~騎竜王国 マイハウス 台所~
少し前に見つけた家を購入したあと、ドールは台所で料理を作っていた。
「しかし、案外いい物件が見つかったな。
まあ、それはそれとして、飯、あの女の子の分はあっさりしてる方がいいのかな?」
ドールは一人、そう呟くと、小麦粉を取りだし、麺を作っていく。
「それならうどんだな、肉ものっけりゃ問題ないだろ。付け合わせに天ぷらも作っておくか」
そう言いながら、ドールは野菜や肉を取りだし、食べやすいサイズに切り、揚げていく。
「そういや、この世界って調味料が貴重なんだったな。次からそれをうって収入源にするか」
そう言いながら、麺を茹でている間に、うどん用のつゆ、そして、天ぷら用に塩を用意する。
「さすがに子供の前で酒は飲めんからな、とりあえず調味料棚にぶちこんどこう」
そう言うと、ドールは酒瓶を取りだし、そのまま足元にある棚に入れる。
「おっと、このままだとふやふやになっちまうな」
と言いながら、ドールは麺をお湯から取りだし、水を使って冷やす。
「器はこれでいいか」
そう言うと、ドールは大、中、小の器を取りだし、麺を入れ、つゆをかける。
「これで、冷やしうどんの完成だな」
ドールが作り終わり、そう言うと、絆の、
「目が覚めたよー!」
という声が聞こえる。
「わかった!ちょうどいい、飯出すからリビングに連れてきてくれ」
「了解なのだ!」
ドールは絆の返事を聞き、お茶を用意したあと、うどんの器を持ち、そのまま運んでいく。
~騎竜王国 マイハウス リビング~
中に入ると、もうすでに、絆と少女が座っていた。少女は落ち着かないようで、まわりをキョロキョロ見ている。
「絆、台所に天ぷらがあるんだが、取ってきてくれるか?」
「天ぷら!わかった!取りに行ってくる!」
「つまみ食いするなよ?」
ドールがそう言うと、絆は目をそらす。
「・・・食ったかどうかは分かるからな?そしたら、絆の天ぷらが俺とこの子のお腹の中に入るから」
「わかったよう、それじゃあ、取ってくるね!」
絆はそう言うと、そのまま扉を開けたあと、天ぷらを取りに行く。
「はぁ、さてと、とりあえず聞きたいんだけど、君の名前は?それと、どの器で食べたい?」
ドールが聞くと、少女はビクビクしながら、
「天野、閃華です・・・えっと、小さいのでいいです」
「本当?遠慮してない?って、そうだな、前もって言ってないんだし、これが普通なのか」
ドールは閃華の言葉を聞き、そういったあとため息をつく。
「閃華ちゃん、俺達は君を奴隷としてではなく、一人の人間として見てる。
だから変に命令もしないし、君が意見することに問題もない。
なんならわがままをいってくれて構わない。
遠慮する必要もないし、捨てるなんてこともする気はない。
今は何をいってるかわからなくていい。
だけど、これだけは覚えておいてほしい。俺は君を買った。
だが、一人の人間、いや、うちの家族として君にはいてほしい。
それで、しつこいかもしれないけど、もう一回、今のを踏まえた上で聞く。
君はどの器で食べたい?」
ドールの言いたいことがいまいち分からなかったのか、閃華は首をかしげるが、少し考えたあと、
「あの、大きい器でもいいんですか?」
と、聞いてくる。
「もちろん、閃華が好きなのを選べばいいよ」
グー
ふと、そんな音が聞こえる。
「あ、あはは、流石に天ぷら持ってきてからおあずけの時間が長いかなぁ~なんて」
その音の発信源である絆は、そう言いながら天ぷらの方をジッと見てる。
「えっと、中くらいのでお願いします」
その中、閃華はそういい、絆の方を見る。
「私は大きいので!」
「そんじゃあ、間接的に俺は小さいのだな、よし、トッピングしまくろう(一人五個の天ぷら)。そんじゃあ、頂きます」
「「いただきます!」」
ドールの言葉に続き、絆達もそういったあと、そのまま食べ始める。
「そういえば、ドール、七味ってある?」
「おう、七味以外にも一味もあるぞ。閃華も使うか?」
ドールはそう言いながら、二つの赤い容器を取り出す。
「七味って何でしょうか?」
「これを少し入れると美味しくなるんだよ!」
そう言いながら七味を入れる絆から容器を受け取ったあと、
少し入れようとするが、蓋が緩くなっていたのか、逆さにした直後、中の七味が全て閃華の器の中に入ってしまう。
「あっ」
「はは、やっちまったな。どうする?器、交換するか?まだ俺ならいける量だ」
そう言いながら、ドールは器を閃華に差し出す。
「えっと、その、すみません・・・」
「きにすんな。絆に比べれば問題無さすぎる量だ」
そう言いつつ、ドールは閃華の食べていた器を取り、少量だけ七味を移す。
「ほら、食べな」
「はい・・・ありがとうございます・・・」
閃華は申し訳なさそうにしながらも、渡されたうどんを食べ始める。
~召使い、女神、獣人少女食事中~
「ごちそうさま」
「ごちそうさま(でした)」
全員が食べ終えたあと、ドールは器を全て片付けたあと、閃華の方へ行く。
「閃華、話したくないなら良いんだが、その傷、一体どこでうけたのか聞いていいか?」
ドールがそう聞くと、閃華は少し驚いた後、
「・・・なんでですか?」
と、聞いてくる。
「まあ、いろいろと事情があるんだよ。相手の方も、やったからにはやられる覚悟あるだろうし」
ドールの最後の方の言葉がうまく聞き取れなかったのか、閃華は首をかしげるが、
「まあ、そのくらいなら」
と言って、話始める。
ミスって全く関係ないの投稿してました!すみません><