俺がTS属性の二重人格者であるのは間違いないんですけど? 作:春の雪舞い散る
「 川崎、済まなかったな…やはり感情的になりやすい由比ヶ浜は連れて来るべきじゃなかった
悪気は無いから許してやってほしい、とは言わないが悪気が無いのだけはわかってほしい
で、雪乃はどうする?頭冷えた?冷静に話せないなら席はずして
雪乃が今どう考えてるか知らないけど、はっきり言って川崎の今後の人生に関わるとこまで踏み込んどきながら無責任なきれい事しか言わないならここは手を引いてもらうしかないんだけど? 」
そうアタシに言われて溜め息を吐き
「 わかったわ、どうやら貴女はもう打開策を見付けてるみたいね? なら私は貴女の判断に委ねましょう 」
そう言われて
「 そう、有難う… 取り敢えず交渉材料は今手元に無いから明日… もう今日か…
仕事終わったらすぐそばのマック来て、そこでこちらの交換条件を提示するから考えてほしい… 蒼空とけーちゃん為にさ」
アタシにそう言われて
「 アンタ、見かけによらず随分とズルい奴だったんだね… 」
そう呟くのを聞いて気色ばむ雪乃を制し
「 守りたい者の為なら手段は… 犯罪にならない範囲でなら選ばない、なんでもありだ
でも、今回のアンタがアウトなのはわかるだろ?
…マックで待ってるからさ」
そう言って会計を済ませ店のまえで隼人と由比が浜待っていたから二人に
「 アタシは近くに在るマックで軽く食べといて材木座に頼んだもの受けとる為待ち合わせしてるけど二人はどうする?
なんなら隼人は二人送ってくれても良いんだけど… ひっ」
「「 それは材木(座)君と二人っきりで合うと言うことかしら ( かい ) ?」」
そう迫力在る顔で迫られ
「 二人っきりって… 店内なんだから他に客もいるんだし… 何よりあの材木相手にそれはちょっと… 」
二人の迫力に後ずさるアタシに結衣ではなく由比ヶ浜と呼ばれたのか相当にショックだったらしい結衣が
「 ねえ八重ちゃん、アタシは帰らなきゃダメ? 」
そう思い詰めた顔で聞いてくる由比ヶ浜に
「 まぁね… 」
アタシにそう言われて項垂れる由比ヶ浜とこの先の言葉を予測している二人かにやにや笑っている
「 結衣のお母さんだって心配してるし、アタシだって小町が心配してるんだから結衣だけに帰れっ! て、言うのは自分に跳ね返ってくるブーメランだと思うよ?
だから、アタシはどうしたいのか希望を聞いたんだからね
まぁ、結衣や隼人なら今からカラオケもアリなんだろうけどアタシは無理… マジにそろそろ限界だからマックで軽く食べて仮眠とりたい 」
そう言ってアクビするアタシを見ながら溜め息を吐き
「 ほら葉山君、八重さんが今にも寝てしまいそうだからマックまでおぶって行きなさい
私達も少し休みたいのだから早くなさいね 」
そんな雪乃の言葉を遠くに聞きながらアタシは意識を手放した
⑤ 沙希と大志
「カフェオレで良いかしら?」
目を覚ましたアタシに気付いて水を差し出しながら聞いてきた雪乃に
「うん、頼む」
少し寝足りないアタシが寝惚け気味にゆーと
「 お水飲んだら顔を洗ってらっしゃい目が覚めるわ 」
そう言われて又ひとつ欠伸をしてから
「 ん~っ… 」
と、答え飲み終えたグラスをテーブルに置きふらふらと洗面所に向かうことにした
顔を洗い席に戻るとようやく存在を認識した材木座と川崎沙希が到着したところで
「 ご苦労だった、材木… 川崎もお疲れさん 」
そう声を掛けると眉を潜めた川崎が
「 皮肉かい? 」
そう聞いてきたから
「 あの店はまだ早い、割りが良いなら大学生になるまで待てよ?
ってそう思ってるだけだしお前が働いてきた事実にお疲れ様を言えないほど嫌ってる訳じゃない
で、言い訳を聞くから言え… アタシはおおよそのアタリをつけた上での提案だが心配してたアイツにちゃんと話してやれ 」
遅れてきた大志と小町に気付いた川崎が
「 大志、アンタこんな時間にナニやってんだいっ!? 」
「 それ、姉ちゃんがゆーのかよ?朝帰り繰り返してた姉ちゃんがさっ! 」
間髪入れずに言い返された川崎がアタシを睨んで
「 比企谷、大志を巻き込むなんて 「 違うよ、姉ちゃんっ! 比企谷さんのお姉さんと奉仕部の皆さんは俺が頼んだんだから俺の方が巻き込んだんだよっ! 」」
そう大志に言われて唇を噛み締める川崎に
「 取り敢えず川崎に小町と大志も座れよ… 悪いが三人にリクエストを聞いて飲み物を頼んできてくれ
代金はチケットで良いだろ? 」
そう言ってから
「 結衣と隼人に聞くが最近クラスで変わったことはなんかあったか? 」
そう聞いたら二人とも迷わずアタシを指差しやがった
『 人を指差しちゃダメって母ちゃんに習わなかったのかよ? 』
そう思ったが思っただけにとどめ
「 うっせ、アタシの事は今さらだからほっとけ
まぁそんな事は材木よりどうでもいいから… つまりアタシが聞きたいのは教室内に川崎が今の行動をとる理由はないわけだな? 」
そう聞いたら
「 まぁそう言う話しなら特に見当たらない… になるのかな? 」
「 八重ちゃん…彩ちゃん好きなのは良いんだけどもう少し他の人に目を向けようよ?
彩ちゃんにも注意されてるでしょ? 」
等と言われる始末だから
「 だから、それはいつか別の機会にしろっ! 全く… さっきから話がちっとも進まんだろうがっ!
あー、済まん大志… 話がだいぶそれたが川崎家で最近変わったことはなんかあったか? 」
そう大志に問い掛けると
「 俺が塾に通うことになったくらいっすけどそれがなにか? 」
そう逆に聞き返されたが
「 アタシ等も来年受験、アタシは夏期講習から予備校に通うつもりだけど皆はどうすんの?
結衣は大学行く気なら今からでも頑張らないと結構ヤバイんじゃないの? 」
アタシの言葉に川崎が微かに反応したのを見てやはりと思ったが今は触れずに様子を見ることにして
「 そうだね、どうせ行くならよりレベルの高い学府で学びたいからね 」
と、葉山が答えれば
「 国立大目指すからには必須でしょうね? 」
まだアタシの意図に気づけない雪乃は疑問系で答え
「「 大学進学なら行く 」」
は結衣と材木の答えで未だ進路を考えてないらしい
「 予備校… 行きたいんだろ? でも共稼ぎでかつかつならそう簡単に頼めんわな
ただでさえ大志の塾代で出費がかさんでるんだろ? 」
アタシの指摘にうつ向く川崎に
「 そうなのか? 姉ちゃん、だったらなんでっ! 」
「 だからアンタは知らなくても良いって言ったんだよっ! 」
大志に向かってそう言い捨てる川崎に
「 あの~… あたしから一言、言わせてもらいますけど… 今ここにいらっしゃる皆さんはお姉ちゃんが抱えてる病気の事はもちろんご存じなんですよね?
だからわかってくれるって思うんですけど、お姉ちゃんって面白かったり楽しかった事しか話してくれないんですよ
まぁ以前の、何も話してくれなかった頃よりはずっとましですけどあたしだってお姉ちゃんの事心配してるんだって…
その辺りの事を少しはわかってもらえると下の子として嬉しいかな? って思うんだけど… 」
そう言って苦笑いをアタシに向ける小町と
「 俺も大体そんな感じっす、姉ちゃんが俺を心配してくれるのは嬉しいっすけど俺だって姉ちゃんか心配なんすからね? 」
そう二人から言われ
「「 済まんな ( ないね ) 」」
そう言って頭を下げるアタシと川崎だったが
「 八重殿? 」
そう材木座に声を掛けられ
「 あぁ、そうだったな… で、やっとここからが本題なんだが川崎、スカラシップって知ってるか? 」
「 スカルループ? 」
と、とんちんかんなことを言う結衣に
「 結衣、川崎はうちの親父と違って薄毛で悩んでないからな?スカラシップだ
勿論、アタシも申請して上手くいったらその浮いた分で小町の卒業と合格祝いの家族旅行を頼むつもりだ
正直、動機は不純だが自分の学力の目安になるしそうなれば川崎、勉強頑張るしかないだろ? スカラシップからはずされないようにな 」
そう言ってニヤリと笑うアタシはさらに
「 確かに川崎がゆー通りに未だガキのアタシ等に金は何とかしてやれない
でも、焼け石に水かもだけど夕方や土日のバイトなら大志が居るし大志に塾のある日はアタシも手伝う 」
そうアタシが言うと
「 あ~っ、そーゆー事ならあたしだって小さい子好きだし家に遊びに来てくれたらママも喜ぶと思うから任せるし 」
そう得意気に言うのを聞いて
「 と、ゆー事だ… 元ボッチのアタシが偉そうなことゆーようだがアタシを、そしてせめて今ここに居る奴等にだけでも頼ってみろよ? 」
「 お姉ちゃん、戸塚さんもでしょ? 」
そう小町にチャチャを入れられて
「 その案は却下だ、川崎… 覚えてもらいたいが彩加に甘えて良いのはアタシだけだと言う事をなっ! 」
と、凛々しく? 宣言したらドン引きする小町と川崎姉弟
「 八重ちゃん彩ちゃん好きすぎだしぃ 」
と、言って呆れる結衣といつものアタマイタポーズの雪乃にナゼか歯軋りする隼人に涙する材木座
アタシ、なんか変なこと言ったか?
そう思って首をコテンと倒すアタシだった
その後引き継ぎなどを済ませ円満に店を辞めるまでは毎日アタシがけーちゃんのお迎えをしてサポートし、この難局を無事に乗り越えることができた