを使いこなすことができればそれだけで体力を十割削れるコンボと言う物すら存在している。それも、多少相手キャラを選ぶことになるかもしれないが全てのキャラでだ。
……と言っても、そのゲームが今ここで何かしらの出来事に関わってくるという事ではない。ただ、そのゲームでは日常的に起きていたことが似たような形で起きているというだけの話だ。
「召雷弾!」
「
「お師匠さまぁぁぁぁ!?」
……まあ、なんと言うか、千年アイテムとやらによって召喚されたのを見て、自分でもやってみたらできてしまった。召喚したのは神の名を冠する存在で、オシリスの天空竜と言うらしい。ドジリス? 知らんな。なんだそいつ。
特殊能力に相手の能力を下げ、下がった能力によって相手に傷をつけることができなくなった魔物は破壊されると言うのがあるらしいが、さっきから色々と召喚される魔物のほぼ全てが砕け散っているのを見ているとその下げ幅はだいぶ大きいようだ。近場から便利そうな奴を選んだ結果こうなるとか、凄まじいな。色々な意味で。
「ちょっ、あの、あの人私のお師匠さまで!」
「……つまり、苦しませようとしないで一息で殺してやれと?」
「違う! 違うよ!? 話を聞いてからにしてって言いたいの!」
「こんなか弱い女性に向かって武器を構えるような相手に手加減は必要ないかなと」
「か弱い女性? どこどこ? 全然見当たらないなー」
「……弟子の不手際は師の責任だったな。オシリス、あの魔術師に召雷弾を」
「やめて! 流石に直撃したら死んじゃう! いくらお師匠さまでも死んじゃう! 私が話をしてきますからしばらく大人しくしててください!」
そう言ってホヒ(仮)はお師匠様(仮)に事情を説明し始めた。自分が王宮から抜けだしたらいきなりよくわからない物の効果で砂漠の真ん中に飛ばされて、そこでスフィンクスと会って助けてもらったはいいものの食糧が足りずに行き倒れていたところを俺に拾われて何とか生き延び、食料を提供される代わりにこの辺りの観光にいい場所を教えたり案内したりしながらやっと王都に帰って来たら、偶然お師匠様(仮)ともう一人の神官が裁きをしているのを見かけて、その見物をしていた俺が道具無しでできるかもしれんとか言いだして見ていたらお師匠様(仮)がやってきてそこで実行したらほんとにできてお師匠様(仮)の呼び出した魔物がほぼ一撃で打ち破られると言う事態に。
……うむ、正直何がどうなっているのかわからん。説明が上手くないのか、それとも単に起きていること自体が意味わからないことなのか……前者だな。間違いない。
で、お師匠様(仮)の方の言い分としては、暫く前にいきなり姿を消して探し回っていた自分の弟子がよくわからん誰かに連れまわされているようだったから声をかけたところ、その相手が全身をマントで隠した小柄な不審者(俺)だった所為でこんな風になっていると言う事だった。
まあ要するに、総合すると大体全部ホヒ(仮)の所為だと言うことになるな。