八回目。難題を出したのはポセイドン。いい感じの香辛料を持ってきてくれ、と言う物。カレーは諦められなかったらしく、とにかく調合を繰り返して行ける調合と駄目な調合を確認する作業に入ろうとしたらしい。だが、流石にギリシャ神話圏にスパイスは存在せず、泣く泣く諦めたと言う話だ。
ポセイドン的には無ければ無いで俺に頼むつもりだったらしく、実際に頼まれてそれなりの量をくれてやった覚えがある。それを運んだのがアルカイオスで、それで代用としたそうだ。
九回目。出題者はまたもポセイドン。デメテルとの間に子供を儲けたんだが、様子を見てきてくれ、との事だ。ちなみにだがこの子供はけして無理矢理の物ではなく、ぶっちゃけゼウスが強姦した後にめそめそしていたデメテルを慰めていたらいつの間にかそういう空気になって……と言う事らしい。一応しっかりと話を聞いておいてよかった。そうでなければポセイドンが人体標本の形になって釜茹でになっていたところだ。
……神の出汁ってどんな味なんだろうな? なお、子供たちは元気だったらしい。仕事が忙しいのはわかるがちゃんと顔出せ馬鹿者。
十回目。出したのはなんとアポロン。ヘリオスとの同一視も無くなり、文化活動も殆ど俺が抑え、病と医術を俺に先取りされ、音楽ですら俺と権能を分け合って俺が曲そのもの、アポロンが詩の部分としているような状態で何を望むのかと思えば、花の植え替えだった。
ただ、その花はアポロンが愛したヒュアキントスと言う少年の血から生まれたと言う花だったので、本気で大事にされていたらしい。花畑となっていたが、一部に樹の影がかかってあまり元気に育ってはくれなさそうだという事で、アルカイオスに植え替えを頼んだそうだ。
まあ、アルカイオスは花ではなく樹の方を退かしたそうだが、それはそれでありだったらしい。
五回目のゼウスの難題と八回目のポセイドンの難題を聞けなかったと言う事で二つの難題を追加され、十一回目。俺の親父からの出題で畑仕事の手伝いをしたそうだ。だが、農耕神の畑仕事に追いつくことができるまでという条件のもとで行われたからこその難題だったようで、三か月以上もかかったらしい。自分で野菜が作れるようになったと若干喜んでいたようだが、そのあたり本当にどうなんだろうな?
そして最後。ゼウス。流石にもうふざけないだろうと思うだろう? ここで諦めるような奴がヘラが妻として居るのに浮気を繰り返す訳が無いんだよな。
そう言う事で俺出陣。No.1愚弟が難題を出す前に黙らせて、そして出した難題が『アトランティスに行ってオリハルコン持ってこい』だった。アトランティスはもう既に海底に沈んでいたが、アルカイオスはこの難題を何とかクリア。そしてそのオリハルコンを使って俺がアルカイオスとその妻メガラーの左の薬指にちょうどいい大きさの指輪を作ってやったんだが、まあその辺りの事は蛇足でいいだろう。どう使うかはメガラーの方に神託として一方的に出しておいたから問題ないだろうしな。
俺は竈の女神で、家庭の守護神。アルカイオスには是が非でも幸せな家庭を築いてもらいたいもんだよ。
ちなみに俺は今の生活に満足している。ちょこちょこ起きる厄介ごともなかなかいいスパイスのようなものだし、ベルを使って行く散歩のようなものも中々楽しい。これで満足できないなら、それは恐らく日常の大切さを知らないのだろうな。
なお、アルカイオス的に一番辛かったのはへっ様の難題だった模様。