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「やっぱりお前か、ディアベル」
「何のことかな?俺はそろそろ戦線に復帰して欲しいって言いたいだけなんだけど?」
「…そうゆうことにしておく」
何食わぬ顔で言いやがって…少しは動揺しろよな。
「ディアベルはん」
「キバオウさんも早く隊に戻ってくれ。そろそろ終盤だ」
「分かりました」
ディアベルには大人しく従うんだな。やはりキバオウの後ろにいるのはディアベルか。頭の中で情報を整理し仮定をひとつひとつ証明していきつつキリト達の元へ帰る。
「ハチ兄、どうなった?」
「問題無いそうだ」
「…てことはディアベルはテスターなのか?」
「だろうな。この後どうするかは知らんがな」
「ちょっと待って。ディアベルさんニュービーって言ってたわよね。ニュービーだと偽る理由は何?」
「さてな。ただ俺の考える最悪のパターンにならなきゃいいが」
「最悪のパターン?」
「ゲージがレッドゾーンに入ったところでディアベルがLA狙いで単騎突撃、情報と違うスキルで混乱し死亡、指揮官を失ったことでレイドの崩壊、そして壊滅だ」
それだけはなんとしても防がなければいけないがディアベルは大丈夫だと言った。だが信用はできない。
「キリト、カタナスキル分かるって言ったな」
「分かるけど?」
「ディアベルが死んだらお前が指揮を取れ」
「ええ!?無理だよそんなの!」
「スキルの範囲と捌き方を言えばいいあとは俺達で削り切る」
「俺達って3人で!?」
「最悪な。まあ俺達が時間稼げば何人か参加してくんだろ」
「うわ適当」
喋りながらも最後のセンチネルを倒す。するとボスに変化があった。最後の1本がレッドゾーンに入ったようだ。斧とバックラーを投げ捨て腰に差した野太刀を振り抜いた。
「やっぱり野太刀か…ってやばい!」
「どうした!」
「ソイツを囲んじゃいけない!回避か防御を!」
キリトの叫びはロードの雄叫びとソードスキルのサウンドエフェクトにかき消された。
《旋車》。刀を水平にし、回転して周囲を薙ぎ払うスキル。ロードを囲んでいた奴等は吹き飛ばされスタンしていた。っち、スタンすんのは厄介だな。てかこのままじゃあいつら死ぬなどうする…思案している間にもロードは立て続けにスキルを発動すしようとしている。
「クソ!」
「おい待てキリト!」
俺の制止を振り切り、キリトはロードを止めに行った。あのバカ、このタイミングじゃお前が!
「アスナ!キリトんとこ行くぞ!」
「了解!」
キリトが死ぬのは困んだよ!
カタナスキルについてはある程度知っていた。だから彼には大丈夫だといった。でもまさか条件反射でスキルを使うとは思わなかった。囲んでいた4つのパーティーが吹き飛ばされスタンしている。他のパーティーも情報と違うスキルに呆然としていた。これは俺の責任だ。俺が止めなければいけないことだ。それにより死んでしまったとしても。
今、何が起こった?何で俺は倒れている?辺りを見渡すと後方にいたイロハ以外の3人も倒れている。…そうだ、ロードが情報とは違うスキルを発動してモロに食らったんだ。あ、ロードがスキルを発動させようとしている。どうする?このままじゃ誰か死んでしまう。もしかしたら俺かもしれない。嫌だ、死にたくない!誰か、誰かいないのか、この状況を打破できるやつは!思考してる間にもロードのスキルが発動しそうだ。死の間際に立たされたことで思考が加速しているのか周りの動きがスローに見える、しかし体は動かない。なんだこの地獄は、死の瞬間まで分かってしまうじゃないか。頼むから俺達のパーティーにスキルが来ませんように……
俺達の後ろから誰かが出てきた。ディアベルさん?待ってくれ、危険だ!クソ!まだ体は動かないのか、いや動く?動こうとしないのか?何でだ!何でこんな状況なのに動こうとしないんだ!クソ動けよ!うご…
「動けよ!」
良し動いた!まずはディアベルさんの援護を
「うわああああぁぁぁぁああ!」
え?
目の前ではディアベルさんがロードのスキルを食らって打ち上げられていた。そして追い討ちをかけるようにロードが飛び上がりスキルを発動した。三連撃がディアベルさんにヒットし、吹き飛ぶ。吹き飛んだ先で知った顔がポーションを取り出していた。しかし数秒後ディアベルさんはポリゴンとなった。死んだ?この世界での死はこんなにも呆気ないものなのか?また思考の渦に飲まれる中ロードの存在を忘れていた。しかし攻撃されていない、何故か。ロードは黒髪の少年と栗色の少女に抑えられて、いや押されていた。俺は何をしているんだ?立ち上がっただけで、ディアベルさんを見ていただけで、自分よりも年下であろう2人の少年少女が闘っているのを見ているだけ?ダメだ、もう間違う訳にはいかないんだ!ポーションを飲みながら、アニールブレード+4を握りしめ前線に走った。
キリトがいち早く行動したがディアベルが打ち上げられ追い討ちを食らって吹っ飛んでしまった。
「キリト!アスナ!一緒にボスを抑えろ!」
「クッ、分かった!」
「了解!ハチマンさんは?」
「あのバカのところに行ってくる」
アスナ達と別れディアベルの元へ急ぐ。ポーチからポーションを取り出し、すぐに使えるようにしておく。
「ディアベル飲め!」
ディアベルの元に着いてすぐ口にポーションを突っ込もうとしたがディアベルに止められた。
「ハチマンさん、すみませんでした」
「謝るな早く飲め!」
「リンドとキバオウさんにありがとう、と、そしてハチマンさん、ボスをたお」
言い切る前にディアベルはポリゴンへと還った。周囲から悲鳴の様なものが聞こえたがそんなのを気にしてはいられなかった。ディアベル、お前は良くやった。ここまであいつらをまとめ上げたのは確かな功績だ。後任出来るやつも一抹の不安はあるがいる。あとはお前の望みを叶えよう。
「ボスを…倒す!」
ロードへと向かい走る。向かう途中で誰かが並走していた。
「お前じゃ足でまといだハヤト」
「このままじゃ、終われないんだよ!」
ハヤトは涙を流しながら走っていた。ディアベルが死んだ事が悲しいのか、それとも別の何かかは知らんが
「やるからには死ぬな」
「分かってる!」
全く、こいつと肩を並べる時が来るなんてな。
「らァ!アスナ!」
「はぁぁぁぁぁ!」
ハチ兄に指示されアスナとロードを抑えている。一つのミスが最悪死を招くギリギリの中で悲鳴が聞こえた。恐らくディアベルは……そんな事を考えていたからだろうか。
「!?しまっ!」
「キリト君!」
パリーに失敗し、攻撃を食らい、それと同時にアスナも巻き込んでしまい二人とも5m程吹き飛んでしまった。そんなスキをロードが見逃す訳もなく、先程ディアベルを屠った《緋扇》を繰り出そうとしていた。ごめんハチ兄、ここまでみたいだ。死を覚悟した時、風が吹いた。風は光を纏ってロードを吹き飛ばした。
「キリト、アスナ良くやったな」
俺とアスナのあたまをくしゃくしゃと撫でロードから立ち塞がるように立つ2人のプレイヤーがいた。
「少し休んでろ、ここからは俺達がやる」
ハチ兄と金髪のプレイヤーはロードへと走っていった。
「まずい!」
きりととアスナが吹き飛ばされロードが追い打ちを掛けようよしていた。
「ハヤト、突進系のスキルは使えるか?」
「使えるよ!」
「なら合わせろ、ロードを吹き飛ばす!」
俺は《ラピット・パイト》を、ハヤトは《ソニックリープ》を発動しロードの腹へ向けて放った。スキル発動の瞬間だった為かロードは回避する事が出来ず吹き飛ばす事に成功した。キリトとアスナのHPを確認するとアスナはギリギリグリーン、キリトはイエローまで下がっていた。よく2人でここまで持ちこたえたものだ。
「キリト、アスナ良くやったな」
2人の頭をくしゃくしゃと撫でロードへと向き直る。
「少し休んでろ、ここからは俺達がやる」
このクソロードに後悔させてやる。
「ハチ兄、ディアベルは」
「話はあとだ。キリト、ハヤト…こいつにロードが繰り出すスキルの指示を出してくれ。ハヤトはスキルを回避しつつダメージを与えろ。確かなスキが出来ない限りスキルは使うな」
「君はどうするんだい?」
「奴のスキルを無効化する」
「ハチ兄!いくら何でも初見や1回見ただけのスキルを無効化なんて無茶だ!」
「…キリト、いきなり攻撃されたらびっくりするよな」
「何を言って」
「つーわけでハヤトへの指示頼んだぞ」
隠蔽スキル発動、ステルスヒッキー発動。
「…俺は影だ」
気持ちは某籠球漫画の主人公。
俺はボス部屋から姿を消した。
いかがでしょう?
次回、ハヤ×ハチ(デタラメ)…ごめんなさい。八幡がチート化してしまっていますがご了承ください。
それでは次の更新で。