俺がTS属性の二重人格者であるのは間違いないんですけど? 作:春の雪舞い散る
② 仮面の女
アタシ達の練習が終わりを迎える頃、雪乃によく似た人が現れていきなりアタシに抱き付いてきた
「 え、あ、ナニ、アンタダレ? 」
焦るアタシをその人から引き剥がして
「 いきなり現れてこんな真似して… 一体何のつもりなのかしら? 姉さん … 」
そう言ってその相手を睨み付ける雪乃にその人は
「 雪乃ちゃんがいけないのよ? いつまで待ってもお姉ちゃんに八重ちゃんを紹介してくれないからお姉ちゃんの方から会いに来ちゃったっ❤
八重ちゃん、私は雪ノ下陽乃… でも、八重ちゃんは私の事をお姉ちゃんって呼んでね 」
と、その謎のテンションと理解不能な言動に眉を潜めていると
「 ほら、いきなり変なことを言われて八重さんが戸惑っているじゃないの…
取り敢えず汗をかいてる人達は汗を流してくると良いわ 」
そう言われて、雪乃と隼人以外がシャワーを浴びる事にしてシャワールームに向かうことにしたけどナゼか姫菜だけ手招きされて呼ばれてるんだけど嫌な予感しかしない
お洒落とかに関して、とにかくずぼらなアタシの髪を甲斐甲斐しく乾かしてくれる優美子は口煩く小言を言ってる割りには嬉しそうに見えるのはナゼだ?
シャワールームで汗を洗い流したアタシ達だけど…
「 はぁ?ナンですか? それ… 」
そう言わざるを得ないその服はとあるソシャゲーで主人公が着ていた水色のエプロンドレスに純白のハイヒールブーツ
オプションにホルスターも付いてるってナンなのこのムダに精巧なオプショナルパーツは?
「 陽乃さんって人から預かったんだよっ♪ 」
そう嬉しそうにゆー姫菜だけどこのコーデは在る意味洒落にならんのだけど?
だってなぁ~っ… 美少女と心が入れ替わった主人公が着てる服をTSのアタシに着せるとか一体どんな神経してるの?
優美子はその意味知らないみたいだから単純に可愛いって思ってるみたいなんだけど姫菜はこのネタ知ってそうな… てかもしかし腐……?
「 ホレ、鏡観てみ? 」
優美子にそう言われて目を開けて鏡をみると飴色の長い髪の髪の少女が目をぱちくりさせながらこっちを見ていたけど瞳の色がな…
簡単に言えば右目はブルーアイズホワイトドラゴンのブルーアイに左目は深紅の瞳… レッドアイズブラックドラゴンのレッドアイになってるんだけどナンで?
ナンかアタシって訳わからんキャラまっしぐらナンですけど?
もちろん長い髪の毛を編んで三つ編みカチューシャにしてくれた優美子、乙
ただなぁ~っ… ナンでこうなったんだっ!
ってそう思うとげんなりしながらシャワールームを出たアタシを見て皆が固まった、陽乃さん以外がな
おまけに、コスプレのせいで変に人目を引いてるから視線がマジうざい
取り敢えずアタシ達は用意した朝食
アタシがおにぎりに雪乃は和惣菜、結衣はサラダとデザートに彩加は洋食のおかず
そう思いながら並べていると確か都築さんって言ったか? 雪ノ下家の執事をしてる人が部下らしい人をつれてスーパーの惣菜らしき物を持って現れ
テーブルに並べ始めるのを見て感嘆の溜め息を吐く結衣と材木に 「 あははははっ… 」 と、苦笑いを浮かべる彩加とこめかみを押さえる雪乃に冷めた目でそれを視るアタシ
「 いただきます 」
『 いただきます 』
陽乃さんが雪乃に何か言わせる暇を与えずに音頭を取って食事が始まった
結果オーライ? ちょっと多いかな? そう思いながら持って来たおにぎりは炊飯器エビピラフのおにぎりと解凍した白いご飯に青菜を混ぜ込んだご飯をベースに鮭、オカカ、梅干しを具に握ったおにぎりが20個
雪乃はだし巻き玉子に塩鮭を焼いたもの、ほうれん草の白和え
彩加はミートボール、唐揚げ、エビフライ
結衣はポテサラ、スパサラ、はふミックスフルーツのヨーグルト和え
陽乃さんが用意させたものはピザ、サンドイッチ、フライドチキンにフライドポテト、生春巻き、ローストビーフと言ったところか?
たっぷり身体を動かした後だけに隼人以外の男子の食欲はスゴく料理はみるみると減っていき良い笑顔で喜んでくれている
飲み物はアタシが用意した麦茶を凍らせたのとマッカン以外は炭酸がメインだから麦茶なくなったらナンか買いに行った方が良いのかも?
食後のマッカンを飲みながら対優美子の作戦を練っていると
「 八重ちゃん、お姉ちゃんこの後ちょっと用事があるからもう帰るね
それと今日の洗濯物はお姉ちゃんが洗濯しておくし八重ちゃんが用意しておいた服は雪乃ちゃんに預けていつでもお泊まりできるようにしておくね 」
そう言われて
「 …………… 」
雪乃のお姉さんの耳元に囁くと一瞬驚いたがすぐに笑顔を取り戻し
「 !? 」
驚きの表情を浮かべる雪に笑顔を向けると
「 うん、思ってた通りにやっぱり面白い娘だよ、八重ちゃんはっ♪ 今度お姉ちゃんとも遊びにいこうねっ♪ 」
そう言って洗濯物と空のクーラーバッグに、空のペットボトルを都築さんに持たせ去っていく陽乃後ろ姿を見送っていたけど
「 どうやら隼人はあの娘に気があるみたいだけどむりたね、隼人の器に収まりきる子じゃないんだよねぇ~っ…
少なくとも現状の隼人のままなら、私も雪乃ちゃんも反対するしナニよりあの娘の視線は全く隼人の事を見てないって事だよね…
これから色々忙しくなりそうだけどそれ以上に面白い事になりそうだよ 」
都築さんが運転する車で、陽乃さんがそう呟いている事を知らない私は雪乃
「雪乃のお姉さんってスゴいのな…」
嵐が去るように去った陽乃さんを見送ったアタシがそう呟くと
「えぇ、頭脳明晰容姿端麗でおまけにスポーツまでこなせるんだから…」
悔しげに言う雪乃にアタシは
「違うよ、そんな事なら雪乃を見てたら大体想像できるよ
アタシが言いたいのはあの人って何枚の仮面を被ってるのかな?って思ったんだよね… 」
アタシがそう言ったら
「 もしかしてさっき姉さんの顔色が一瞬変わったのは… 」
驚きの表情の雪乃がそう聞いて来たから
「 ん、仮面を外した貴女に会ってみたいって言っただけ 」
そう事も無げに言うアタシを見て
「 怖いもの知らずと言うか…姉さんが気に入って大人しく引き下がるわけだわ…
でもね、八重さん…厄介な人に目をつけられたのに違いはないのだからその覚悟は必要よ? 」
えぇ、本当に厄介な人に目を付けられたわよ? 八重さん
あの人が目をつけたって事は早かれ遅かれ父さんと母さんの目にも止まる…
貴女の周りはいよいよ騒がしくなるわよ? 覚悟しておきなさい…
アタシの知らないところで回り始めた運命の歯車はどんな糸を紡ぐのだろうか?