喰い荒らされた世界で・・・   作:水無月 蒼次

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外部装甲壁破損 後編

明史は屋上の人々に指示を出した後、装甲車まで走って急いで発車準備を終えて、今は車両用ゲートを出て極東支部の建物の西北西の真下、つまりツバメの降下地点付近まで着ていた。

 

「ツバメ、降下してくれ」

 

『了解です』

 

その直後車体にかなりの衝撃が走る

 

『乗車しました』

 

「じゃあ北東北に向かって飛ばすからしっかり掴まってろよ」

 

『了解です』

 

明史は蒼次を戻して北東北に向かう

 

 

その頃リンクとアランは、着々とサリエルの群れを掃討していた。

 

『あと数匹だ頑張れ』

 

リンクはアルテミスの天輪を弓に変形させて残りの数匹を撃ち落とす

 

「リンクさん、俺の仕事がありません」 

 

『そうかじゃあサボっといてくれ。報告書にも「サボってた」ってしっかり書いとくから』

 

「そんな殺生な」

 

『さっ外を片付けに行くぞ』

 

「了解しました。サー」

 

リンクとアランを乗せたアポロとアルテミスはサリエルが入ってきた方角に向かって移動を開始した。

 

 

「前方にオーガテイル5、コンゴウ2、ボルクカムラン1」

 

『視認しました』

 

「やれるか?」

 

『やります』

 

前方のオーガテイルに向かって光弾が飛ぶ

 

「援護してくれ」

 

蒼次がボンネットの上に出現して走り出しコンゴウを斬り倒す

即座に切り替えてボルクカムランに一発

そしてもう一度切り替えてコンゴウを斬り捨てる

 

「やっぱりコッチの世界のアラガミは柔らかいな」

 

蒼次はまた切り替えてエクスプロージョンXでボルクカムランの盾を吹き飛ばし、その爆風で前足を吹き飛ばした。

 

赤い光線がボルクカムランの口の中に入っていきボルクカムランを貫通して何処かで消滅した

 

その間に神機を変形させて尻尾を切り落としコアを捕食した。

 

「第二弾くるぞ!オーガテイル8グボグボ4」

 

『了解、迎撃します』

 

赤い光弾がオーガテイル達を正確に撃ち抜いて行く、一撃では止まらない奴には二発目三発目と満足するまで光弾を喰わせる

 

あっという間にグボグボだけになった。

 

ソウジはグボグボの尾鰭に回り込んでエクスプロージョンで吹き飛ばす。

ジャンプして背鰭と砲頭を破壊する。

そしてコアを捕食する。

 

他も同様に射って喰ってして片付ける

 

『隊長!避けて!!』

 

俺は咄嗟に運転席から飛び出した。

 

戦闘に夢中になっていて気づかなかったのだ。

自分の上に現れた薄緑色の雲に…

 

なんとか直撃は逃れたが装甲車の運転席部分は見事に溶け出し圧力で歪んで見るも無惨な状態になってしまった。

 

俺は蒼次を呼び戻す

 

俺の方にグボグボの砲頭が向いている

俺は避けようとサイドステップを踏む

 

グボグボの側面に赤い光弾が直撃して砲頭が少し逸れる

 

この二つのお陰で水の砲弾の直撃は免れたが風圧で吹っ飛ばされ、ゲーム機は明後日の方向に飛んでいってしまった。俺自身は蒼次の居る方向に吹っ飛ばされ蒼次に激突する。

 

「隊長!逃げてください!」

 

ツバメの叫ぶ声が聞こえた

 

グボグボがコッチに向かって着ている

 

俺は立ち上がろうと地面に手をつこうとするが蒼次が下敷きになっていた。

 

そしてなぜか俺の右手に腕輪と神機があり蒼次の右手に腕輪と神機が無いと言う異様なことが起こっていた。

 

俺は迷わず剣を立てて装甲を展開した。

グボグボの食い付きを盾でガードして、グボグボを剣で斬りつけ、口を突き刺して、変形させバルファちゃん専用弾を撃ち込んだ。

 

コアが破壊されたからか急にグボグボの目から光が消えてオラクル細胞が黒い霧となって溢れだした。

 

「なんとかなったか」

 

「隊長…それは?」

 

「蒼次の神機かな、なんかよく解らないけどくっついた」

 

俺はゲーム機を拾う

 

画面には蒼次が写っておりその手には腕輪と神機が無い

 

「それ、大丈夫なんですか?」

 

「たぶんね、でも偏食因子投与されたらヤバそうだから早く外したいかな」

 

俺は蒼次を戻す

 

が腕輪と神機は戻らなかった。

 

再び蒼次を出すが変化はない

 

「どうしよう。これは普通の手段では絶対に外れないから…」

 

「くっついた時に何かした覚えは?」

 

「地面に手をつこうとして…蒼次の手が有って…あっそうか!」

 

俺は蒼次に重なるように蒼次の後ろに立って神機を右手に持った

 

「これを蒼次に渡せば…」

 

俺は蒼次の右手に自分の右手を重ねた。

 

すると不思議なことに腕輪と神機が一瞬で俺の右手から消えて、蒼次の右手に現れた

 

「謎は深まるばかり…」

 

「不思議ですね、サカキ博士なら何か解るかも知れませんが」

 

「一応、訊いてみるか」

 

その後何度か同じ事を繰り返した所、蒼次の右手に自分の右手を重ねれば腕輪と神機の受け渡しが出来る事が判明した。

そしてそれが俺と蒼次の間でしか出来ない事も…

 

 

『アラン、準備はいいか?』

 

「大丈夫です、にしても数が多いですね」

 

『ざっとオウガテイルが75、コンゴウが10、シユウが10、グボが10ってとこだな』

 

「二人でやるのはキツく無いですか?」

 

『先ずは俺の極太ビームで露払いをする。お前は残った奴を殺れ』

 

「了解です」

 

『なら、作戦開始だ。対閃光防御、カウント5で発射する。発射回数は15、所要時間は30秒と言った所だ。

5、4』

 

アランは目をつぶり手で覆う

 

『3、2、1』

 

その後は連続的に爆音がして何かが焦げる臭いがした。

 

『射撃終了、よし行け!』

 

アランは反射的に飛び降りた

 

そしてよく見るとオウガテイルがあと10数匹とコンゴウ、シユウ、グボがそれぞれ一体ずつしか残っていなかった。

 

「隊長が強すぎて俺の仕事が…」

 

アランはそう呟いていちばん近くに居たオウガテイルを斬り伏せる

 

次々と近くに居る敵を斬り伏せる

 

これだけでも神機使いとして優秀な方だ。

 

順調に倒していき、あっという間にシユウだけになった。

 

シユウの下半身はとても固かった。剣撃の有効な部位は頭と拳だ。

ジャンプしても頭には届かず、拳に当てるのは至難の技だ。

 

だが俺には関係なかった。

 

既に神機は励起状態であり、正直なんでも切れそうだった。

 

俺はシユウを袈裟斬りにして傷跡から少し見えたコアを捕食しようと跳び、捕食形態をとらせるといつもと違う形に変形してシユウの胴体をまるごと食らった。

 

『作戦終了、お疲れさん』

 

「なんか発動した…」

 

『そいつは空中捕食の中の滞空近接式・レイブンって言うんだ。ある一定以上の功績を上げた者しか使用できない捕食形態って話だけど、発動しちゃった物はしちゃった物でしょうがないってことで』

 

「………」

 

『まあ、事故だ。報告書には事故で上等兵がレイブンを使用したとでも書いとくさ。じゃあ帰るぞアルテミスに乗れ』

 

「了解です」

 

アランはアルテミスの肩に登る

 

アルテミスとアポロは戦場の跡の上を悠々と飛んで行った。


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