俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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竈の女神、土下座される

 

 男にはやらなきゃならない時がある、という言葉はよく聞くが、そんなものは社会に出ればいつでもだれでも当然のことでしかない。ある程度以上昔の人類は多くが男が外に出て働き、女は家の中で仕事をしていたからこそそういう言葉が産まれたのだろうが、なんとも不平等な話だ。

 まあ、実際には女の方も家の中という社会を守っていかなければいけない以上、何らかの制約があったり仕事があったりするものだが、そんなものはそれを見ていない存在からすればわからないもの。男と女と言う大きな差があるのだから、お互いの事をしっかり知ろうとしなければ関係は進んで行かない訳だ。

 

 つまり。

 

「いきなり知らない女の家に上がり込んで竈を貰おうとしていたとか、相手が俺じゃあなければ大問題だぞ? 相手が俺だったからこそこんなことになっているんだが、一応言っておく。この程度で済んで本当に幸運だったと思っておけよ? 次やったらお前の身体から肉を削ぎ落として燻製にした上でヒュドラに食わせてやる。骨の方は出汁を取ってスープにしてお前の墓となるだろう虚数空間に放り込んでやるからな? 理解しとけ?」

「ハイモウシワケアリマセンデシタスベテワタシガワルカッタデスユルシテクダサイナンデモシマスカラ」

 

 今『何でもする』と言う言葉が聞こえたが、俺は別にホモではないので言及しないでおく。ここで言及すると変な物が涌きそうな気がするしな。

 

 まあ、何にしろ今話題の大英雄が色々とやってくれるようだし、だったら一つやってみてもらいたいことがあるんだよな。

 実の所、アルカイオスは武術面ではけして強くない。その類稀なる身体能力によってほぼあらゆる武と言う物を粉砕できるからだ。事実、アルカイオス……ヘラクレスとしての逸話の多くはその剛力や速度を称える物ばかりで、技術として素晴らしい物を持っていたと言う記述は極僅かな物にとどまるのだ。それも、主に弓の腕であり、弓自体もヒュドラの毒矢を用いていたためにほんの僅かな掠り傷でさえ他者を死に至らしめると言う話が多い。

 実質的に、ヘラクレスが持つ強さの大部分を占めるのは武人としての強さではなく獣としての強さであると言う事になり、それは同時に技術的な物を身に着けた場合にはさらなる強化を見込めると言う事でもある。

 

 そう言う事で今回紹介するのはこちら。『睡眠学習装置ゴ=ミ』。本人が寝ている間に頭の中に様々な情報を覚え込ませ、忘れないようにさせることができる優れものだ。

 ただし、使っている最中には使用者には凄まじい悪夢が降りかかるので使用はよく考えて行う事。現代日本で言えば富士の樹海に行くレベルだな。行くだけなら大したことは無いが、暫く彷徨うと本当に死ねる。一度かなり本気で大変な事になったからな。一番高い木のてっぺんから町が見えなかったらあそこで死んでいたかもしれん。

 とは言ってもそれはまともな一般人での話だ。神格、しかも最高神である天空の神ゼウスの血を引くアルカイオスなら全く問題なく使いこなすんじゃないかと思っている。アルカイオスは発狂癖があるが、発狂してもまだ誰も殺してないからな。男のシンボルが大変な目に合うだけで。

 

 ……今度同じような呪詛をゼウスにかけるか。ヘラがたまに愚痴りに来るし、仏の顔もってのはとっくに通り過ぎたし、やってもいい気がしてきた。

 ただ、ヘラはあれで結構ちょろいからな。何度も謝られたりしたら簡単に許してしまってお仕置きにならなさそうだ。そもそもヘラを相手にする分には全く問題の無い呪詛なわけだし、浮気がバレた時はヘラも普通に怒るからある意味では問題ないと言えばないのか? そもそも抑止力としての存在だし。

 

 流石に呪詛のルーンは存在しないと言うか知らんからな。新しく作るか、あるいはルーンは諦めて陰陽術やらで作るかのどちらかだ。魔術はヘカテーが抑えているからな。魔術以外で何とかしないといけないのが面倒だ。

 


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