∞→0・ストラトス   作:さんばがらす

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ちょっと筆が進んだのでじわ

戦闘だけで一話使ってしまった……

要反省です。



思い知る

従来のクラリッサチームの作戦はこうだった。

まずクラリッサが前衛でゼロの攻撃をひきつけ、他の二人が誤射に注意しつつ、アサルトライフルの三点射でゼロのシールドエネルギーを徐々に削っていき、クラリッサが疲れると、役割をローテーション、というものである。

 

「ラウラのISは砲戦仕様だから、後衛の方がいいのかな?」

 

戦いが始まる少し前に、ラウラ、クラリッサ、ほか2名は作戦会議を行っていた。

 

「いや、相手は一人だ。AICで捕まえれば終いだろう。だから私は前衛で良い」

 

「分かった。じゃあラウラは私と前衛、エルザとウルスラは、いつもと同じ援護射撃よろしく」

 

「合点」

 

「承知の助」

 

もともとクラリッサのチームメイトであった二人が声をそろえて返事をした。

ちなみに、二人は一卵性の双子である。

 

「貴様ら、足手まといはなるなよ?」

 

「大丈夫、皆が与えられた役割をきちんとこなせば、今度こそ勝てるはず!!」

 

ラウラの徴発とも取れる激励に対し、暗に、足手まといなど発生する余地はない。とほのめかすクラリッサ。

そもそも、足手まといという言葉は、足手まといになっている人間側が発する言葉、感情である。

なぜなら、自分が味方を足手まといだと感じたなら、その味方を見捨て、個人戦をすればよいからだ。

 

だが個人戦で勝てるほど、ゼロは弱くない。

 

「……ラウラ、一応カノン砲に対空榴散弾かフレシェット弾かキャニスター弾を装填しといてくれる?」

 

「なぜだ。徹甲弾の方がシールドエネルギーを削るのには適している。それに弾が散れば誤射の危険性もあるぞ?」

 

「……あの人は、ただの砲弾なんか、見てから避ける(・・・・・・・)んだよ。だから面で攻撃するか、接近戦で戦ってる間ぐらいしか、まず射撃は通らないと思ったほうが良い」

 

説得もむなしく、結局ラウラは「AICで捕まえれば関係ない」と徹甲弾を選択した。

ラウラがゼロの異常な強さを理解していないことに、クラリッサは不安を覚えずにはいられなかった。

 

・・・

 

クラリッサの不安をよそに、試合は開始される。

 

「じゃあ、作戦通りに!!」

 

後衛のの二人が左右に散開し、90度の角度を保ち油断無くライフル十字砲火でゼロを牽制、その隙にクラリッサとラウラは二人の射線を遮らないように両サイドから切り込む。

 

「……」

 

ゼロは無言のまま、リコイルロッドを両手に構え、ラウラのプラズマ手刀とクラリッサのプラズマ膝刃を受け止めると、同時に体を駒のように回転させ器用に受け流した。

この超人じみた動きを見て、クラリッサはすぐに体勢を立て直しゼロに接近戦を挑む。

ゼロは、視界の外から飛んでくる援護射撃を、軽くジャンプすることでかわし、今度はトリプルロッドを持って応戦する。

 

クラリッサとほぼ同時に体制を立て直していたラウラはゼロをAICに捉えようと必死になっていた。

だが、ゼロはクラリッサと交戦していてうまく捉えることが出来ない。

 

「クラリッサ!! 邪魔だ。どけ!!」

 

「こうでもしないとっ! 後衛がっ、やられちゃうんだよ! ……うおぉい!!」

 

ゼロの槍捌きに圧倒されながら途切れ途切れに答えるクラリッサ。

しかし、その隙を見逃すゼロではない。

もとより千冬から「コテンパンにしてくれ」とGOサインが出ているのだ。

 

ゼロはトリプルロッドの石突でクラリッサを文字通り突き飛ばす。

 

「……」

 

そして、すばやくチェーンロッドに持ち替え、吹き飛ばされるクラリッサに巻きつけ、引き戻した。

 

「ぐえっ!?」

 

無理矢理引き戻されたことにより、クラリッサが素っ頓狂なうめき声を上げる。

 

「……まずは一人、サウザンドスラッシュ」

 

再度、ゼロとクラリッサが接近し、二人の間がキラリと光った瞬間

 

――クラリッサのシールドエネルギーが無くなった。

 

「……きゅー……」

 

気絶し、その場でばた、と倒れるクラリッサを尻目に、ゼロはラウラに向き直り、どこか呆れたような口調で言う。

 

「…………仲間が連撃を受けている時に中断させるのは、連携の基本だ」

 

「弱いやつの失態を、私が一々庇い立てしろというのか?」

 

「……さぁな。自分で考えろ」

 

ゼロはそういい捨ててラウラに背を向け、双子の十字砲火に向かって直進、多少は被弾したものの、双子と接近戦にもつれ込んだ。

 

『ラウラ、ワイヤーブレードで援護射撃、カノンは使っちゃダメ』

 

双子のうちの一人からプライベートチャンネルで指示が入る。

 

『何故だ! 当たらなくても牽制にはなる』

 

拡散しない弾種なのだから、狙いさえつけておけば誤射は起こらない。

 

そう考えたラウラは六本のワイヤーブレードをゼロに向けて発射しながら双子にいきり立って反駁した。

 

ゼロは間近に迫ったワイヤーブレードをトリプルロッドを弁慶のように振り回すことで弾き、一瞬足が止まる。

 

カノン砲を撃つ絶好の機会が訪れたところで、双子からの通信。

 

『……ダメ、あなたの腕前では、絶対誤射になる(・・・)』

 

――ラウラは、激怒した。

 

「私を、バカにするなぁぁーーーーーーっ!!!!!!!!!!!」

 

容赦の無いカノン砲の連射、放たれた徹甲弾は狙い過たずゼロへと向かう。

 

着弾の瞬間、ラウラはゼロと目が合い、その眼光に、まるで冷や水を浴びせられたかのようにぞっとした。

 

砲弾は、轟音を撒き散らし、周囲にもうもうと砂煙を巻き上げる。

 

……確かに、当たった。

 

だが、着弾前に見たゼロの表情からは、とてもあれで終わったとは思えないからだ。

 

ラウラは焦燥ばかりを募らせ、数分のように感じられた数秒が過ぎ去り、砂煙が晴れ、彼女は祈るようにそこを見た。

 

 

そこに立っているのが、あの双子であったらどんなに良かっただろう。

 

だがそこには――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――ゼロが無傷で立っていた。

 

 

「あ、あぁ……」

 

ゼロの足元には、双子が倒れていた。

 

思わず声を上げ、恐怖するラウラ。

 

ゼロは死神のように、光る剣を構えゆっくりと、しかし確実にラウラに近づいてゆく。

 

「う、うわぁああああああぁあああぁあああーーーーー!!!」

 

ラウラはパニックになりプラズマ手刀で切りかかったが、ゼロに難なくかわされ、無防備な体制をさらす。

 

――薙ぎ

 

――袈裟懸け

 

――大上段

 

ゼロの光剣が三度閃き、ラウラのシールドエネルギーは底をついた。




ゼロが無傷な理由は次回

割と無敵な感じのゼロですが、それはくろうさぎの隊員がまだ弱いからです。

千冬さんとか山田Tならいい勝負が出来ると思います。

>双子について
脇役きゃらです。
二人揃うと、クワガスト&ヘラクリウス・アンカトゥス並みの連携が出来る。……気がする。

エルザ・P・テオン
ウルスラ・P・テオン

名前は、あるゲームの双子から取りました。わかる人は分かる。
苗字は、ロクゼロシリーズの愛すべきザコキャラから

では、じわまで気長にお待ちください。

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