俺は基本兵装の訓練を終えて廊下を歩いている。
『業務連絡 業務連絡 新種のアラガミ、シユウの変異種を確認、極東支部は現時点で仮にこれをシユウ堕天と呼称することを決定しました。
シユウ堕天討伐の為のブリーフィングのため第零、第一の各隊は至急ブリーフィングルームに集合してください』
「シユウ堕天登場か」
俺はブリーフィングルームに向かって歩く。
幸いブリーフィングルームはここから一番近いエレベーターを昇ってすぐだ。
俺はエレベーターに乗る。
リンクはアルテミスに改造を施していた。
改造と言ってもバレットをエディットしていただけだが
『業務連絡 業務連絡 新種のアラガミ、シユウの変異種を確認、極東支部は現時点で仮にこれをシユウ堕天と呼称することを決定しました。
シユウ堕天討伐の為のブリーフィングのため第零、第一の各隊は至急ブリーフィングルームに集合してください』
「シユウ堕天出現か~暫くは楽だな」
リンクはエディットを終了して、ブリーフィングルームに向かって歩く。
俺がブリーフィングルームに着くと、先に着ていた人がいた
俺、結構早く着たと思ったんだけどなー
「結構早く着ていた」それは、俺を含めて三人しかいない部屋が証明していた。
部屋にいるのはヒバリさんとソーマさんだ。
こっちの世界ではソーマさんとは初対面だ。
「はじめまして。山澤 明史です」
「ああ、ソーマ・シックザールだ、覚えなくていい。死にたくなければ、俺には関わるな。」
うん、想像通りだ。
「人類初の偏食因子の生体転写の成功例。P73偏食因子を先天的に投与された最初で最後の人間ですね」
「それを誰に聞いた?」
「気を悪くしたなら謝ります。すいませんでした。誰に聞いた訳でもないですよ。俺はこの世界の未来を知っているから」
「別に怒った訳じゃない。極秘事項を喋りだしたから少し驚いただけだ」
「極秘事項だとは知らなくて、すいませんでした」
「気にするな、幸いここにはそれを知っている人間しかいないからな」
ソーマはヒバリに視線を向けた後、入り口の扉に視線を向けると、
ツバキさんが入ってきた。
「まあ、とにかく俺にあまり関わるな。死ぬぞ」
俺は適当に椅子に座る。
続々と人が入ってくる
五分程で全員が集合した。
一番最後はリンクだ。
距離的にもしょうがないだろう。
「さて、全員集まった所でブリーフィングを始める」
スクリーンにシユウ堕天の映像が写し出される。
「今、皆に見てもらったアラガミが今回確認されたシユウの変異種シユウ堕天だ。調査報告によると、こいつは雷を操る力を得ているらしい。なお、通常種より格段に固くなり滑空速度も上昇しているとのことだ。ここまでで質問がある者は」
「はい」
「山澤特務少尉どうかしたか?」
「シユウ堕天の雷を操る能力に付いて詳しくお願いします」
「通常種が使っていた熱エネルギー弾に雷を纏わせることを可能にしたと調査報告書には書かれている。それ以外の能力があるかもしれないから、よりいっそう用心が必要だ。他に質問がある者」
「今回発見されたシユウ堕天は一体だけですか」
「リンク・ロード特殊起動兵曹長、質問は手を挙げてからしろ。今回、発見されたシユウ堕天は三体だ。五体ほど通常種を引き連れているとのことだ。他に質問がある者?いないな、では話を進める」
スクリーンの映像が切り替わる。
「今回こいつらが確認されたのは極東支部から北西に約70km行った所の平野だ。我々はそこから50km南頭に下った嘆きの平原から鉄塔の森にそいつらを誘導し、一掃する。待ち伏せを第一部隊が誘導と監視を第零部隊が行う。質問がある者は?」
「誘導と監視に不向きなアランとツバメを待ち伏せに回して頂いてもよろしいですか?」
「何故だ?」
「リンクの操縦するアポロとアルテミスの機動力で誘導する場合、アランとツバメにはそれについていくだけの機動力が無いので待ち伏せの方で第一部隊のヘルプに回らせた方が効率がいいかと」
「ちょっと待てよ、それは聞き捨てならないぞ!俺らがノロマだって?だから待ち伏せのヘルプに入れだと!冗談じゃない!」
「ちょっとアランっ」
「黙らないね!初めて会ったときから気に食わなかった。突然現れていきなり隊長だ上官だって信用できないし従えないね!」
「アラン・リード上等兵着席しろ。澤山 明史特務少尉、どう言うことか説明してもらおう」
「隊内に蟠りが残っていた。それだけです。」
「今回の件は不問とするが、以後任務に差し支えないように改善しておけ。それでアラン・リード上等兵と飛島 ツバメ上等兵を第一部隊のヘルプに回らせるのは構わんが、当人たちの了承を得た上で行うように、作戦発動は群れが嘆きの平原の半径10km圏内に入ったらだ。以上、検討を祈る」
ツバキさんが退室する。
「おい!異世界人!特務少尉だか隊長だかオペレーターだか知らないが、俺はあんたの指示には従わない覚えとけ!」
アランは大股で歩いていった。
「アランが失礼なことをすいませんでした山澤さん」
「いや、君は悪くない。アランの言うこともわかる。悪いがアランのことを頼む。本来は俺が言って折り合いをつけるべきなんだろうが・・・俺も今は冷静じゃない。すまないな」
「はい、では失礼します」
ツバメはアランを追いかけていった。
「リンクお前もなんかあるのか?」
次にやって来たのは、リンクだった
「別に、お前の作戦に不満がある訳じゃない。俺もアルテミスとアポロと蒼次だけでこれぐらいならどうにかなるとすら思った」
「俺もそれは考えた。だがツバキさんの顔に泥を塗るようなことはしたくなかった」
「まあ、それもそうだが。俺ならそうしたと言うことだ。アランの件は、お前の言い方が悪かったな」
リンクはそのまま歩いていった
「どうしたもんか・・・」
「よう、扱いにくい部下を持つと大変だな」
「リンドウさん」
「まあ、気の合わない奴とはトコトン話して、それでもダメなら拳で話して折り合いをつける。それしか無いだろ?」
「それしか無いですよね」
「アランも悪い奴では無いんだ。ただ怒りの沸点が低いだけで。
あいつのこと、嫌わないでやってくれや」
「まあ、なんにせよ同じ隊の仲間ですからね」
「まあ、頑張れや」
リンドウさんは歩いていった。
俺は溜め息を吐いて立ち上がり出口に向かう