俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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 ちなみにサイコロで決めました。


神話世界漫遊記(どことなく東方っぽい日本神話編)
竈の女神、送り込む


 

 日本神話。前世の俺が産まれ育った国の神話であり、そして色々とカオスな神話でもある。何しろ同じ神格が全く違う名前と権能を持ったままどちらも信仰され、しかも時に同じ神格の違う面同士で戦争まですることもある神話だ。

 また、非常に珍しいことに名前の存在する神を崇めると同時に名前の存在しない神も信仰し、一つの神のみを信じると言う事をしない珍しい宗教でもある。

 俺の生きていた頃の日本では、キリスト教の祝祭であるクリスマスと仏教の祝祭である春分・秋分、ケルトの収穫祭であるハロウィン、神道の大晦日と正月等々、非常に多くの祭日が様々な宗教から集められていると言う、宗教の都合の良い所だけを抜き出して使っているような状態だ。

 もしもこれで理不尽に嘆く者がいるなら問題だが、誰にとっても都合が良いのなら俺は見逃す……と言うか、むしろ乗るようにしている。俺も精神だけなら元は日本人だ。日本人としての祭り好きの魂が騒ぐ。宗教の無理な押し付けは駄目だが、宗教的な祭日に合わせてとりあえず祭り上げてばらして一部だけ受け入れてしまうのは悪い事とは言えない。

 と言う事で、少々どころではなく早い気もするが西方の神との顔合わせをしてしまおう。籤の結果は絶対だからな。

 

 それと、最近気付いたことがある。どうもどの神話の世界もある時期に近付くに従って時の流れが遅くなっているようだ。

 それが何時ごろになるかはまだわからないが、俺の知る世界の未来の姿に近付くにつれて時の流れが遅くなるように見える。世界が完全に同一化されるのは、恐らく西暦で言う1500年より少し前……マゼランが世界一周を果たすほんの僅か前だろう。

 それまで世界の空間は様々な形で歪んで繋がっていた。ギリシャ神話の世界も同じように、空間が平面としてではなく多層構造としていくつも折り重なり、歪んで繋がっている。そうでなければアルゴナウタイの各員が数年にもわたってギリシャ神話世界と言う狭い領域を船で進んで行くと言う事ができるわけもない。

 確かに当時の船の速度から考えれば世界一周するならその程度かかってもおかしくはないが、それは同時に世界一周でもしなければそれだけの時間はかからないということでもある。アルゴー号は当時の技術力からすればかなりふざけた性能だったようだし、そのくらいのことはできないとな。

 まあ、要するに、だ。小さな世界だの大きな世界だのと色々言ってはきたが、現在存在する世界の多くはほとんど同じ大きさだということだ。密度の高い低いはあるし、全く同じ大きさであるというわけでもない。しかし、ある程度共通している部分もまた多い。質量的には誤差程度だろうしな。

 

 そんな中で日本神話は、他のものを受け入れる地盤ができている。ありとあらゆる存在に中身が宿るという考え方もそうだし、神というのが人間に全く手の届かないものではないと言う在り方も、元々存在していた土着の神以外に別の場所から神が来て居着いたと言う神話の形態も、どれもが他の神話を受け入れる土台となりうるものだ。

 ……流石に一神教をそのまま受け入れると言うのは無理だがな。むしろ一神教を広めようとすると失敗するそうだし、時々一神教の信者からはされないような質問をされて答えられず、自身の信仰すら揺らぎ始めると言う事もあるそうだ。日本は宗教家の墓場と言われることもあったそうだが、墓場扱いする宗教の殆どが一神教の物だっていうのは少々笑えてくる。

 ちなみにだが、ギリシャ神話系の神に対する信仰は日本ではほとんど存在していない。多くの者がその存在を知ってはいるものの、心の底から信じている者は非常に少ない。ほとんどがゲームや漫画、小説などで読んだり書いたりするくらいだったはずだ。

 

 ……まあ、ギリシャ神話と言うものが日本に入って行ったのが遅かったから仕方ないと言えば仕方ないか。今から入って行けば仏教に成り代われたり……よそう。面倒臭い。

 


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