ワンパンマン ~日常ショートショート~   作:Jack_amano

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前作感想をくださった方、申し訳ありませんでした。
形式を作品集にしたら消えてしまいました。

これからもお付き合いのほどよろしくお願い致します。




夏の夜の―――2

 それは俺が夕飯の片付けをしている時だった。

 皿を洗い、次々に籠の中に入れていく。

 

 ぞくっ

 

 突然、髪の毛の逆立つような感覚。

 ハゲてても身の毛がよだつのは、ジェノスに扉の影から覗かれていた時に経験済みだ。

 何かがいる。俺の後ろに。息を潜めて、じっとこっちを伺っている。

 

 ジェノスじゃない。

 シンクがカウンター型式になっているお陰で、あいつが向こうの部屋で黙々と洗濯物を畳んでいるのが見てとれる。

 

 これはまさか―――

 

 その時、俺は見つけてしまった!

 明日の朝食用に買った、見切り品のバナナの横に奴がいる決定的な証拠を!

 

 くっ、黒い粒粉(りゅうふん)。昨日までこんなものは落ちてなかったのに。

 

 何でなんだろう、見つけたくないものに限って目に入ってしまうのは!

 しかも、よりにもよって黒!茶じゃない!飛ぶ奴だ!

 

「ジェノス!作業を中止して、直ぐ様、台所の奴を排除しろ!」

 

 台所から飛び出した俺を、ジェノスは冷ややかな目で見つめた。

「意外ですね。最強のサイタマ先生ともあろう方が台所害虫が苦手とは」

 ジェノスの言葉を聞きながらも、俺は床にあったヒーロー日報を拾い上げ、丸めて筒状にする。

「そう言えば先生は蚊にも刺されていましたね。あんなに丈夫なのに。他にどんな虫が苦手なんでしょう?」

 ジェノス。お前、表情は変わらねーけど楽しんでるな?

「相変わらず心の声がだだ漏れだなお前は」

 こいつ、マジで明日には山に行って虫を採ってきそうだ。

 ニャリとジェノスが笑ったような気がした。

「了解しました先生。直ちに焼却砲で―――」

「やめんか!家を燃す気か!!」

 片手を掲げ、焼却砲の構えをとるジェノス、俺は間髪を入れず手に持った新聞でツッコミを入れた。(勿論、手加減はしているぞ!俺が本気出したら大変な事になる!!)

 

「いいか!お前が使うのはこの新聞紙!」

「それに俺はあれが苦手なんじゃなくて、俺が叩くと家がぶっ壊れるから叩けないの! その取り敢えず燃やそうとするクセやめろ!!」

 強者故の悩み。

 余談だが、俺はバイト先であいつを退治しようとしてカウンターを叩き壊し、弁償させられた事がある。

 金を稼ぎに行って金を使う羽目になるとは… それ以来あいつはトラウマだ。

 俺は無理やり、丸めた新聞紙をジェノスに握らせた。

 あ、ヤベ~さっきのでジェノスの顔、ヒビ入ったわ。

 

「新聞紙なのにこの破壊力。流石(さすが)です先生。」

 …お前、ツッコミで怪我させられたのに、なんでそんなにいい顔してんの?

 本当、時々ワケわかんねぇよな。

 

 台所に入るジェノス。

 

 途端、

 落ちる鍋、割れる皿、吹き飛ぶ水道栓!

 台所はカオスと化した。

 

 だ~!!

 

 ジェノス!お前もか~!

「…すいません先生。」

 もういい。

 ゴキジェット買ってくる(/_;)泣き

 

 

 

 

 

 

 




しかし、何であの虫はあんなに威圧感があるんでしょう?
黒い粒粉とは、虫の糞です。そのものズバリ書きたくなかったもので。
もっとパニクらせようかと思ったんですが、家に住めなくなるのでやめました。

個人的には、幽霊よりこっちの方が嫌いです。一匹見たら、30匹いると思うと排除せずにはいられません。

虫嫌いの人、すみませんでした。

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