Guilty Bullet -罪の銃弾-   作:天野菊乃

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【episode26】

「どういうことだ集!説明しろ!!」

「叫ぶなッ」

 

 謎の集団を捕捉した集は全力疾走で目標地点へと向かっていた。このペースで行けば本来、時間より早く着くことになりそうだが、謎の集団との戦闘は逃れられないだろう。

 

「おい集!!」

「───ッ!つべこべ言わずにとっとと走れ!!」

 

 なぜあの集団が現れたのはわからないが、谷尋の言葉から推測するに、目的のものはキャンサー化した潤だろう。科学者たちにとってキャンサー化した人間というのは研究道具の格好の的だ。

 義眼を解放してなお、追いつかない超スピード。正直、勝てるかどうかはわからない。

 その時、谷尋が背後を振り向き、震えた声で呟いた。

 

「……強化、外骨格」

 

『一体で一国を滅ぼす』兵器として開発され、強固な装甲と凶悪な生体兵器を内蔵した生体パワードスーツ。

 内部を構成する生体パーツには数多の戦争捕虜が使用され、痛ましい人体実験の上に開発された死の鎧。

 

「……もう、無理だ。お終いだ」

 

 エンドレイヴ並の機動力と力を持つ彼ら相手に人間では対抗出来ない。

 例え、義眼を解放、装備を揃えても一人倒すのがやっとだろう。普通の兵士とは訳が違う。怪物退治は専門外だ。

 

「スピードを上げろッ!!」

「これが、限界、だって!!」

「このッ……!」

 

 集は谷尋から奪う形で潤を背負い直す。キャンサーの棘が皮膚に突き刺さり、鈍い痛みが集の体に襲いかかる。思わず呻き声を上げるが、集は再び走り始めた。

 

「これなら少しはマシだろ!」

 

 そう言って、目標地点へと向かう。そこで、集はやはりなと内心毒づく。

 俺には涯のように人を奮い立たせる力がない。命令することなんて金輪際、一切喝采やりたくない。

 

「谷尋!こっちだ!!」

「あ、ああ!」

 

 道の角を曲がり、目標地点付近へと辿り着く。

 辺り一面、大量のコンテナが積まれているため、時間稼ぎにはなるはずだ。

 

「慎重に行くぞ」

「本当に……大丈夫なんだな?」

「心配してる暇があるなら気配を消せ」

「俺はお前じゃないんだぞ」

 

 なら息を小さく吐け、と軽いアドバイスをすると、集は地面に潤を降ろしながら緑色のコンテナの方を指さす。

 

「あの緑色のコンテナが俺たちの合流地点だ。谷尋、お前は潤くんと一緒に気配を殺してあと数分やり過ごせ」

「だから無理だって!」

「つべこべ言わずにやれ!俺を困らせたいかッ!!」

 

 一喝すると谷尋は押し黙った。

 

「……絶対に見つかるなよ。全身の骨を粉砕させてでもお前を委員長に会わせるつもりだからな」

 

 聞こえないくらいの声で言い、強化外骨格が来ているであろう方角へ向かう。

 

 ───勝率は五パーセントにも満たない。勝てる見込みもなく、嬲られるだけだろう。

 だが、それでも俺は大切な人たちを守ると誓ったんだ。

 

「……あそこか」

 

 最初に確認した人数分しっかりといる。どうやら、集団行動を主としているようで、単独行動は行っていないようだ。安堵の息を吐きながら武装確認を行う。XD拳銃にベルトに仕込んだ仕込みナイフ。そして、木更から奪うようにして手に入れ、改造した焔光(えんこう)

 実の所、ミニガンやアサルトライフル、もっと言えば天ノ柱が欲しいところだが、欲張りも言ってられない。

 集はコンテナから飛び降り、走りながら跳躍。

 

「───天童式格闘術ニノ型四番」

 

 強化外骨格の部隊の一人に強力な踵落しを繰り出した。上空から来ると思っていなかった彼は対応に遅れ、ヘッドが大きく凹む。

 

「隠禅・上下花迷子(しょうかはなめいし)ッ!」

 

 着地と共にその技の名を言う。

 

「さあ、やり合おうか」

 

 地面を蹴り、強化外骨格の部隊に飛び込んだ。

救いは(期限:The Everything Guilty Crown 投稿まで)

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