俺は竈の女神様   作:真暇 日間

120 / 330
竈の巫女、崇められる

 

 村ができた。繁栄した。崇められている。どうしてこうなった。

 ……いや、それはいい。些細なことだ。精神的には元々神だし、崇められる事にはそれなりに慣れている。崇めてくる対象の九割が蜂だがな。数が多いから仕方ないっちゃ仕方ないんだが。

 近場に塩の取れる所が無いが、日本自体が縦長で狭い島。少々移動すれば簡単に海岸まで移動することができる。

 そして、海水から塩を取る方法はそれなりに覚えているし、竈の神としての権能が使える俺ならば多量の海水を煮詰めるのも造作なくできる。それを人間が再現するには少々難しいところもあるがな。まずは鉄の大釜を作らねば。竈は三十秒あれば簡単な物が作れるしな。

 

 俺の塔の周りの村は、少しずつ大きくなり始めている。初めは大して大きくもない……どころか、廃村寸前の村からなんとか着の身着のまま逃げ出すことができたが食べるものもなく、水はなんとかなったものの食べるものを得るために無理をして少しずつ数をすり減らして行った村人たちと言うような状態だったのだ。無論、雨風を凌ぐ場所などあるわけもなく、塔の根元で震えていたものだが、数日のうちにとりあえず全員が風雨を凌ぐ場所だけ作り、あとは勝手に開拓しろと放置した。

 結果としてその数少ない村人たちは家を増やし、平野を拓いて田畑を作り、俺の用意した種を蒔いて野菜や穀物を育てている。そうして作られた作物のうち、それなりの量を献上されることになっている。加護を与え、土地を貸し、田畑の作り方を教え、外敵から身を守ってやる。そこまでやっているんだから税のように毎年そこそこの量を巻き上げても問題ないはずだ。俺が改良した種だから、ちゃんと蒔けば蒔いた量の大体500から600倍は収穫できるはずだ。2000年代の米に届いたか? そこが目標なんだが。

 届いてなかったら届いてないで届くまでやる。一度決めた目標はちゃんと達成しておきたいしな。

 

 ちなみにだが、どうやらこれまでその村人たちが育てていた米はそこまで効率は良くなかった上に蒔くと言うより撒いていたために鳥獣に持ってかれる量も中々多く、俺の教えたとおりにしっかりやらせたら一年後に信仰の量が凄まじいことになった。ギリシャ神話生まれの竈の神である俺が日本神話で豊穣の神として崇められるとは、神生何が起こるかわからんもんだな。

 あと、人手ってのはやっぱり多い方が色々と楽ができるもんだ。このまま俺一人でやろうとしていたら多分いつかエンキドゥと同じような存在を作るか、あるいは核融合炉もしくは太陽炉を搭載したコンバインでも作ってたかもしれん。

 まあ、コンバインについては人手が多くなったから作る気は無いんだが、代わりに旅行用として大型バイクでも作ろうかと思っている。必要か必要でないかで言えば全く必要ではないんだが、必要ないから要らないと言っていてはこの生に潤いがなくなってしまう。水陸空宇全用機では楽しめない光景というものがこの世界には存在するのだから。

 勿論、そう言った光景を壊さないように加減はする。周囲への影響を考えて放射線は完全に抑えるし、廃棄物は対消滅等に使うため無駄もない。初めから対消滅炉だけ乗せておけば放射線の問題も無くなるんだが、太陽炉は最悪暴走させて突っ込む時のエネルギーにして、対消滅炉が爆薬代わりになるのだから無駄にするわけにもいかんだろう。

 予備は必要。予備の予備辺りまでは在っても困らない。予備の予備の予備まであると少し邪魔になってくるから、予備の予備として空を飛ぶバイクじゃなく空を走るバイクでも作っておこう。ついでに武装も載せておこう。ミサイルあたりでいいかね。

 弾頭は……周囲への影響を鑑みて核弾頭はやめておこう。中性子爆弾も少々危うい。となると残るのはバンカーバスターのような超質量弾か。質量が高くて放射性元素でなく、ついでに硬質な金属と言えば……タングステンだな。超質量タングステン弾か。面白いな。空間を弄って直接重量がバイクにかからないようにしつつ、超高速で発射する機構をつけておかないとな。できるかどうかはわからんが、わからんからこそやる価値がある。

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。