俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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竈の女神、創作する

 

 アルカイオスは大変なものを残していきました。あいつの技術です。

 まあ、記憶の範囲を弄るんだから当然弄る前の記憶をある程度理解した上でやらないと何がどう違っているのかわからなくなる。だからこそ、俺のところに来るまでの記憶を一度保存しておいたわけだ。

 まったく、アルカイオスは本当にいい奴だ。わざわざ俺にこれほど面白い物をよこしてくれるとはな。

 まあ、そういう訳でアルカイオスの持つ技術を解析し、今の俺に出来ないものを適当に引っ張り出して眺めていく。やった事がないから出来ない、と言うものが多いが、大体はやろうとすれば出来そうなものばかり。極一部、力技すぎてやるのに苦労しそうなものもあったが、ベルでも出来なくはなさそうだ。

 ただ、こんな所で星の白金の世界のような方法でのほぼ同時の攻撃を見ることになるとは思ってもみなかった。身体能力任せの超高速連撃。神代において光速と同速度で動くものは存在するが、しかしそれは大概雷として表される。そんな中で文字通りの光速度はほとんどいないだろうが、雷を両断すると言う逸話から雷速程度ならば実在できる可能性もある。

 しかし、アルカイオスの武器の先端はまさしく光速度。ほぼ止まった時の世界で武器とそれを振るう腕だけが凄まじい速度で動き続けていた。

 これと同じことをするには、今のベルでは少々反動が怖い。出来なくはないだろうが、その反動で腕あたりが痛くなりそうな気がする。それを考えなければ十分できるだろう。痛そうだが。

 痛ければ回復させればいい。おそらく筋肉が損傷するような、いわゆる筋肉痛のような状態になるだろうから、うまく治せばより強くなるだろう。俺自身が光になれば光速は簡単に出せるし、その状態で前に武器を突き出すなりなんなりすれば一瞬だけならほぼノーリスクで光速度を超えられるが、光になると体重が減るから一撃の威力は凄まじく軽くなる。鋭い武器でもあれば暗殺なんかには使えるかもしれないが、打撃主体の奴ならやらない方がいいだろう。

 

 ちなみに俺は武器も使うがあくまで無力化する時ばかりだ。関節壊したり筋肉貫いて動きを止めたりするなら潰したり千切ったりするよりは刺したり切ったりの方がいい。治しやすいし。

 そんで動きを止めてから話を聞いて壊すならちゃんと壊せばいいしな。どこぞの元太陽神のように。

 

 しかし、武器か。今の所持っている武器は接近戦用の短剣に投擲用の短剣に太陽の光の有害かつエネルギーの高い不可視の光だけを集めて打ち上げた槍にあらゆる形を取る金属塊。若干武器じゃない気がするがロードローヴァーとメタルローヴァーの二台のバイク。そしてたっぷりと用意してあるルーン用の石やら木片やらだな。平らな部分がないと刻みにくいからいくつか用意してある。が、暇ができたら内職ついでに作っているから足りなくなったことはない。

 近距離用に短剣と魔術。中距離に槍と投擲剣、そして魔術。遠距離に光槍ぶん投げるので一応できるのとあと魔術。移動用にバイクと魔術。防御用に何か実体のあるものを作っておいた方が良いかもしれんな。魔術は実体があるかどうかは微妙な所だし。

 ……魔術が便利すぎるな。どの距離でもどんな目的でも基本的に魔術が使える。だからこそ、魔術が封じられても問題なく機能する物を用意しておかなければ。全てを魔術でやっていて、魔術を封じられたり破壊されたりすればあっという間に壊れてしまう。それは困る。

 だからこそ、魔術無しでもある程度以上強度と硬度を併せ持つものを持って来なければならないし、無ければ作らなければいけない。

 新しい物質を作るのはそれなりに得意だ。そうやって作ったものが役に立つのか、あるいは役に立たないのかまでは作ってみなければわからないが、作り方さえわかるのならばいつか役に立つ可能性がある。作るだけ作って覚えておこう。

 


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