柘榴は花恋 -近頃、私、愛したい-   作:純鶏

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これは、宇垣 涼平が相田 政に宛てた手紙である。


宇垣の手紙

親愛なる友人。相田 政へ。

 

政がこの手紙を読んでいる時は 自分はどうなっているんだろう。

自殺できたのかな。それとも 誰かを殺してしまっているのかな。

でも 政のところにこの手紙が届いていた時 自分は死んでいると良いな。

そしたら きっと自分は死んだ意味があったなって思うよ。

だって それが誰もが幸せになる未来だから。

 

なんてね。そんなこと 自分が言えることじゃない。

結局 自分は自分を愛せなかった。大好きな人を愛さなかった。愛したい人を愛したくなかった。

だから 政から離れたんだ。自分は政のことを想っていたから 友達のままでいることを決めたんだ。

 

誰もが生きて 誰もが幸せで 誰も悲しまずに 誰も死なずに 誰も苦しまない。そんな人生を歩みたかった。

本当に愛する人を悲しませる未来を 自分は選ぶことなんて出来なかった。

だって どうしても自分を失うのが怖いんだ。

自分を失った先で 政の全てを失うことだけは本当に怖いんだ。

 

だから 政。

ごめん。本当にごめんな。

 

本当は口で言えると良かったんだろうけどね。

だけど今の自分だと それは難しいんだ。

きっと 自殺が出来なくなる。

 

もしかしたら 自分が謝ることで政には余計な重荷を負わせることになるのかもしれない。

けれど 謝らずにはいられなかった。

悪いのは政ではないけれど 原因は政にあるのだから。

 

ああ なんて自分は意地悪なんだろう。

こんなこと書かなきゃいいのにね。

でも書いちゃうのは 親友として自分が至らないせいなのかも。

きっと相田は自分と友達の縁を切っちゃうんだろうね。それも仕方無いのかな。

 

それでも 許して欲しい。許されることじゃないけど いつか許して欲しいと思う。

自分がもっと強ければ良かったんだけど 弱さに嘘はつけないから。

だから 弱い自分を 強くなれない自分を どうか許して欲しい。

 

そして 自分の分まで幸せでいて欲しい。不幸にならないで欲しい。

本当の愛を知った政なら きっと幸せになれるはずだから。

 

その代わりに自分が 愛したいという気持ちを抱えて死ぬからさ。

愛したいなんていう偽物の愛情に囚われるのは もう自分だけで十分なんだ。

絶対に。政にはそうなってほしくない。本当に 自分だけであってほしい。

 

だから 自分は 殺す。

自分を殺す。自殺する。自殺しなければならない。

殺さなければ誰かを殺す。

 

だから、さようなら。

政に会いたくなかった。

けど、政に会えて、よかった。

 

 

                      宇垣 涼平より

 

 

仕方無い 無理 するしかない

めんどうくさい

うごくだけ いっしゅん

 

やれよ なんで やるしかない なんで なんでだ りゆう しめい うんめい しゅくめい

きめた きめたんだ きめたから

だから まもるために すきなひとのために あいしてくれたひとのために あいするひとのために

ありがとう ほんとうに ありがとう

やる できる さすがだ 

だれもできない ぼくにしかできない じぶんだけ じぶんのため じぶんしか じぶんだから

すごい すばらしい うれしい すき あこがれる えらい やばい さいこう

 

いけいけいけいけいけ  いけいけ いけ いけいけいけいけ

いけいけ いけいけいけいけいけ いけ   いけいけいけいけ

いけいけいけいけけいけいけいけいけ  いけいけいけけけいけいけ

いけいけいけいけいけ  いけいけいけいけいけいけいけいいけい

いけけけいいいけいけいけい いけけけけいけけいいけいけいいけぃけぃ 

 




死別の未来編     ー 完 ー


       次章より、真実編が始まる。

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