明史が市街地を爆走している頃
アランとツバメのヘリ組は出撃準備を終えてヘリへの乗り込み作業中だった。
「アラン、早く乗って」
ツバメは肩からかなり大きな鞄をかけて言う。
「へいよ、でも隊長大丈夫かな?」
アランはヘリに乗り扉を閉める
「リンク隊長?リンク隊長がそこらのアラガミに負けるわけないでしょ?」
「リンク隊長じゃなくて明史隊長。明史隊長には蒼次がいるけど、蒼次を動かしてるとき隊長はほとんどノーガードなんだ、なのに戦場に出るとか」
「さっき隊長が言ってたんだけど、隊長は蒼次さんを動かしているとき、どんな方法かはわからないけど戦場の全てを把握しているらしいよ?」
「そんなの嘘に決まってるね。あの人、結構嘘つくからさ」
「でも、嘘には思えないんだよね。だって戦場の全てを把握してなかったらオペレーターなんて出来ないし、この前のヴァジュラの群れの時も敵の数と位置を全部把握してるみたいだったよ?出なかったらあのエントランスから敵に回り込まれたから距離を開けずに後ろに専念しろなんて指示出せるはずがないし」
「でも、そんな超人みたいなこと……」
「異界人には出来るんじゃない?」
「でも、そんな魔法みたいなことが出来るわけない」
「私、ちょっと聞いちゃったことがあって、この前サカキ博士の講座の後でサカキ博士が『君は未来を知っているんだったね』とか言ってたから、明史隊長は未来を知っているんじゃないかな?それでこの前の作戦の状況を最初から知っていたとか」
「それじゃあ蒼次を動かしてるときだけじゃないじゃん」
「何にしても未来を知っている様な人だから戦場の状況を知るぐらい出来るんじゃない?」
「謎な人だ……」
「それを言うならリンク隊長も謎な人だよ?」
「リンク隊長は明史隊長ともとから知り合いらしいから謎なのもしょうがないだろ」
「でも、私リンク隊長みたいな人好きだなぁ、ミステリアスだけど優しいの…」
「リンク隊長って優しい、のか?」
「昨日、茹でたトウモロコシ持ってきてくれたわよ?」
「それ、俺の所にも来たよ。もとから少食であんまり食べられないけど冷蔵庫いっぱいだからって。明史隊長の部屋にも有った気がする」
「それが優しいんじゃん」
「ただ単に余ったからな気がする」
「さっきのブリーフィングでアランと明史隊長を交互に見てたわよ?」
「単に気になったんだろ?俺だってそうするし」
「えーそうかな?」
「それにこの前明史隊長の部屋で問題発言してたじゃん。『
「それは蒼次さん凄い実力の持ち主だもん。一撃でヴァジュラ倒しちゃってついでにコアも回収してるんだから。それにリンク隊長のアポロとアルテミスは二個大隊に匹敵する力を持ってるし」
アランの脳裏に虹色の閃光が煌めく
「確かに、問題発言ではあるけどしっかり現実を見ているとも言える」
「カッコいいよね、リンク隊長」
アランは話についていけなくなり居眠りを始めた。