もうすぐ盆休みに入るのですが予定が友人の急なキャンセルにより暇になってしまいました。ああ、コミケ行きたかった…
「せーんぱーい、教えて下さいよぉ」
「断る」
「私たちが言ったんだからハチくんも言うのが普通じゃない?」
「生憎俺は普通じゃないからな」
イロハちゃんと一緒にハチくんを
『せんぱいのところ行くんですね、私も行きます!抜け駆けは無しですよ?』
なんで分かったんだろ?迷宮区に行くとしか言ってないのに…
「それにしてもなんでせんぱいのアレ使えなくなったんでしょうね?」
「…俺が知りてぇよ」
「わたしとしてはハチくんが普通のプレイヤーに近付いて安心したけど」
「オレが普通じゃないみたいな言い方はやめろ」
「いやいやいや、せんぱいのアレは異常でしたよ?異常どころか異端…いや
「それ目だよね?何俺の目そんなにヤバイの?」
「今だってキリトくんと並んで他のプレイヤーより飛び抜けてるからね」
「…解せぬ」
ハチくんのすてるすひっきー?とかって特技が第五層を攻略してから使えなくなったらしい。どんなに頑張ってもキリトくんの索敵スキルに看破されるらしい。それでも並のプレイヤーには見つからないのだけど。
「どうせボス戦の時にレベルは開示するんだからいいだろ」
「それとこれとは話が別なんです!」
「意味が分からん」
「別にレベル位いいじゃない。スキル詮索してる訳でもないし」
「黙秘権を行使する」
「もしかして言えないほどレベル高いんですか?」
「…そんなわけ無いだろお前らと同じくらいだ」
「明確な数字で教えて下さい、さもないと」
「…さもないと?」
「せんぱいに倫理コード無理矢理解除させられて乱暴されたった言いふらします」
「ごめんなさいそれだけはやめてください」
イロハちゃんの脅しにハチくんは流れるように土下座した。あまりの滑らかさにちょっと引いてしまった。
「それで、レベルはいくつなんですか」
「…41だ」
「よんじゅういちいいいいいいいいいい!?」
「えっと…ハチくんそれホント?」
正直信じられない。いくらソロで経験値配分が無いとはいえ、もともとレベルが高めだったとはいえ、同じく最前線で戦っている私たちより7も上だなんて。
「せんぱいバカなんですか!?どんだけ無茶なレベリングしたんですか!?」
「別に無茶なんかしてねぇ」
「いやいやいや、階層+10が基本なのにそれにプラス6とかおかしいですよ?」
「…いい感じにモンスターがポップしたんだ」
「それは言い訳としては苦しいんじゃないかな?」
「…頑張ったんだ」
「もはや苦しいなんてレベルじゃないです」
「…いつの間にか上がってた」
怪しい。目をそらすところがさらに怪しい。ハチくんのことだからキリトくんみたいに日夜問わずレベリングするなんてことしないだろうし。でもそうでもしないとこんなにレベルは上がらないだろうし。他に何か原因があるはず。
「ねぇハチくん、この迷宮区で何があったの?」
私の言葉にハチくんはビクッと反応した。やっぱり何かあったんだ。
「…教えることはできない」
「どうして?そんなにレベルアップするならみんなでその情報を共有して全体の底上げをしないと」
「デュエルで俺に100連勝できたら教えてやる」
「そんなの無理に決まってるじゃないですか!」
「だったら諦めろ」
ハチくんに100連勝するなんて絶対に無理だ。今までやったデュエルも黒星のほうが圧倒的に多い。白星と言っても初撃決着モードでハチくんの意表を突いた奇襲でなんとか勝っただけだし。
「そんなこと言わずにぃ教えて下さいよぉせぇんぱぁい」
「イイイイロハちゃん!?何してるの!?」
「うお!は、離れろ!」
頑なに言おうとしないハチくんの腕にイロハちゃんが抱き着いた。にやにや顔のイロハちゃんに顔を赤くするハチくん。二人とも軽装だからいろいろ感じるのだろう。
「こんなに可愛い後輩が頼んでるのにダメなんですかぁ?」
「だ、駄目だ!」
「…教えてくれないとさっき言ったこと、ホントにしちゃいますよ?」
「なっ!ぐぬぬ…それでも、駄目だ!」
「ぶぅ、ずるいですよぉ。せんぱいばっかりレベル上がって」
「イロハちゃんそろそろ離れて!ハチくんもデレデレしない!」
「デレデレなんてしてねーわ」
「あれれぇ?副団長どうしたんですかぁ?嫉妬ですかぁ?」
「そ、そんなんじゃないわよ!いいから早く離れてー!」
イロハちゃんがハチくんに抱き着いているのを見るとモヤモヤする。嫉妬…じゃあないと思うけど、とりあえずは。
「早くは・な・れ・な・さ・い!」
デレデレしているハチくんにお説教しないと。
「いい?ハチくん付き合ってる訳でもない女の子とベタベタしちゃいけないんだよ?」
「もう1時間だぜ?分かったから正座解いていい?」
「もう、ホントに反省してるの?」
「したって、だから正座解いていい?」
「そもそもハチくんは年下に弱すぎるのよ。この前だって始まりの街で中学生くらいの子と一緒にいたわよね?人によっては犯罪だよ」
「ねぇ話聞いてる?…てかなんでそんなこと知ってんだよ。イロハ、この子怖いよ」
「私も知ってますよ?」
「やだこの子達ストー「話をそらさないで」…はい」
もう、ハチくんってばすぐに話をそらして逃げようとするんだから。
「とりあえず今日はこのくらいで許してあげます。今後こんなことはないように!」
「そもそも無実なん「ん?」…すみませんでした」
「せんぱいってば副団長の尻に敷かれてますねー。辛くなったらいつでも私のところに来てもいいんですよ?」
「…もっと辛くなりそうだな」
「それどーゆー意味ですか!?」
「ハチくんそれ私も聞きたい」
もう1時間お説教が必要かな?
「それにしてもこの層変じゃないですか?」
アスナの
「何が変なんだ?」
「今までの層は攻略まで大体1週間くらいだったじゃないですか。でもこの層はもう5日なのにボス部屋も見つけられないなんて」
確かに今までの層より攻略のスピードが落ちているのは感じていた。そもそもモブが強めだ。二十四層と比較しても一層差とは思えない程の強さで苦戦を強いられている。
「まあ、そのうち見つかんだろ。知らんけど」
「知らんけどって、ハチくんも真面目に攻略してよ」
「そうですよ、だいたいせんぱいはいつも情報集まってから出てくるんですからたまには情報収集して下さい!」
「気が向いたらな…お、安全地帯だな。少し休んでいこうぜ」
迷宮区の中に存在するモンスターがポップせず、侵入してこないプレイヤー達にとって安息の地。流石の茅場もこういった措置はとっていたらしい。(なかったらクソゲー過ぎる)
「そーですね、少し遅いですがお昼にしましょうか」
「イロハとアスナは飯あんのか?」
「ありますけど、せんぱい持ってきて無いんですか?」
「いきなりだったんだ。準備なんかしてねぇよ」
そもそも今日は休日だったんだ。ああ、ベッドが恋しいぜ。
「ああああのねハチくん!」
「うおっ、ど、どうした?お前も忘れたのか?」
「そうじゃなくて…その…」
何顔を赤くしてもじもじしてるの?めちゃめちゃ可愛いんですけど。
「は、ハチくんのお、お弁当作ってきた、から、よかったら、食べる?」
は?
「は?」
おっと、思わず心の声が漏れてしまった。横でその手があったかあああああああ!って喚いてるバカは置いといて今なんて言った?お弁当、作ってきた、食べる?アスナが、俺に?おいおいおい、これが本当ならアスナファンクラブ発狂物だぞ。
「ぁ…迷惑だったかな」
頼むからそんな泣きそうな顔で見ないでくれ。何もしてないのに悪い事したみたいになっちゃって罪悪感に押し潰されちゃうだろ。
「別に迷惑なんかじゃねぇよ」
「ほんと!」
ぱあぁぁぁ!と擬音が聞こえてきそうなくらいに表情を明るくしアスナはウインドウを操作する。
「せんぱいも罪作りな男ですねー」
「なんで不機嫌なんだ?」
「別に不機嫌なんかじゃないですぅ」
見るからに不機嫌なイロハと見るからに上機嫌なアスナに挟まれる俺。何この状況。
いかがでしょう?
さてさてイチャイチャ?はこのくらいにして次回は話を進めて行きます。
今週中に更新できるように頑張ります。
それでは次の更新で。