小噺集   作:畑の蝸牛

3 / 23
※あくまで個人の思想です。間に受けないでください。


ソロ充

 

うん、このタコさんウィンナーは成功だな。どうやってワサビを仕込むかに七転八倒したけど。程よく調整されたワサビが程よくツーーンとくる。思いついた俺に感謝。

 

そんなことを考えている昼休み。ランチタイムである。自分の席から一歩も動くこと無く、隣で女子が机をトライアングルにしてても意に介さずに、弁当を頂く。

 

え?何故に動かないのかって?逆に問おう、何故動くのか、と。自分の席を明け渡してまで、他人に席を譲る必要があるのだろうか。いや、無い。全く無い。微塵も無い。

 

「なんでコイツいるの??」的な視線を突きつけられようとも、めげてはいけない。しょげてもいけない。今さら流れる涙はねぇ。

 

これが俺の群れる奴らへの反抗だ。独りレジスタンスだ。まぁ、純粋に一人が好きってのもあるけど。あと、他人に使う脳容量は空いて無いです。

 

取れるだけ良い成績もらって、推薦で手早く合格を勝ち取ってしまいたい俺としては、学校で人間関係までやっている暇は無い。他人と喋る余裕があるのなら予習・復習に時間を回したい。

 

いや、別にコミュ障とかそんなんじゃないよ?友だち居ないとかじゃないよ?喋ろうと思えば喋れるけど、そう思わないだけだから。きっと同じ趣味の奴とか居ないし。

 

どこの学校に呪術趣味の生徒が居るだろうか、いや、ここにいるぞ!ここだけにいるぞ! …まぁこんな感じである。高らかに宣言したいところだが、そんなんしたら流石に社会的に…ね?

 

そう考えつつ、しかし表情を動かすこと無く、黙々とソロランチを全うする。それが俺の昼休みだった。あ、よく噛んで食べてますよ?4月からなんにも変わらないルーティンワークって奴だ。働いてたんだな俺。

 

そう、4月から昨日まで変わらない状況だったのだが、少し変わってしまった。といっても俺は微動だにしていないわけだが。なんなら変わってないってことでもいいのだけれど。

 

月が変わって、連動して行われる席替え。俺はいつも通りに真ん中らへんの真ん中という、俺としてはベストな位置に収まっていた。問題はここからである。問題は愛しの昼休みに顔を出した。

 

なんということでしょう。隣の奴もソロランチを始めたではありませんか!驚いて声を上げなかった俺を褒め称えたい。そこまでの衝撃であった。心内おだやかでないままに弁当を取り出して、俺もソロランチを開始しようとしたところ、隣からガタリと音がした。

 

気にしたら負け、というのが家訓である俺なので視線をやることも無く、横を見たいという欲求に負けることも無く、どうにか昼休みを過ごせた。

 

お陰様で、味に集中できない。思索に集中できない。という二大事件が勃発した。ならばよろしい戦争だ。昼休みの安寧をかけた戦争だ。ぎゃふんと言いながら吠えづらをかき、自分の行動をハンカチを噛みつつ後悔するがいい。

 

そう考えつつ、朝の日差しを浴びながらも登校する俺だった。

 




途中からとんでもない方向に行った気がする。だがしかし、彼が勝手に動いたのだわたし悪くない。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。