外伝 一ページ目 青髪青目の女性
~とある貴族の屋敷~
そこには、騒ぎを聞き付けた騎士達が、何事かと集まり、突入しようとしていた。
その中に一人だけいる赤髪赤目の女性は、何かを待つように腕を組み、
「全く、あいつはまだこないのか。先程ここに来るように言っただろうに」
と言うと、組んでいた手をおろし、騎士達の中から出ていく。
「すみません香火(こうか)さん!遅れてしまいました!」
直後、先程まで待っていた女性の声が聞こえ、香火は、そう言った青髪青目の女性に向けて、容赦なく殴りかかる。
「ちょ、まっ」
香火の拳をかわしきれず、思い切り顔面に拳をくらった青髪青目の女性は、顔をおさえながら、
「痛いですよー!酷いじゃないですか!」
と、香火に向けて抗議するが、
「ほう?ならば集合時間にこれなかった理由を聞こうじゃないか。なぁ、蒼華(そうか)」
と言いながら、蒼華の事を睨む香火に、一瞬ビクッとなり、
「そ、それはその・・・香火さんを探すのに迷ったと言いますか、人が多くいる場所にいくとばれると言いますか」
と、小さな声で言い訳のようなものを始めるが、香火は頷くと、蒼華を立たせた後に、
「まあたしかに、お前の場合、ばれると面倒なのは確かだな」
と、あきれ半分と言うように小さい声で蒼華に話す。
「え、えへへ、まあね。っと、それよりで、状況は?」
「そうだな、いまから説明するはずだが、取り敢えず私が知っている範囲で話そう」
香火がそう言うと、蒼華も真面目そうな顔で香火のほうを見る。
「いまから十分ほど前、この屋敷のほうから、魔物のような叫び声がしたと、近くに居た騎士達に連絡があった
そして、騎士達がかけつけてみると、その屋敷の庭に、バラバラ、いや、粉々といった方がいいか?
まあ、そんな門番の死体が放置されていた。それも、かなり新しいものだ」
蒼華はそれを聞くと、何かを考えたあと、
「それは、もしかして、魔物が屋敷の中に侵入したときの死体なのかな?
でも、魔物がそんなこと出来るだけの知能は無いはず」
と言うと、更に考え、一つの答えを見つけ、まさかそんなはずはないと、首を横に振って、その考えを捨てる。
そんな蒼華の動きを見ていた香火は、こいつは何をしているんだと言わんがばかりの目で見るが、
「まあ、その考えを持った者も多く居たが、全員が全員、そのあとにそんなはずはないと行っていたらしいぞ?」
と言い、屋敷のほうを見る。
「なにせ、ここ一年間、この街に魔物が出たことなど、一回も無いからな」
と言いながら、笑みを浮かべる。
「突撃ー!」
どうやら、二人が話している間にも、説明が終わってしまったらしく、騎士達が屋敷に入っていく。
「蒼華!私達も「探索終わりました!」はやっ!」
それから数秒もしていないが、騎士達がぞろぞろと中から出てくる。
「一部屋だけ、魔法陣と、大量の死体があったことなどから、集魂の儀式が行われていたのだと思われます!」
「さらに、その部屋の中でオーガの死体が見つかりました!
おそらく、これが魔物のような叫び声の原因だと思われます!」
「オーガの死体は、打撃跡と、オーガの手の大きさにあわないことから、
何者かによって殴り殺されたのだと思われます!」
騎士達は、それぞれ別々の報告を上げていく。
そんな光景を見ていた香火は、蒼華がいなくなっていた事に気付かなかった。
~その頃の蒼華~
それは、石造りの部屋だった。その部屋で、オーガの死体を見た蒼華は、
「やっぱり、この手のサイズ、昔、ぼこぼこにされてた私の従者についてたのと同じくらいだね」
と言いながら、拳の跡を見る。
「この跡は・・・双撃かな?て言うことは、絆達も来てるのかな?なら、楽しみだな♪」
蒼華はそう言うと、スキップしながら外に出ていくのだった。
蒼華は今後、本編に確実に絡んできます。
これから先も、本編のその後の出来事を、このような形であげると思います。