八幡がハチマンでHACIMANです。
UA10000突破!お気に入りが200突破!ありがとうございます!
そして評価で2を付けて頂いた田中太郎130232さん、9を付けて頂いた〈R.K〉さん、ヒースクリフさん、わらふじさん、てんま☆さんありがとうございます。7.8.9と高い評価を頂いている中で2の評価を頂き身が引き締まる思いです。これからも頑張っていこうと思います。
ハチ兄が目の前から消えた。見失うならまだ分かる。消えたのだ。忽然と、唐突に、幻だったかのように、ハチ兄は姿を消した。
「は、ハチマンさんが消えた!?」
「……これってあの時の」
「2人とも驚いてる場合じゃない!」
ハヤトさんの声で我に帰る。吹っ飛んでいたロードがスキルモーションに入っていた。
「あれは《浮舟》!下から切り上げて浮かせるスキルです!左右に避けてください!受けたら対処が難しいです!」
「分かった!」
ハヤトさんは素早く右へ回り込んで回避する。上手い、1度見たとはいえすぐに実行出来るなんて。
「はぁぁぁぁぁ!」
ハヤトさんはロードの懐へ潜り込み何度も斬り付ける。ロードは怯むことはなく再度スキルモーションに入る。
「それは《幻月》です!ランダムで上段切りか下段切りが来ます!同じく左右にか」
しかし助言が遅かった。これではハヤトが行動する前にスキルが発動してしまう。俺がクイックリープを使えばまだ間に合うか?そう思った時、なんとハヤトは回避行動を取ることはせずロードに斬りかかった。ハヤトが《幻月》を食らい吹き飛ばされるビジョンが浮かんだ。しかしハヤトさんは笑っていた。
「こっちだデカ物」
突如ハチ兄が現れロードの顔面に《クロス・エッジ》を放った。突然の登場と顔面にスキルを食らったことで《幻月》はキャンセルされスキができる。そこを見逃さずハヤトさんは《ホリゾンタル》を発動する。まるで分かってた見たいだ。ハチ兄とハヤトさんのコンビネーションに呆然とする。そしてまたハチ兄は姿を消した。ロードはハヤトさんしか見えていないように見える。スキルをキャンセルさせられたのが苛立ったのかロードは先程ディアベルを死に追いやった《緋扇》を発動させようとし、跳躍した。否、跳躍したかのように見えた。
「それはさっき見た」
ロードが跳躍した瞬間、ロードの頭上にはハチ兄がいた。《ラピット・パイト》を脳天に叩き込んだ。システムアシストだけでなく重力加速度を味方に付けた《ラピット・パイト》はアスナの《リニアー》に匹敵するスピードで放たれた。そしてロードの跳躍に合わせたことで威力はさらに上がる。
ここでソードアート・オンラインのプレイヤー及びモンスターの 構造について説明したい。ソードアート・オンラインは『ソードアート』とあるようにソードスキルが売りのゲームだがそれ以外にも凝っている事がある。それのひとつがプレイヤー及びモンスターの構造だ。モンスターにはウィークポイント、つまり弱点が設定されている。プレイヤーも首や頭、心臓といった重要器官は大ダメージを受ける。そして体の器官も現実そっくりに設定されている。水中にいれば酸欠で目を潰されれば視界が減少する。今回の場合、頭、つまり脳に大きな衝撃を与えたらどうなるか。
「
俺の呼び掛けに応えほぼ全員がロードに向かってスキルを発動する。40以上のライトエフェクトが輝きロードへと殺到する。ここで決めなければ技後硬直の間に《旋車》が俺達を斬り殺すだろう。ライトエフェクトが止んだ時俺達は絶望した。ロードのHPは一ドットだけ残っていた。一ドット、何でこれを押しきれなかったのか。ロードはニヤリと顔を歪め《旋車》のモーションをとった。
「…たく、往生際が悪いんだよ」
誰もが動けない中、誰もが絶望した中で、聞き慣れた声が響く。
「じゃあなロード、強かったぜ」
唯一動けたハチ兄がロードのHPを削り切る。ロードは数歩後ろによろめき、天井を見上げ吼える。直後、ロードに無数の罅が入り爆散する。
『…………しゃあああああぁぁぁぁあぁぁああ!!』
一瞬の静寂を壊すように歓声が上がる。俺達はソードアート・オンライン第一層を攻略した。
「ハチ兄!最後何で動けたんだ?」
「ん」
ハチ兄は短剣を持ち上げる。……そうか、短剣は威力が低めだが連撃に向いていて、技後硬直が他の武器より短い。だから動けたんだ。
「ハチマン、流石だね」
「お前に褒められても嬉しくねーよ」
リア充に褒められても嬉しくねーぜ、そんな事してっから…
「ぐ腐腐、やはりハヤ×ハチはサイコーだぁぁぁぁあああぁぁ!」
「擬態しろしっ!」
ほら、うるさいのが出てきた。
「ハヤトくんもハチマンもマジっべーわ」
「せーんぱーい!めちゃめちゃカッコよかったですぅ!」
そういえばこいつら存在感無かったな。…ブーメランな気がするぜ。
「なんでや!」
歓喜が包む部屋に悲痛の叫びが木霊した。
「何でディアベルはんを見殺しにしたんや!」
「見殺し、何のことだ?」
「そこの黒髪のチビはボスの使うスキル知っとたやないか!それをディアベルはんに伝えていたらディアベルはんは死なずにすんだんや!」
歓喜は次第に疑惑、そして不審へと変わっていった。…まずい。このままだとテスターとニュービーとの確執が生まれてしまう。どうする、どうやすればこの状況を打破できる…
「待ってくれみんな!彼がテスターだったとして、みんなを助けたのは事実だ!責められる謂れはないはずだ!」
「それでディアベルさんは死んだんだぞ!アイツの肩を持つってことはお前もテスターだな!」
「ち、違う!俺はテスターじゃない!」
キバオウ以外のやつもしゃしゃり出てきて、ハヤトの説得は被害を大きくするだけだった。あれじゃディアベルの死はしょうがなかったと言ってる様なものだ。ふとキリトに目をやると何か決意したように見えた。そしてキリトが何をしようとしているのか理解した。それはまだ中学生であろうキリトには重過ぎるものだ。それだけは…それだけはやらせてはいけない。そうゆう汚れ役は、弟の後始末は兄が片付けるものだ。キリトが何かする前に行動に移った。
「キバオウ、そしてリンドってのは誰だ?」
「リンドは俺だが、なんだ」
「お前らに死に間際のディアベルから言伝がある」
俺の言葉に静まりかえる。うへぇ、ボッチが注目されると死んじゃうよぉ…
「ありがとう…だってよ。俺にこの言葉の真意は分かりかねるが、確かに伝えたぜ」
涙ぐむ2人はどうでもいいが、さっさと本題を済ませるか…
「それとキバオウ、お前に言いたい事がある」
「…何や」
「ディアベルが死んだのはアイツが馬鹿だったからだ」
「何やと!」
「俺とディアベルが話しているのをお前は見たよな?俺はあの時、ロードが腰に差しているのはタルワールじゃなく野太刀だと伝えた。そしてカタナスキルを対処できるのかと聞いた時、ディアベルは大丈夫だと言ったんだ。それなのにアイツはろくに指示を出さずレイドを崩壊させた。挙句単騎特攻して返り討ち、これを馬鹿と言わずになんて言うんだ」
「ディアベルはんはニュービーだったんや!カタナスキルなんて分かるわけないやろ!」
「じゃあなんでディアベルは俺に大丈夫だと言った?俺を心配させない為か?他の誰かが死んでいたらどうするんだ」
「知らんわそんなん!」
「思考を放棄したな、そんなんで良く人を疑えるな。いいか、ディアベルはテスターだ、カタナスキルを知っていたがその知識はロードに対応できる程では無かった。だから死んだんだ。もっとも偵察戦をしていれば死ななかったかもしれないが、いまさらか」
俺の言ったことは全て事実で、こいつらにとっては認めたく無いもの。憧れの人が今まで蔑んできたテスターだったのだ。
「…さっきからお前何なんや!ディアベルはんをボロカスいいよって!ディアベルはんはベータテスターだったかもしれへん。だけどディアベルはんはワイらの為にやってくれたんや!」
「さっきからディアベルディアベルってうるせぇよ。いつまで死んだ人間のこと言ってんだ」
空気が凍りついた。ピシッ、と擬音が聞こえたような気がしたが構わず続けた。
「ディアベルに頼りきりだったお前らがこれからどうするかは知らんがせいぜい死なないようにするんだな」
それを最後に第二層へ続く螺旋階段へと向かう。その途中でキリトとアスナ、ハヤトとすれ違った。キリトとアスナは悲しそうな、ハヤトは悔しそうな顔をしていた。螺旋階段を登って行く途中キリトとアスナ、そしてハヤトが追いかけるように登ってきた。
「ハチ兄!俺…俺は!」
「キリト、お前はこれからの攻略に必要不可欠だ、強くなれ。お前が負い目を感じる必要は無い」
「ハチマンさん」
「アスナ、お前はいずれキリトと同じく強くなれる。それとキリトをよろしく頼む、こいつはまだ中学生だ」
キリトとアスナに一言言ったあと、ハヤトに胸倉を掴まれる。
「ハチマン、お前はどうしてそんな風にしかできないんだ…」
「これが1番効率がいいからな」
「だからなんで!」
「それ以外言うな。これは俺が選んだ道だ」
俺を掴んでいた腕は力無く落ちる。
「じゃあな、どっかで会ったらよろしく」
第二層への扉を開き、新たな大地を踏みしめる。
いかがでしょう?
隠蔽スキルとステルスヒッキーとミスディレクションのコラボ最強w
あんまりにも強過ぎるのである程度制限はするつもりです。(特にステルスヒッキー)
先日朝起きたら20人の方から0評価という悪夢を見ました。((( ;゚Д゚)))
正夢にならないように頑張ります!
それでは次の更新で。