~とある屋敷前~
「・・・見張りが二、二人とも傭兵かなにかだろ。戦闘慣れしてそうだし、何より隙がない」
「それじゃあ、眠らせる?」
絆の言葉に、ドールは、
「いや、絆の能力で殺す。絆、あの二人をこの石と共有させて」
といって、ひびのはいった石を絆の方へ渡す。絆は、その意味を理解したのか、苦笑いし、
「さらりとエグいこと考えるね」
と言いながら、その石に能力をかける。
「よし、そしたら、近くにいる通行人の足元に転がしとk「やっといた、というより、もう潰されてる」あっはい」
見てみれば、見張りが二人とも潰れて、バラバラになっていた。近くを通っていた犬は、驚いたのか大きな声で鳴く。
「・・・通行人も、石を踏んでしまっただけで、人殺しの手伝いをしてしまったなどと思うまい」
「それ、私に指示したドールの言っていい事じゃないよ?原因は間違いなくドールだし」
「それいっちゃあ終わりだよ。まあいい、行くぞ、ここの一番偉そうなのを消す」
絆の呆れを込めたようなセリフに、苦笑いでそう言い返した後、ドール達は屋敷の中へと足を踏み入れた。
~屋敷内部~
「・・・人の気配が無い?」
「いや、一つだけある。とはいっても、ギリギリ人間の域なだけで、後一歩踏み外したらもれなく人外だな」
ドールは苦笑いを浮かべ、絆の方を見る。
「うん、それはいいんだけどさ、後ろにスケルトンがいるんだけど、どうする?」
「え?」
絆の言葉に驚き、後ろを向くと、
そこには二体のスケルトンが、なにかに引き寄せられるようにゆっくりと歩いていた。
「? なんだか様子が変だな」
通常、スケルトン等の死霊系の魔物は、生き物の魂を求めさ迷っている。
なので、人間や動物が近くにいる場合、優先してそちらを殺そうと襲いかかってくるのだが、
「気が付いてない・・・?いや、それよりも、あの方向には人間モドキ(勝手に呼んでるだけ)がいるはず・・・」
「・・・もしかして、集魂の儀式をやってるんじゃないかな?あれならあの行動にも納得できる」
「はぁ?あれって禁呪だろ?こんなところでやろうもんなら直ぐに気付かれて捕まるはず・・・」
ドールがそんな声を出している間にも、スケルトンはゆっくりと歩いていく。
「・・・考えてても仕方がない、とりあえず後をつけるぞ」
「了解」
結局、ドール達は少し距離を開けた状態で、ゆっくりとついていくのだった。
~大部屋前~
スケルトンが部屋の扉を開け、中に入る。少しだけ開いた扉の方から、なにかが腐ったような臭いがする。
「・・・絆、俺、あの中に入りたくないんだけど」
「・・・私なんだけどさ、でもたぶん、入らないと進まないよ?むしろ中の奴が強化されるかも」
ドールはそれを聞いて、扉の前にたった後、
「知ってるよ・・・しゃあねえ、男は度胸、全ては入ってから考えよう!」
といって、扉を蹴り飛ばす。
「扉壊すなっ!」
思わずそう叫ぶ絆の言葉を無視し、ドールは大部屋の中へと入っていくのだった。