いきなり始まった決闘だが、ポケモンの世界で視線が合えばバトルするようにエジプトでは何か頼みごとがあったら決闘と言うルールがまかり通っていたりする。およそのルールは決まっていて、同じカードは最大三枚まで。デッキは最大60枚、最低40枚。決闘の結果に文句は言わず、内容についても文句を言わないこと、と言うルールになっている。
なんでこんなルールになったかと言うと、最大枚数と最低枚数が決まっていなかった頃。俺はデッキを五枚にしてエクゾディアパーツ全部を速攻揃えて勝負が始まった瞬間俺の勝ちにした事があったせいで最低40枚と言うルールができたのだ。同じように、同じカードは最大三枚までと言うルールについてはエクゾディアパーツ以外を全て『強欲な壺』で固めた結果こっちにターンが回ってきた瞬間に勝利が確定するようにしてしまったことが何度かあったせいで作られた。
要するに、大体俺のせいだ。そして多分、またこういうルールは増える。主に俺のせいで。
「先攻はどっちにする?」
「……」
クヌムは静かに俺を指差す。どうやら俺が先攻であって欲しいようだ。あるいはレディファーストとでも言いたいのか。どちらにしても羊の頭のままでは人間の言葉はうまく話せないのだろう。そう言う事だと取って、決闘を開始する。
……しかし、これは酷いな。ハメ技:SSSのせいか、それとも豪運:SSSのせいか……まあ、どちらでも構うまい。
「俺は手札からモンスターを裏守備表示で召喚。さらに手札を三枚伏せ、手札から『
「……」
何もできねえよこの野郎と言う念がひしひしと伝わってくる。が、これ勝負なのよね。しかも禁止カードの無い奴。ちなみに手札からデッキに戻させたカードは『スケープ・ゴート』だった。
「では俺のターン。ドロー。手札から『八咫烏』を召喚。『八咫烏』と『メタモルポッド』で攻撃。『八咫烏』は相手のライフにダメージを与えると次のターンのドローを封じる効果がある。俺はこれでターンエンドだが、『八咫烏』は俺のターンのエンドフェイズに手札に戻ってくる。何かやることはあるか?」
「じゃあもう一度。ドローして『八咫烏』召喚から『メタモルポッド』と『八咫烏』で攻撃、ターンエンドで『八咫烏』は手札に戻り、クヌムのターン。何もできないまま俺のターンが来て、ドローしてまた『八咫烏』召喚から『メタモルポッド』と『八咫烏』で攻撃。カード二枚伏せてターンエンドで『八咫烏』手札に戻ってクヌムは何もできないで俺のターン、ドローして『八咫烏』召喚の『メタモルポッド』と『八咫烏』で攻撃、ターンエンドで『八咫烏』戻ってクヌム。何もできないまま俺で『八咫烏』召喚。『八咫烏』と『メタモルポッド』で攻撃して終わり、と」
終わった瞬間殴りかかられた。避けたら更にキレられた。解せぬ。