ワンパンマン ~日常ショートショート~   作:Jack_amano

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「ここにすんでもいいですか?」
のジェノスが持ってきたお金について書きました。




あのお金

「そういえばさ」

 ヒーロー日報をめくる手を止めて、何気なくサイタマ先生が話尋ねてくる。

 俺は日記を書く手を止め、なんでしょう?と返事をした。

 

「お前、あの金どうやって工面したの?」

 あの金―――とは、俺が先生の内弟子にしてもらうため持ってきた500万の事だ。

 『金さえ出せばどうとでもなる』と思った訳ではなかったが、俺の本気を知ってもらう為、なかなか首を縦に振らない先生の退路を断つための、言わば脅迫料のつもりだった。

 結局、金を受け取ってもらい、内弟子にしてもらった訳だが… 先生の生活レベルが変わる事はなかったし、その金を使っている様子もない。

 

 一体、何故?

 疑問に思っていたら、掃除をしていた時に、辞書の中に隠してあった俺名義の貯金通帳を見つけた。

 サイタマ先生は、俺の覚悟だけ受け取って、金は受け取っていなかった訳だ。

 俺は内弟子という地位を金で手に入れ、何となく先生に勝ったような気がしていたのだが… 

 何の事はない。

 先生は、実に簡単に俺の下世話な思いを避わ(スルー)していた。

 何も考えていないように見えるが…… サイタマ先生は大人だ。

 

 黙って先生は、俺の返事を待っていた。

 戸籍上、俺はまだ未成年。

 あれを払った頃、まだヒーロー協会からの給金も出ていなかった。

 死んでしまった家族の保険金や相続した財産、賞金首の報奨金。

 ―――正直、使いきれないほど金はあるのだが…… サイタマ先生は、薄暗い出どころの金だったら突き返すつもりなのだろうか?

 

「生身だった頃の身体を臓器として売りました」

「はぁ?!」

 久々の先生のマジ顔。そんなにショックでしたか?

「うそです」

 …おもしろい。

 

「お・ま・え・は!!」

 予想外!いきなりのデコピン。

 軽く当たっただけなのに、俺は壁に吹っ飛んだ。

 壁が剥がれ落ちてパラパラと落ちる。

 今の、先生は絶対に本気じゃなかった。なのに、この威力!

 

「…流石(さすが)です先生」

 あ、ちょっと額に(ヒビ)入ったかも。

 

「で、本当はなに?」

「物好きの金持ちに貢がせ――――

「まだ言うか!!」

 再度デコピン。

 先生、煽ったのは俺ですが、出来れば頭はやめて下さい。唯一の生身です。

 

 ラボ直行。――― こんなくだらない事で、俺は研究所送りになった。

 

 

 

 ―――クセーノ博士の研究所。

 俺の肩のジョイントを直しながら、事の顛末(てんまつ)を聞いていたクセーノ博士がため息をつく。

「お主にしては珍しい事を―― これで懲りたじゃろ。大人をからかうもんじゃないわい。」

「反応がおもしろくてつい」

 大体の大人は、機械の身体の俺を珍しい物を見るような目で見るか、そこにいなかったかのように扱うだけだ。

 俺に向かって、本気で怒ったり、心配したり、突っ込んだり。人間のように当然に扱ってくれるサイタマ先生のような人は意外に少ない。

 考えてみれば博士以外にはいなかったかも… つまり高校以来か。

「サイタマ先生の傍にいると、自分はまだ人間であるらしいと気付かされます」

 

「やれやれ… ノリツッコミも命がけじゃなぁ」

 博士がしみじみとつぶやいた。

 

 

 

 




公式でも、サイタマ先生はジェノスからもらったお金に手はつけていません。

でも、そままじゃタツマキに家を壊された時、無くなってるよな~
と思って、勿体ないから普通利息つけさせました。

うちのジェノス君は15才から精神年齢上がってない気がします。

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