俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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裏切りの魔女、気が抜ける

 

 復讐は完遂した。その内容を知り、その効果を知った未来の私は頭を抱えてうなり声をあげ最後にはどこか遠いところを見ながらすぅぅと消えて行ったけれど、まあ問題なく全ては終わった。

 私の嫌がらせはちゃんと実を結んだし、イアソンは王を辞めさせられてアルゴー船を眺めていたら転覆したアルゴー船に潰されて死んだそうだし、ヘラにはしっかりと思い知らせることができた。私はもう、満足だ。

 実行犯であるエロスはヘスティア様の実験に付き合わされて精神に異常をきたしたそうだし、エロスに命令を下したアフロディテもなんやかんやでお仕置きは受けることになったらしい。具体的にはポセイドンの試作のカレー漬けにされたらしい。はっきり言ってあまりおいしくなかったそうだ。

 

 そして、私の復讐は終わった。その結果、私の背に刻まれたステータスは大いに変動した。

 

 

 

 名前 メディア・リリィ

 Lv.7

 力:I0 耐久:I0 器用:I0 敏捷:I0 魔力:SS8601 魔王:SS 悪運:S 復讐者:SSS【機能停止】 耐異常:A 狂化:C【機能停止】 暗殺:B 逃走:D

 

 

 《魔法》

 【神代魔術】

 ・およそあらゆる魔術を使うことができる。詠唱はそれぞれ変わる。

 

 【英霊召喚(タスケテワタシ)

 ・自身が英霊となった存在を呼び出し、一時的に使い魔とする。

 ・使い魔となった英霊は触媒によって性質を変える。

 

 

 《スキル》

 【魔力を上げて物理で殴れ(マジカルノウキン)

 ・魔法系のステータスの伸びに対して絶大なる補正

 ・魔法系以外のステータスが伸びなくなる

 ・魔法系のステータスが全てのステータスを兼ねるようになる

 ・魔法系ステータスに補正

 ・あらゆる行為が魔法系ステータスの伸びに繋がるようになる【隠し効果・メディアには見えない】

 ・このスキルの発動時、あらゆる行動に魔力の消費がかかる。【隠し効果・メディアには見えない】

 

 【呪詛(ヒトヲノロワバアナフタツ)

 ・他者に対して様々な呪いをかけることができる

 ・呪いが解かれた場合、呪いをかけた者に同種二倍の呪いが降りかかる。

 ・適切な方法で掛けなかった場合、効果は減少する

 ・穴二つを回避し続けていると時々凄いことになる

 ・負の感情を持っていると効果が上昇する

 ・このスキルを保有したまま無念の死を遂げた時、魂全てを燃料として呪詛を掛ける。【隠し効果・メディアには見えない】

 

 【(アッシュ・グレイ)

 ・気力を失う

 

 

 ……そう、私をこれまで支えてくれていた復讐者のスキルが失われたのだ。代わりに今の私の事を指示しているだろうスキル【灰】を手に入れたけれど、これはきっと何の得にもならないスキルだと思われる。

 目的で合った復讐を終わらせた結果、私は何かをしようと言う気力を失った。復讐の炎は消え、後に残るのは灰ばかり。まさに今の私の事を示しているスキルだと言える。

 この状態が、いったいどこまで続くのかはわからない。私にはまだこれからやりたいことも見つかってはいないし、どうすればいいのかもわからない。けれど私の身体は以前よりも神に近いそれになってしまっている。Lvを上げた副次効果としてそうなっている私の身体は、人間の物とは比べ物にならないほど長い寿命を私にもたらすことになるらしい。

 それだけの長い時を、私だけで生きて行くというのはあまりに辛い。いつか私の事を知る者もいなくなる。そうすれば、私は文字通りに一人きりだ。

 私は、裏切りの魔女。私が何と言おうと多くの人間達は私の事をそう呼ぶし、完全に消してしまうこともできないだろう。だからこそ私は国を追われたのだし、そう呼ばれるようになる原因が神と、そしてイアソンだったのだから復讐の道に走った。それに夢中になっている間は、ただそのことを考えるだけで済んでいたから。

 

 ……しばらくは、ヘスティア様を頼らせていただこう。それからの事は、また考えて行かなければいけない。何をするにしても、まずは休みたい。

 


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