~マイハウス~
「というわけでお昼作って」
これが家に帰った直後の絆の一言。
ちなみに時刻は十一時五十分である。
そして朝食は七時ごろである。おなかが減ってもおかしくはない。
「何がというわけなのか詳しく聞かせろ」
「あの、たぶんもうそろそろ十二時だからだと思います」
「正解だよ閃華ちゃん!鈴ちゃんと話してたからもうお昼を作り始めていいころだよ!」
「ちゃんずけしてやるなよ!これでもあの人お前より年上だぞ!?せめてさんにしろ!」
「フッフッフ、そこは抜け目なしですよ。許可はとったからね!」
本人いわく堅苦しいのが嫌いらしい。
まぁ、本人が許可したならもはやなにも言うまい。
「はぁ、それじゃあ作ってくるが、なにか要望はあるか?」
「じゃあおにぎりで!」
「了解、具はなにがいい?閃華もなにか食べたいのあれば言ってくれ」
そういいながら、ドールは調理場のドアを開ける。
「え?えぇっと、鮭でお願いします」
「私ツナマヨ!あれおいしいし!」
「はいよ。そんじゃ、しばらくまってな」
二人の注文を聞き、ドールは厨房に入っていくのであった。
~料理中~
「できたぞ。結構作ったから、焦らずに食えよ。
味は鮭とツナマヨと昆布とウィンナーだな」
そういいながら、ドールは三つの皿を持って厨房から出てくる。
「思ったのですが、一体どこからこれだけの食材を出しているのでしょうか」
「気にしてはいけないぞ。七不思議みたいなものだと思っておけばいい。
もっとも、それほど多くあるわけではないがな」
とても大きな嘘である。食用の動植物がかなり多くある。
動物は、各十頭ずつ、野菜などは、十ダースほどある。
とはいっても、あくまで現在食べられるように加工されてるのが、という意味だが。
加工されてないのはそれにプラスして各二十頭分ほどである。
野菜は増えない。だって畑がないですから。種とクワとジョウロあるから、
作ろうと思えば作れるけれど。
閑話休題
「まあ、気にせず食べるといい。ほら、そこのやつみたいに」
「え?」
ドールが指さした方を見た閃華は、
「んむ?」モキュモキュ
小さく首をかしげながらお握りを頬張る絆を見る。
「というか絆、おまえ、きちんといただきますはしただろうな?」
ドールは絆を見ながらそう尋ねる。絆は食べているものを飲み込むと、
「なにいってるのさ、言わないとごはん抜きにされるんだから、当然言うって」
と答える。本人、一回それでごはんが出てこなくってガチ泣きしたため、
記憶に濃く残っているのだろう。
「ならいいがな。それじゃあまぁ、俺たちも食おうか」
「はい」
そういって、二人は手を合わせると、
「「いただきます」」
といって、それぞれ食べ始めるのだった。