小噺集   作:畑の蝸牛

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※二部構成、会話メインでお送りします。ぐだってるかもわからん。
あと僕はクトゥルフ神話大好き人間です。


空に落ちる

 

 

「なぁ(まなこ)、知ってるか?」

「あの、名字で呼ぶの辞めてもらっていいです?トラウマがコンニチハするんで」

「じゃあ、メガネ」

「それはソレで…まぁ、いいや。で、何の話です?」

「お前さ、UMAとかオカルトとか好きなタイプ?」

「どのレベルなら好き、と言えるかは知りませんけど…嫌いじゃないですよ」

 

「うーん。なんか納得いかねぇなぁ」

「何がですか」

「いや、こっちの話。でさ、こっからが本題。お前、空の国って聞いたことある?」

「なんですかその飛行機雑誌みたいな」

「あるけど。そんなの確かにあるけど、そうじゃないんだよ!」

「珍しいですね、部長がハツラツなの」

「そんなに普段のオレ元気ないのん!?じゃなーくーて!しないの!?」

「何がですか」

「ワクワクテカテカだよ!」

「しねーよ」

 

ここで部長氏アメリカ式やれやれの型である。

 

「あの…無言でソレやられると右ストレートが黙って無いんですが」

「うん、シャレにならないから止めようね。」

「で、ラピュタがどうしました?」

「そうそう不思議な石がね〜って違う!オレをのせるなよ!」

「のった人が悪いです。それで証拠とかあるんですか?」

「そのセリフ犯人ぽいな」

「アタマをかち割ってやろうか」

「間に合ってます」

 

部長は雰囲気を変えるために咳払いをひとつして空の国の証明を始める。

「最初に見つかったのは、壊れた陶器だったらしい。出土品なら壊れてるのも不思議じゃない。問題だったのは…どの時代のものでもないってことだ。」

 

「え?どういうことですかソレ」

「陶器のデザインとかさ、焼き方とかさ、そういうの全部が、どの文化でもないんだよ。地球産じゃないって言ってもいい。」

「…それ、もうホラーじゃないですか」

「そうだな。お前がそう思うならそうなんだろう」

「私の中では、ですか」

「そういうことだよ」

 

「他にもあるんでしょう?」

「察しが良くて助かる。決定的じゃないのならまだまだある。」

「例えば?」

「UMAの墜落死体、決まった場所、時間に現れるUFOとかな」

「聞くだけで鳥肌なんですけど…」

 

「でさ、メガネ。」

「なんですか」

「そんなのが本当に居たら、どうする?」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

どうしたらいいんだろ。さっきからクシャミが止まらないんだけど。

 

「オマエ、誰かに呪われてんじゃねーの」

「ナチュラルに心っクシュン、あー読むのやめろって」

「止められないし、なんなら止まらないんだ」

「そーですかー」

「どうでもいいかよ」

「そだよっクシュン」

「いや、ホントまじで大丈夫?」

「大丈夫、じゃ、ない」

「寝とけば?」

「今日のっクシュン、当番だし」

「真面目だな」

「知るかよ」

 

心配するよりも鼻かむもの寄越して欲しいんだけど、と目で訴えてみる。チッこっちの意図分かっていながら笑いおったぞコイツ。

 

「そいえばさ、空の下に何か居るかもしれないって聞いたぜ」

「ふーん」

「やる気無いねぇ、どうしたのさ」

「いやそれ何年前の話だよ。つーか学者の話題だろ?興味ねーよ」

 

空の下に思いを馳せる学者は確かに居る。だが、そんな学者は大体が気が触れてる、とか頭が焼かれてしまった、とか言われて隅に置かれるのが定石なのだ。

 

「この目で見たんだよ、空を白いモノが…泳いでる?動いてる?んーなんて言えばいいんだろ」

「ハァ?お前も遂に頭がやられたのか?」

「そう思ってもらってもいい。暇なときにでも空を覗き込んで見ればいいさ」

「暇があったらな」

「おう、頼むぜ」

 

こんなバカ話してる間に仕事の時間だ。隣のコミュとしっかり情報交換しないと、明日をもしれない身となる。そこまではないか。無いといいなぁ。

 

"他のやつの話を聞かないヤツだな"と怒られたことがある。自分は、その言葉を、省みることなく、生きてきたんだな、と思い知った。




会話したり、登場人物が増えると、文字数も増えることがハッキリと分かったのでがんばる

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