小噺集   作:畑の蝸牛

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今回は前半と後半で人物が違うので注意です。後半の人は再登場。


蜃気楼

 

 

視界がぼやけた。遠くに見えるビルの群れが揺らいでいる。あぁ、これが蜃気楼ってやつか。ビルってことは何気に摩天楼ともかかってるな。自然というものは風流に満ちたものだなぁ。

 

いや、最初は目が悪くなったのかとも思ったが、視力検査万年フルスコアが慌てるところだった。視力2.0の誇りが失われるところだったぜ。メガネは別にイイけどね、コンタクトが超怖い。

 

しっかし不思議なこともあるもんだな。今日はそんなに暑いわけでも無いのに。蜃気楼の出番じゃないだろうに。どっちかっていうと、昨晩雨だったから虹が出てても可笑しくないってのに。

 

でもなかなかお目にかかれないもんな。この後の事を考えると、祈っとくのが吉かもしれん。流れ星よりは効果があるように思える。だって、流星群はニュースになっても、蜃気楼には出演オファーが無い。少なくとも、僕の人生では無かった。

 

「日頃の成果が出ますように」

 

手刀を合わせて言ってみる。他人の願いなんて三回も聞きたかねぇだろうし。さて、立ち往生の時間は終わり。早めに着きたい僕としては気持ち急ぎ目で行かないと。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

さて、今日も今日とてソロランチの時間がやって来た。

 

「そう言えばさー朝のやつ見た?」

「え〜なんのこと〜?」

「なんかビルの方、ぼや〜〜ってしてなかった?」

「そいえばしてたねぇ。誰も話題にはしてなかったケド」

「アレってなんて言うんだっけ?」

「さぁ?わかんね。」

「普通に霧とかじゃないの?」

「しん、しん、シンタローだっけ?」

「それだとどっかの県知事だよ…」

 

頭が痛い会話がとなりで行われていることを除けば、最高のソロランチと呼べただろうに。このトライアングル(仮)の知識の足りなさに思わず、ツッコミそうになった。なんなら心では突っ込んでいた。

 

「蜃気楼だろ!!」とか、「それ都知事だから!!」とか。なんかずっとこの席順で生きていれば優秀なツッコミになれそうな気がする。ボケの人をどっかで拾う必要が出てくる。

 

まぁ、そんな未来はノーセンキューなので、別の世界線の自分に任せるとしよう。頑張れ芸人志望の俺。

 

さて、件の蜃気楼だけれども。俺は見ていないのが甚だ疑問なんだよな。俺は歩き登校だから、目にしていても可笑しくない。だのに見ていないというのは一体…

 

元ネタから考えたらハマグリが蜃気楼の犯人なわけだけど。いや、意味わかんないね。なんでハマグリさんがそんな能力持ってんの?真珠貝が真珠つくれるならイケルイケルとか昔の人は思ってたんだろうか。

 

まぁ、昔の人ってオリジナルの妖怪を創って遊んでたらしいからね。"ボクのかんがえたさいきょうモンスター"の概念が前からあったかと思うと笑えてくる。

 

せっかく出てたんだったら見るなり、撮るなりしたかったんだけどな。割と結構な残念がある。

 




キャラが勝手に動いた、というのを存分に味わっております。あとソロランチ氏の動かしやすさが高い。これからもちょいちょい出てくるかもわからんです。

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