女神様と召使いの転生物語   作:血濡れの人形

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六ページ目 騎竜王国にて

~騎竜王国 表通り~

 

なかに入り、まず最初に目に入ったのは、大勢の人だった。

 

「・・・とりあえず宿探しだな、後はアイテムの売却」

 

「そうだね、でも、行動しやすいように細い通路通っていこうか」

 

二人はそう言うと、人の少なそうな路地の中へ入っていく。

 

「移動してる最中に、身分についてだな。今の俺たちは平民」

 

「そのしたに奴隷、上には貴族、その上に国王の親衛隊、その上に王だね」

 

「貴族になるには、一定の功績をあげれば上がれるな、奴隷は主人が金をつんで、奴隷ギルドに渡せば平民になれる」

 

ドールが言い終わると同時に、少し広い場所へ出る。中央に噴水らしきものがあり、なにやら人が集まっている。

 

「・・・言ってたらこれか、フラグとはよく言うものだ」

 

その方向を見てみると、そこには左目、右腕、左足を失った、

 

ここに来る前に助けられた、涼華に似た雰囲気の少女の獣人がいた。

 

「どうするの?」

 

「無視する以外ないだろう?金もあまりないんだし」

 

そう言って、ドールが歩き始めようとしたとき、少女が小さい声で、

 

「だ、か、わた、を、か、て・・・おね、ちゃん・・・りょ、か、ね、ちゃん・・・」

 

といったあと、そのまま意識を失ったのか、床に倒れる。

 

「・・・聞こえたか絆」

 

「うん・・・どうするの?」

 

「どうするも何もない、少し先に行っててくれ、ちょっと奴隷ギルドに行ってくる、三人で宿に登録しておいてくれ」

 

そう言うと、ドールは人ごみのなかに入り、少女を持ち上げる。よく見てみると、小さな傷がいくつもついている。

 

「・・・大丈夫だからな、少しだけ待っててくれ」

 

持ち上げた辺りから、周囲の人間から変なやつを見るような視線をあびせられるが、

 

ドールはそれを無視し、足に力を込め大きくジャンプをして、屋根の上に乗る。

 

すると、絆が宿を探している様子が見える。

 

「さてと、まず買えるかどうかわからんし、まずは資金調達だな、奪った金は絆に渡してるし」

 

そう言うと、ドールは先ほど人だかりのできていた場所とは別の方向へ走り始める。

 

~騎竜王国 武器屋~

 

「いらっしゃい、何を探して?」

 

そんなこんなで、金属を売るならと、ドールは武器屋に入り、カウンターにいる店員に、そう声をかけられる。

 

「悪いが、買い物に来たわけではなく、売却目的だ。俺には今のところ使い道がないものでな」

 

ドールはそう言うと、少女をおんぶしている状態で、ポーチから五つインゴットを取り出す。

 

「・・・一つ銀貨五枚」

 

ドールはそれを聞き、にやりと笑ったあと、

 

「嘘だね、この金属は、ここらには滅多に流れてこない代物だ、白金貨一枚」

 

と、値上げ交渉を始める。

 

「悪いが、それは無理な相談だ、銀貨九枚」

 

「そうかそうか、なら、金板五枚、それに金貨も五枚でいいよ」

 

「・・・金貨九枚、これ以上は譲らん」

 

「ならいいや、違うところを探す。せめて金板二枚と金貨九枚はもらいたいしな」

 

そう言って、ドールが店から出ようとすると、男は舌打ちをし、

 

「わかった。それで交渉は成立だ」

 

といって、白金貨一枚、金板四枚、金貨五枚を取り出し、袋に入れる。

 

「案外儲けてんのな」

 

ドールはそう言うと、袋をとり、インゴットをおいたあと、店を後にした。

 

「くそが、これが売れなかったら赤字で店がつぶれるってんだ」

 

そんな声が、店から聞こえた気がした。

 

~騎竜王国 奴隷ギルド~

 

「おい、こいつを買う、早く準備しろ」

 

ドールは受け付けに行くと同時に、背中の少女を男に見せてそう言う。

 

「はいはい、すこしまちな」

 

そう言うと、男は首輪の様なものを取りだし、

 

「あんた名前は?」

 

と、聞いてくる。

 

「ドールだ」

 

と答える。

 

それを聞くと、男はその首輪の一部に何か書いていく。

 

「これをその子の首につけろ、それが奴隷の証だ。名前が彫ってあるものの言うことをすべて聞く、

 

お前が死ねと言えば死ぬ、食えと言えば食う、そう言う風にさせる首輪だ。注意して使え」

 

といって、ドールに首輪を渡してくる。

 

「ったく、誰が悲しくてこんなくそみたいな仕事を・・・」

 

心のそこから嫌そうな顔で、男はそう呟いていたが、その声をドールは無視し、少女に首輪をつける。

 

「・・・また何かあったら世話になるかもしれない、名前を聞いておいてもいいか?」

 

「できればそんなことになるのは、解放するときにしてくれ、白金板一枚で解放できる。

 

そうだな、名前くらいならいいか。俺の名前はペーストだ」

 

ちゃっかりと解放するときの金額まで教える辺り、かなり良心的な人物なのだろう。

 

「そうか、そんじゃ、またな、ペースト」

 

「あぁ、金ためてからこいよ。具体的には白金板一枚」

 

そこでも言うか、と、思わず心の中で思い、苦笑いを浮かべる。

 

「そういや、絆どこにいるんだろ」

 

そのまま外に出たあと、そう呟いた直後、

 

「ドール!」

 

という絆の声が聞こえる。

 

「よかったぁ、移動してなかった」

 

「おぉ、ナイスタイミング」

 

ドールはそう言いながら、絆の方へ移動して、絆から、

 

「宿が全部うまってたから、どうしようか聞こうと思ったんだ!」

 

と、にこやかに言われ、固まる。

 

「・・・金ならできた。ついでだ、どっかに活動拠点として、家買うぞ。水とかは魔法で十分だ」

 

そう言いながら、絆の手をとり、家を探す。

 

それからすぐ、ドール達は家を金貨一枚で買うのだった。


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