やはり俺がおとしものを拾うのはまちがっている。 作:yoshikei
ちなみに、時間的には、八幡が奉仕部に入り、ガ浜さんのクッキーの依頼が終わった辺りです。
ふぁぁぁ
大きなあくびをしながら、俺は自分の部屋で目を覚ました。
「おはようございます。マスター」
横からそんな声が聞こえて来た。
……ああ、そういえば、昨日の夜空から降ってきたんだっけ?
「マスター、あなたの楽しめることを何なりとご命令ください」
自らをエンジェロイドと呼ぶそれは、顔を近づけながらそう言ってきた。
「ほしいものでも良いんです。私たちエンジェロイドはマスターを楽しませるためだけに作られたものですから」
顔が近く、ボッチの俺にはきつかったため目を背けようと下をみたのだが、それがまずかった。
胸でけぇ!
俺は慌てて壁をみた。
「ほしいもの、ねぇ……」
俺は意識をそらすために、なにかないかと考える。
「はい」
……俺の、ほしいもの…………。
俺は考えを巡らせる。
生活に必要で、どれだけあっても困らないものといえば、金か?
「か、」
「か?」
「か、金とか?」
俺はこんなよくわからないものに手を染めたくなかったが、一番無難そうで何があっても大抵は困らないであろうものを言ってみた。
その間も、顔は壁に向けたままだったりする。
「お金、ですか?」
だって、あんなに大きなものが目の前にあったら、大変じゃないか!それも、かなり容姿の整ったやつのだぞ!俺なんて、告白して1秒もたたずにフラれるまである。
…フラれちゃうのかよ、俺……。
「一千億ほどでよろしいでしょうか?」
そんなことを言ってくる。
一千億?え?それって一千億ジンバブエ・ドルってこと?まあ、それでも、60億円くらいにはなるんだろうが……。
「そっ、そうだな。それだけあったら、一生働かなくても生きていけるな」
俺がそう答えると、そいつはどこからか一枚のカードを取りだした。
「トランスポート」
そいつがカードに向かってそう言うと、そのカードが光だし、別の物へと変化した。
カードは電卓のようなものになり、そいつは電卓のようなものを操作した。
ポチポチポチ…
そいつが電卓の操作をやめると、
ドサドサドサ
「うわっ!」
俺の頭の上から、札束が大量に落ちてきた。
落ちてきた札束の一つを手に取り、見てみると、日本円のようだった。
(……まさか日本円で一千億ってことなのか?」
「はい。その通りです。マスター」
「マジで!?」
俺は驚きながらも、なんとか話せるように精神を落ち着かせる。
そいつのほうをパッとみると、手に持っていた電卓のようなものはすでになく、変化する前のカードの状態になっていた。
「なっ、なんだ?そのカードみたいなやつは、どういうものなんだ?」
「このカードは、こちらの言葉でいうと転送装置なんです」
「転送、装置、、」
「マスターのご要望に応じて、シナプスから必要な機器を取り寄せるんです」
「シナプス?なんだそれ。聞いたことないぞ?」
「シナプスがなにかについては私のなかには情報がありません。私もマスターにであって目覚めたばかりですから」
そいつは、一呼吸おいてからさらに話し出した。
「私は愛玩用エンジェロイド。タイプα、イカロス。マスターを楽しませるためだけに作られた、シナプスの製品です」
シナプス。どう考えても、俺たちの知っている世間ではない場所にあるものなのだろう。
こんなものが作れて、空まで飛べるとかおかしすぎる。
こんにちはyoshikeiです。
今回も最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
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今後ともよろしくお願い致します。