俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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竈の女神、新作料理

 

 ラー油。中華料理によく使われる調味料であり、唐辛子の辛味を油に溶け込ませて作られる。唐辛子以外にも多くの香辛料を使い、風味を変えたりすることもあるが……大概は唐辛子の味しかしない。そう言うものだ。

 だが、俺はこう考える。辛くないラー油があったっていいじゃないか、と。ただの香味油になる気もするが、気にしない。ついでに某辛いような辛くないようなやっぱり少し辛いと言う商品名のラー油も普通にあるが、現在のこの世界には存在しない以上俺がそれを作ることに些かの問題もないことは明らかだ。

 

「で、俺達に作った料理の試食をしてほしいと」

「そうなるな。嫌ならいいぞヘファイストスに頼むし」

「Q1、カレーですか」

「A1、カレーではない」

「帰る」

「わかった。マーボーカレーの試食は別の奴に頼m」

「いやだなぁロリ姉貴俺が試食を受けない訳ないじゃあねえかよぉげっへっへ」

 

 ちなみに俺の中ではマーボーカレーはカレーではなくマーボーだ。特に今回のはマーボー寄りに作ったから余計にな。

 で、辛いのが比較的行ける奴らを集めた結果、面子はこんな感じになった。

 

 1、我らが主神ゼウス。

 

「林檎を渡す相手を決めないで姉に決定権を渡したら次の日から料理がみんな死ぬほど甘くなった。ボスケテ」

 

 2、海神ポセイドン、通称ポッセ。

 

「マーボーカレーはマーボーの入ったカレー。つまりカレー。マーボーが何かは知らんが楽しみにしてる」

 

 3、冥界神ハデス。俺の弟の中で一番年上で一番ショタ。

 

「ヘスティア姉さんの新しい料理を食べないとかちょっとあり得ないですね」

 

 4、俺の義娘、火山と鍛冶の神ヘファイストス。若干炎と雷の権能もあり。

 

「普段のカレー、美味しいけど辛さが物足りなかったの……凄く、楽しみ」

 

 5、英雄王ギルガメッシュ&エンキドゥ。

 

「……カレーを注文したら突然神界に飛ばされて見知らぬ神と共に食卓を囲んでいる件について」

「諦めるといいんじゃないかな。ベルさんの本体だし」

 

 以上、六名によって俺のマーボーカレーの試食会が開かれることとなった。ちなみにだが、今はこの家の中の時間をかなり弄ってメソポタミア神話世界の地上と同じ程度にしているのでギルガメッシュの治世に問題は無いだろう。多分だが。

 ちなみに、ギルガメッシュはあれから結構な時を過ごした。具体的には数百年ほどだが、まだ生きている。このまま中世まで生きていてくれれば、侵略してきた某宗教とか返り討ちにできるんじゃないかね? エンキドゥもいるし。

 

 まあそれはそれとして、調理開始と行こうか。マーボーとカレーに共通の具はあまり多くないが、共通のスパイスはかなり多い。これを適当にバランスをある程度取りつつ、そこからちょいちょい変えていく。それで納得できる味になったので、こういった場を設けている訳なんだが……後ろからの視線が凄まじい。ただのカレーが好きな奴にはマーボーカレーが嫌だと言う奴もいるが、その辺りはまた今度考えていくことにする。好みを知ると言うのも大切だからな。

 鍋は三つ。辛い物が特に好きなヘファイストス用の極辛。そこそこまでのを美味しく食べることのできるポセイドン、ハデス、ギルガメシュ、エンキドゥのための中辛用。そして少し前のお仕置きとして甘いのをゼウス用に。まあ、ちゃんとスパイスは効かせたし、甘いと言っても『普通の物に比べればほんのりとした甘みを感じることができる』と言う程度だから普通に食えるはずだ。ヘラと違って辛い物がどうしても食べられないと言う訳じゃないはずだし、甘い物が嫌だと言ってもほんのりとした甘さは必要だ。まったく無いのも悪くは無いが、ほんの少しだけあるのもまた良い。

 ……よしできた。食わせに行くか。


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