俺がTS属性の二重人格者であるのは間違いないんですけど? 作:春の雪舞い散る
ガハマさんの惨分cooking? ガハマさんの浮き沈みの巻き
そう言って戸塚と別れて
( 少し遅くなっちゃたかな? )
そう思いながら部室に戻ると
ー 調理実習室に来なさい
と、いかにも雪乃らしい達筆で書かれたメモが貼られてたからそれを剥がして調理実習室に行ったはずなのに…
「雪乃…ごめん、変な事聞くようで悪いんだけどここって調理実習室だよね?
アタシ、間違えて炭焼き工房に来ちゃっのかと思ったよ、練炭術師さん…それ一体何なの?
もしかしてクッキーのつもり? 調理台に並ぶ道具や材料から察するに…
でも、ハッキリ言ってやるけど自分が可愛いアタシは死にたくないから毒味は断固拒否するっ!
最低でも製造者のアンタが食ってからでなきゃ絶対に無理だからね? 」
そうアタシに言われて恐る恐る口に運ぶと涙目で
「 苦い… 」
そう一言こぼすのを見て山菜なとの毒味の要領で極微量の欠片を舌に乗せて溶かしてみると
エスプレッソより苦くマッカンを遥かに凌駕する甘さ… 舌がピリピリする程のこの刺激は一体どうしたら…
「 そもそも何でクッキー焼く気になったんだ? 」
アタシが聞くと
「 ある男の子にお礼がしたくて… 」
ほほを染めもしもじしながらはずかしそうに言うのを聞いて
「 そうか、成る程…取り敢えずはぜろリア充っ! 」
そう毒を吐いてやったら
「 な、なんでだし? 」
そんなおめでたいことを言ってくるから
「 さっきの宣戦布告が聞こえなかったのか?なんなら明日白の手袋の左手袋を用意しても良いんだかな?
と、そんな冗談はさておくとしてそう言う話ならとりあえず現状を知れ、優しいみんなの葉山くんならこれでも食べてくれるんじゃないのか?
アイツの靴箱に入れてみて確かめてみろよ?
なんならアタシが代わりに入れといてやるから今日はもう帰んなよ?アタシが可愛くラッピングしていれといてやるからさ
クッキーについてはまた明日にでも付き合ってやるからさ 」
そう言って調理場から追い出して雪乃と後片付けをしてると
「 貴女、葉山隼人がアレを食べると思うの? 」
と、わかりきったことを聞いてくるから
「 100パー棄てるしさすがにこれを食えとは言わないけどどこに捨てるかによるんじゃないの?
せめて校外に持ち出すくらいの優しさは見せるべきだろうけどあのエセ紳士は確実に玄関のゴミ箱に捨てるよ
皆の葉山くんの癖にさ…明日が楽しみだよそう言って調理場の片付けを終えるとアタシ達それぞれに家路を急いだ 」
翌朝予想通りに葉山玄関のゴミ箱に捨てそれを見ていた由比ヶ浜が一日中落ち込んでいたのを知っているのは優しい戸塚が心配して
「 今日は由比ヶ浜がさんが一日中落ち込んで静かだったのはなんでかな? 」
そんな事を言われてホントは訳を知ってるけどそれは守秘義務で言えないことであるのと戸塚が由比ヶ浜が心配してるのが気にくわなかったアタシは
「 知らない、アタシは由比ヶ浜の知り合いですらないしハチも認識すらしてない
アタシにとってはせいぜい葉山グループの一人くらいでしかないからね……
戸塚、そろそろ教室戻った方がいいよ?アタシも部室で自習してるから未だ八に戻って…いやなんでもない忘れて
それとこれ、アタシが昨日焼いたヤツなんだけど…迷惑だったらせめて学校の外で…アタシがいないとこで捨てて… 」
昨日アレから家に帰ってから晩ご飯の支度ができなかたお詫びにクッキーを焼いて小町と食べたんだ
勿論たくさん焼いて親父と母ちゃんの弁当と一緒に持たせたから皆と食べてくれてる…
いや、母ちゃんはともかく親父の事だから隠れて一人食べてる可能性は高いよな?
まぁ葉山みたいに不味そうだからって送った相手が見てるかもしれない場所で捨てる訳じゃないからましだけどな
そう言って逃げ出すように駆すアタシは格好悪かった
その戸塚はと言えば、アタシがクッキーを渡してるところを見ていた材木座にやっかまれていたのはアタシの知らない話だ
② 復活のガハマさん
今日は特に依頼が無いから授業に出てないアタシ達を心配した雪乃が勉強を教えてくれていた
因みに八はアタシが得た知識などの経験値は睡眠学習として獲得できると言う全く良いご身分である
しかしやはり学年一位は伊達じゃないな、頭脳面は八の劣化番であるアタシはかなり理解力が足りてないので今のままでは学年の中の上くらい
簡単に言ったら平均よりチョイ上くらいって所だからやっぱり早々に八に目を覚ましてもらわないと色々と面倒臭い事態になるんだろうな…
そう思ってたら
( この気配と足音と気配… )
「 雪乃、牛が来たぞ… 」
アタシがそう告げると一拍置いて
「 ヤッハロー 」
なんともアホっぽい挨拶をして来たが付き合ういわれはない
「 牛よ、昨日も言ったはずたがここは隣人部じゃないし小鷹も居ないから他を当たれ、それとお帰りはあちらだ 」
そう言って退室を促すと
「 だからなんであたしが牛なんだしっ! 」
と、煩いから
「 ヒントはボクに友達は少ないと言うラノベを読め答えはすぐにわかる、それと見てわからんか?アタシは有能な師の導きで勉学に忙しい静かにしろ
お前は私の敵だといったはずだが? 」
そういい掛けてアゴに手を添え考え込み…
ニヤリと笑うと鞄から可愛くラッピングした包みをだして
「 悪いが雪乃、夕べあたしが焼いたクッキーだが是非味を見てほしいのだが…
妹や両親は美味しいと言ってくれるがやはり身びいきがあるから素直に受け取ってよいのかわからなくてな…」
アタシは内心由比ヶ浜んせせら笑いながら雪乃に渡すと中身を見た雪乃がホッと息を吐き
「 生姜のクッキーね? 」
そう言われて
「 さすが雪乃だ匂いだけで気付いてくれるとはな、雪乃が淹れてくれる美味しい紅茶に合えば良いなと思って焼いたんだが… 」
そう言って感想を待っていると
「 貴女の勉強もキリが良いからお茶にしましょう、せっかく貴女が紅茶に合うクッキーを持ってきてくれたのですからね…
よろしければ由比ヶ浜さん、貴女ももご一緒にいかがかしら? 」
そう言って誘われた由比ヶ浜がアタシの顔を見ながら
「 八重ちゃん… 私も一緒して良いの? 」
そう聞いてきたから
「 ?、忘れたのか? クッキー作りに付き合うと言ったのを…
みんな仲良くと言いながら送り主が見てるかもしれないあの場で平気で捨てるような葉山と一緒にするなっ!
そんな葉山隼人か一緒にお茶したいと言ってきたとしても雪乃がどう取り成そうが断固拒否るがな 」
それにどうせ呼ぶならアタシ的には他に呼んでほしい人がいる…
アタシは言葉に出来ない戸塚への気持ちがわからずモヤモヤとしながらそれでも由比ヶ浜の馬鹿話をぼーっと聞き流していた