俺は竈の女神様   作:真暇 日間

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竈の女神、改造する

 

 ベルの身体のフルメンテナンスを終え、ステータスを最新型に書き換え、今までのデータを移行し、結果として出た数値を調整し、ようやくそれなりにまともに身体を使えるようになった。これで暫く使い続けても問題なく動くようになっただろう。メソポタミア神話世界では数百年程度の時間は過ごした。同じ程度の時間ならば全く問題なく動かし続けることができるだろう。

 ……いや、以前の最高を今でも最高だと言うのは進歩をしなければいけない一生物として少々恥ずかしい。なんとか手を加えてみるのも面白いかもしれない。

 そもそも、人間が完成すると言うことはまずあり得ないのだ。ならば進化と言う形ではなく、調整や改造と言う形で行えばなんとかなりうる。時代や土地に対しての最適な進化には時間とその場所での生活が必要だが、調整や改造には必要な物は多くない。用意するのも難しくない。

 まあ、改造するのは簡単だ。ステータスという形で加護を与え、成長できる幅を広げているのだから多少無茶な改造でも問題はない。流石にどこかの00なサイボーグのように膝からマイクロミサイルを撃ったり奥歯を噛み締めて加速したりは難しいが、筋肉の繊維の数を増やして質も変えて更に大きな力が出るようにしたり、それに合わせて骨の成分を変えてより頑丈にすることくらいはできる。

 

 ……改造の権能か。今更新しく権能を得るとは……やはりまだまだ伸びると言うことだな? ここ最近伸び悩んでいたから少々嬉しい。伸ばしていこう。

 まずは骨の強度を上げる。物質としての強度をそのまま上げるのは難しいが、術を使えばやりようはある。以前は骨の内側を通る管を使ってルーンを再現したが、今回は同じことを筋肉や皮膚、神経でも行う。

『停止』、『氷』、『死』等を表す『I(イサ)』を使うことで皮膚をより強固にし、筋肉の遺伝子配列から『力』を意味する『U(ウルズ)』を作ることでより筋肉の出力を上げ、神経とその周囲の細胞から『情報』、『信号』、『神』を表す『A(アンサズ)』を組み上げることで伝達速度を上げる。

 また、そうして作り上げた無数のルーンを取り巻くように『空白(ブランク)ルーン』を配置することでそれぞれのルーンの効果を増幅し、同時にブランクルーンの持つ『未知』と『新たな可能性を導く』と言う効果によって更なる拡大解釈をすることができるようになる。

 そして『変化』と『成長』と言う意味を持つ『E(マンナズ)』、『創造性の強化』と『闇を照らす導きの光』の『W(ウンジョー)』、『大切な物を守る』効果のある『N(ナウシズ)』、『継続した努力を実らせる』効果もある『収穫』のルーンである『J(ジェラ)』、『幸運や運命を味方につける』『P(パース)』、『実力を発揮』し『完全』となる『S(ソウェイル)』。様々なルーンを刻み込む。文字の神として多少成長している今ならば、昔のように一部のルーンしか刻むことができないと言う事はない。どのルーンであろうとも十分な効果を発揮できるように、上手く組み合わせていく。

 

 ……ミクロ単位での作業を続けていたせいか、また色々と得る物があった。権能そのものはともかく、今持っている権能のうち使っている物の深みが増した。そう言えるような状態だ。

 文字の権能。生体の権能。創造の権能。破壊の権能。芸術の権能。その他諸々。自分で言うのもあれな気がするが、いったい俺はどこに向かっているんだろうな。

 

 ……まあ、どこであろうと構うまい。俺は俺としてしか生きれないのだし、俺の行きたい方向に行くとしよう。

 まずは……そうだな、これが終わったらベルをケルト方面に……いや、ローマ神話の方に行かせてみるのも面白いかもしれない。時期的にはローマ神話の方が古いが……確か、ケルト方面の最大の英雄、ケルト版ヘラクレスことクー・フーリンは一世紀ごろの英雄だったはず。それならローマ神話方面か、あるいは北欧神話方面を先にした方が良いかもしれんな。

 絶対に行きたくない場所と言えば……インド神話方面だな。あそこの神とは性格が合わん。エジプト神話方面ならギリシャ神話と多少の共通点があるから悪くは無いんだが……やれやれ、迷う迷う、と。

 


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