もう一つの箱庭物語 『更新停止 リメイク予定』 作:煌酒ロード
side 十六夜
「いきなりガルド=ガスパーに喧嘩を売るってどういうことですか!?しかもゲームの日取りは明日!?準備をする暇もないのですよ!?いったいどういう考えなのですか四方様!」
「「「「むしゃくしゃしてやった反省も後悔も懺悔もしていない」」」」
「だまらっしゃい!!」
何故か息ぴったりに揃った俺達に黒ウサギはハリセンを振り下ろす。うん。痛い
「はー・・・まあいいデス。ガルド=ガスパー程度なら十六夜さん一人いれば十分でしょうし」
「何言ってんだ駄ウサギ、俺は手を出さねえぞ?」
「当たり前、貴方なんかに手を出させると思っていたの?」
「私も手を出しません・・・」
さも当然という俺とお嬢様。そして控えめに言う春日部。
「だ、ダメですよ!同じコミュニティの仲間として協力しなければ!」
「
「あら、じゃあ私はその期待を裏切らないといけないのかしら?」
「なんで裏切るんですか・・・応えてくださいよ」
俺たちの言葉にがっくりとうなだれる黒ウサギ。もう好きにしてくださいと言っていた背中には哀愁が漂っていた。
その後ジンをコミュ二ティに返し、黒ウサギの提案で俺達はサウザンドアイズと言うコミュ二ティに向かっていた。
「綺麗な並木だけど、桜では無いわよね?花弁の形が違うし、そもそも今は夏真っ盛りだったし」
「あん?今はまだ初夏じゃなかったか?」
「秋だったと思うのですが・・・」
俺達に一斉に頭にハテナが浮かぶ。
「皆様は全員別の世界から呼ばれているので、そういった食い違いも起こったりしますよ」
「パラレルワールド・・・ですか?」
「惜しいです春日部サン。正しくは立体交差並行世界論と言うのですがこれを説明し始めると一日や二日では説明しきれないのでまたの機会ということに」
前を見るとどうやらついたらしく。店の前では店員さんが暖簾を片付けようとしていたがそこに滑り込みで待ったを・・・
「まっ・・・!」
「った無しですお客様。本日の営業時間は終了いたしました」
かけれなかったようだがそんな事は知った事じゃない。
「いい雰囲気の店だな」
「純和風とは驚きですね・・・」
「何事も無かったかのように店に入ろうとしないでください!本日の営業は終了致しましたと先程申し上げたでしょう!」
俺と春日部の前に立ちはだかる女性店員。春日部は相変わらずの能面のような無表情。相対して俺は呆れたような表情になってるんじゃないだろうか。その時
「いやっほおおおぉおお!久しぶりだ黒ウサギィィィィィィ!」
空から白い物体、いや白い幼女が降ってきて、黒ウサギに追突。そのまま用水路まで吹っ飛んでった。
「オイ春日部・・・」
「聞かないでください・・・私にもわかりませんから・・・」
用水路の方を見ながら黒ウサギに心の中で合掌する。
「白夜叉様!?なぜこのような下層に!?っていうかどさくさに紛れて胸を揉まないでくださいっ!」
そう言い放つと黒ウサギがその白い幼女を放り投げる。
「よっ」
「グボハァ!?」
それを足で受け止め更に
「パスだ春日部!」
「・・・こっちによこさないでください」
それを春日部の方に再び蹴り飛ばす。それをさらに春日部がこちらに蹴り飛ばしてきたので、
「ならつっ返すか」
「ウブォ!?」
丁度用水路からお嬢様の手を借りて上がってきたところの黒ウサギの方へ蹴り飛ばす。綺麗にくらって用水路へ逆戻りする幼女と黒ウサギ。
「十六夜君は外道ねぇ・・・」
「ハッ、サラッと来ること予測し手ェ放したヤツに言われたかねえな。腹黒お嬢様」
「あらあら、自分だけ外道扱いされるのが嫌だから私も引き込もうなんて怖いわぁ」
「巫山戯ろ、誰がテメエと同種だっつんだよクソビッチ」
「「上等よ表出なさい糞ガキがッ!/上等だツラ貸せ
売り言葉に買い言葉というか、安い挑発にあえて乗っておく。別にコレはイラついてるからとかそういう事じゃない絶対に。
「というかおんしら!いきなり飛んできた美少女を足で受け止め蹴り飛ばすとは何様のつもりじゃ!」
「「うるせえ黙ってろ白髪ロリッ!/五月蝿いわね黙りなさい白ガキ!」」
息ぴったりに返す。何かしょげているが知ったことか。
その後黒ウサギから仲裁が入り、とりあえずの形で店に入店する。と言っても既に店は閉めていたらしく、白髪ロリの私室に通されることになった。
「今一度名乗り直しておこうかの。我が名は白夜叉。そこの黒ウサギにちょくちょく手を貸している器の大きな美少女だと思ってくれて良いぞ」
「それ、自分で言うんですか?」
春日部が若干呆れているが白夜叉は気にしたそぶりも見せず、むしろ嬉々として笑っていた。
それからこの世界についてや外門のことなどについて説明を受ける。
「要するにデッカイバームクーヘンか」
「そうね、デッカイバームクーヘンね」
「ロールケーキだと思うのですが・・・」
俺達三人の言いように再び白夜叉が爆笑。それから口元を押さえながら、
「面白い例え方をする。それで言うなら今ココはバームクーヘンでいう一番外側に当たるな。その外側、〝世界の果て〟にはコミュニティには所属していないものの、強力な力を持った者達が住んでおるぞ」
黒ウサギが持っていた水樹を指差し、それの持ち主等な。と付け加える。というか、
「まてよ、お前とあの蛇は知り合いなのか?」
「知り合いも何もアレに神格を与えたのはこの私だぞ」
もう何百年も前の話じゃがの。と言って笑う白夜叉に俺は少し驚く。つまりコイツは他人。この場合は他種族か、に神格を分け与える事ができるほどのヤツという事になる。
「つまり貴女を倒せば、東側最強になれると言うことでいいのかしら?」
「そうなるのう」
この一言にお嬢さまが目を輝かせて立ち上がる。春日部は億劫そうにしているが、その目には少なからず好奇心が見える。
「それはとてもいい話ね、探す手間が省けたと言うのかしら?」
お嬢様の言葉に白夜叉が呵呵と笑う。
「抜け目無い童だ。依頼に来ておきながらこの私に勝負を挑もうというのか」
「やめとけお嬢様。負けるとは言わんが勝てるとも言わない。
「あら、だからこそ売ったのよ。太陽に喧嘩を売るなんて素敵な経験。ココじゃないと出来ないと思わないかしら?」
その言葉にコクコクと頷く春日部。俺は呆れはしたが、確かにそうかもしれないと思い直す。太陽に喧嘩を売るなんて経験はここじゃないと出来ないだろう。
「どうやら童達全員挑むようじゃな」
「そうだな、太陽に喧嘩を売るなんて素敵な経験とやらをしてみたくなった」
「楽しそうなことをやらない手はないわね」
俺とお嬢様の言葉に春日部が頷く。俺たちの意思を確認したのか白夜叉は
「呵呵ッ!その息やよし、しかし童共」
そこで言葉を切り、白夜叉は袖からカードを取り出す。
「おんしら本当に太陽に挑む気か?」
途端、世界が暗転した
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