ゼウスの雷と言えば、ギリシャ神話最強にして最大の威力を持つ武器にして権能である。
その雷は世界を焼き、世界を生んだカオスをも焼き払うことができる程の物。文字通りの意味で世界を焼き払うことのできる技だと言える。
まあ、そんな必殺技と同等の威力の炎を吐き出すことのできる怪物がギリシャ神話にはいたりするんだが、その怪物―――テュポーンは現在存在していない。当然だ。ティタノマキアにて自分の子であるティターン神族をタルタロスに封印され、巨人たちを率いてギガントマキアを起こし、それに負けて最後にテュポーンを産むはずのガイアは、今も普通に自分たちの子供と一緒に暮らしている。それどころか、最近と言うか一週間ほど前に第5803391回ティタノマキアにてデメテルと飲み比べをして勝ち名乗りを上げ、その次の瞬間に限界がきてぶっ倒れて後日まるでゾンビのようなうめき声をあげながらウラノスに背負われて帰って行ったのだから、テュポーンを産む理由がない。俺のいるこのギリシャ神話の神々は実に平和な暮らしをしている。
……黄金の林檎? アップルパイって美味いよな。カレーに入れるだけが能じゃないし、甘いカレーってのは時々ならともかく毎回は飽きる。風味付けには素晴らしい物なんだが。
そんなゼウスの雷(本気)を、つい最近作った金属を使った先端以外は片刃の剣で受けてみたら、割と簡単に両断できた。そして雷を固めて作られていたゼウスの槍が綺麗に真っ二つになった。
「( ゚д゚)」←見物してたポセイドン
「( ゚д゚)」←見物してたヘラ
「( ゚д゚)」←見物してたデメテル
「( ゚д゚)」←見物してたハデス
「( ゚д゚)」←見物してたレアー
「( ゚д゚)」←見物してたクロノス
「( ゚д゚)」←見物してたガイア
「( ゚д゚)」←見物してたアポロン
「( ゚д゚)」←見物してたヘファイストス
「( ゚д゚)」←見物してたアフロディテ
「( ゚д゚)」←見物してたアテナ
「( ゚д゚)」←見物してたアルテミス
「( ゚д゚)」←槍を斬られたゼウス
全員があっけにとられたと言う表情で俺の事を見ている。まあ、俺だっていきなり目の前で雷斬やられたらこうなる自信がある。雷の最も遅い先行放電の部分は秒速200km程度。だが、この先行放電によって電気の通る道が繋がった瞬間に起こる帰還雷撃は光速の1/3。凄まじく速いのだ。俺は追えるが。
で、しかも俺はゼウスの槍の真ん中を切り裂いている。先行放電はゼウスの槍で言えば穂先の前で突き出された槍に押し出される空気のようなもの。それを切り捨てた所で大したことにはならないが、一度受けた上で凄まじい速度で走り抜ける帰還雷撃を切断すれば、今やった通りこうなるわけだ。少々痛かったが、できると言う事はわかったし儲けものだろう。
……それに、上手いことやれば武器である雷そのものを掴んで受け止められそうだと言う事もわかったし、その時にはいい感じに電子か陽電子を手に纏わせれば恐らく無傷のままでも行けると言う事もわかった。収穫だ。
ちなみに、この後ポセイドンに頼んで津波とついでに海まで切り開き、ヘラに頼んで契約と言う結びつきを断ち切り、デメテルとレアーに頼んで大陸を叩き割り(そのあとすぐに戻してもらった)、ハデスに頼んで死の概念を切断し、クロノスの持っていたアダマスの大鎌と真正面から打ち合えることを確認し、太陽神であったがそうではなくなったアポロンに
( ゚д゚)
( ゚д゚ )
( д )
と明らかに白目を剥いていたのが何柱かいたので、カレーでそれを元に戻すことにしたのだ。実際戻った。カレーはきっと万能に違いないな。