~マイハウス 閃華の部屋~
「違和感はないか?閃華」
ドールは閃華を起こし、座らせたあとに義足を付けてそう言う。
「はい・・・どちらかというと、違和感が無いことに違和感を覚えると言いますか・・・」
「そうか、それはよかった」
ドールはそう言うと、立ち上がり、
「さてと、まずは歩けるか試してみてくれ。不都合があれば直すから」
と言うと、閃華の事を立たせる。
「ふえっ!?」
が、いきなりで驚いたのか、そのままバランスを崩し、
ドールに寄りかかる(と言うより抱きつく)形で動きを止めてしまう。
「っと、すまないな、急に立ち上がったせいでバランス崩させちまったか」
「だ、だいじょうぶでしゅ」
閃華はそう言いながら、ドールから離れる。
「す、すみませんでした」
閃華が少し顔を赤くしながら謝る。
「いや、むしろ悪いのは俺だろ。急にたったのが原因だろうしな」
ドールはそう言いながら、閃華に再び義足の確認をしようとして、
「・・・このやり取りはなかったことにします。それと、足の方は問題なさそうです!」
と、答えられる。
ドールは、閃華自身が気にしないといったので、そのままその記憶を頭のすみに追いやり、
「そうか、それはよかった」
と答える。
「ドール!ご飯の準備まだー?」
リビングの方から、絆のそんな声が聞こえる。
「少し待ってろ、いま行く!閃華、とりあえずリビングに行こうか。一応聞いておくが、歩けるよな?」
「心配してくれるのはいいですが、本人のいったことは信じるべきだと思います」
閃華が頬を膨らませてそう言うので、ドールは、それもそうだな、と言うと、閃華と共にリビングに向かうのだった。
~マイハウス リビング~
「ドール!私はお腹が減ったのだ!」
リビングに入って早々、絆はそう言いながら立ち上がる。
「お前は子供か!て言うか、俺の頬を突っついてる暇があるなら、普通に作れただろうが!」
「私が作った食べ物は、なんでかみずみずしかったり、パサパサしてたり、冷たかったりするんだよ!
前に私の作ったの食べた香華(こうか)ちゃんと白華(びゃくか)ちゃんが、
顔を青くしながら美味しいって言ってたのを私は覚えてる!あれはおいしくない時の反応だよ!」
二人がそんなことを言い争っていると、閃華が笑いをこらえるような声を出している事に気が付く。
「ドール、とりあえずこの話は後にしよう。閃華ちゃんにこれ以上笑われたら、私引きこもる自身がある」
「そうか?むしろ、場がやわらかくなったことに喜ぶべきじゃないか?」
「私にそんな芸人根性は無い!」
家の外にいた鳥たちが、絆の声に驚き、バサバサと飛び立っていく音が、近所に響き渡るのだった。