ポケの細道   作:柴猫侍

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第五十五話 女子の買い物が長いのは万国共通

「あっ、タマタマだ……たまたまタマタマに会っちゃった! な~んちゃって!」

「三十点で」

「えっ!? 急な採点で尚且つその点数!?」

「あっ、ゴメン……条件反射で」

「条件反射って……」

 

 

 

 ***

 

 

 

「美味しい?」

「ブィ~」

 

 スプーンで掬ったアイスをイーブイの口に運ぶライト。生まれて初めて食べるアイスに最初こそ戸惑っていたイーブイであるものの、しつこくない甘さと滑らかな舌触り。何より、ひんやりとした温度に虜となっており、ライトが掬うアイスを次々と食べていく。

 しかし、

 

「ッ! イィ~……」

「頭痛くなったの? 少し休めばよくなるから大丈夫だよ」

 

 キーンとする頭に顔を歪ませるイーブイは、アイスを食べるのを止めにしてライトのフードの中で蹲り始めた。

 アイスあるあるの一つ、『急いで食べて頭痛がする』を見事に体験したイーブイは、また人生の糧の一つを手にしたことだろう(?)。

 

「あぁ、イッタ~イ……!」

 

 隣のベンチでは同じくアイスにがっついて頭痛に苛まれているコルニの姿が窺える。呆れた顔を浮かべるルカリオが佇まっており、主人とは違って一口一口ゆっくりと食べ進めていた。

 現在二人が居るのは『メェール牧場』。主にメェークルを多く飼っている牧場であるが、所々にミルタンクやケンタロスの姿も見る事ができる。

 大きく開けた牧場には芝が一面に生えており、視界の下半分を淡い緑色が支配しているほどだ。

 

「牧場でアイスっていうのも粋だね……ん?」

 

 不意に漂ってくるコーヒーの香りに気付いたライト。その方向に顔を向けると、バニラアイスクリームが入っているカップに熱々のコーヒーを注いでいるリザードが居た。

 熱々のコーヒーが掛けられたことにより溶け出すアイス。そんな、熱さと冷たさを両立させた食べものを口に運ぶリザードにライトは茫然とする。

 

「へぇ~! コーヒーアフォガードなんて洒落てるね、リザード!」

「あふぉ……って何?」

「アフォガード? バニラ味のアイスに飲み物かけたデザートのことだよ」

「……」

 

 聞いたことのないデザートの名前を聞き、硬直してしまうライト。何故そのようなしゃれた名前のデザートをリザードが知っているのかは知らないが、自分の知らないところで知識を蓄えているということだけは分かった。

 そうしている間にもリザードは、自分で作ったコーヒーアフォガードを食べ終え、残ったアイスのカップをアイス屋のすぐ近くに設置されているゴミ箱に捨てている。

 流石、しっかり者だ。

 

(……今度、ポケモンセンターの雑誌読もう)

 

 とりあえず、地方の情報を得るためにポケモンセンターに常設されている雑誌コーナーに行こうと決意するライトなのであった。

 

 

 

 ***

 

 

 

 次の日。

 野宿を経て朝早くから歩き出した二人は、ようやくヒヨクシティが見える場所までたどり着いた。

 カロス地方でも高低差の激しい場所と知られているヒヨクシティは、海辺の地域から高台の方へ上るのにモノレールを使うという。

 更に驚くべきは―――。

 

「あの樹、大きいなぁ……」

「でしょ? 誓いの樹っていうらしいよ」

 

 高層ビルよりも雄々しくそびえ立っている巨木は、遠目から見ても存在を確認出来るほどであり、余りの大きさにライトは茫然とするしかない。

 あれだけ巨大な樹に育つのに何十年、何百年掛かっただろうか。マスタータワーと同じく歴史を感じさせる存在である。

 今まで見てきたプリズムタワーやマスタータワーとは一風変わった、自然の力強さというものを感じてしまう。

 

「すっごいなぁ……」

 

 近くでみればそれはもう迫力満点なことであろうと考えながら足を進めるライト。そんなライトの耳に、とある人物の声が聞こえてくる。

 

「お~い、ライトく~ん!」

「ん? この声……」

 

 後ろから聞こえてくる大人の男性の声と車の走る音に振り返るライトは、意外な人物を目の当たりにした。

 

「プラターヌ博士!」

「やあ、久し振りだね!」

 

 爽やかな笑顔を見せるプラターヌは、車をライト達の横に止めて、車窓から顔を覗かせる。

 助手席には、文字通り助手である青髪で眼鏡をかけている女性が座っているが、ドライブデートという様子でもなさそうだ。

 だが、ミアレの研究所からわざわざ12番道路に車で来るのだから、なにかしら理由はある筈。

 

「どうしたんですか、プラターヌ博士? こっちの方まで来るなんて……」

「いやぁ、実はアズール湾にある海神の穴というところに調査を―――」

「博士。折角ですし、車でライト君たちをヒヨクシティに送りながらというのはどうでしょうか?」

 

 何をしていたのか話そうとしたプラターヌであったが、途中で助手のソフィーに遮られてしまう。

 だが、ソフィーの提案にプラターヌは『マーベラス!』と一言呟いてから、ライト達に目を遣りながら後部座席の方を指差す。

 

「それもそうだね! どうだいライト君と……君は?」

「あっ、あたしコルニって言います!」

「そうか、コルニちゃんか! どうだい、進行方向的にヒヨクシティに向かってるようだから、車で送りがてら話すよ?」

「ありがとうございます! じゃあ、遠慮なく……」

 

 そう言ってライトは、プラターヌが運転しているワゴン車の後部座席の扉を開く。先に女子であるコルニを乗せた後、自分も『よいしょ』っと乗り込んだライトは、しっかりと扉が閉まったのを確認してシートベルトを装着する。

 その際、イーブイはフードからライトの膝に移動し、両腕で抱かれる形でちょこんと収まっていた。

 

「ライト君のイーブイは元気そうだね! そう言えば、デクシオとジーナからもイーブイを捕まえたって連絡を貰ったよ!」

「二人もですか?」

「ああ。まだ何に進化させるかは決まっていないらしいが、三人全員イーブイを捕まえるとは奇遇だね! そう言えば、二人は今ヒヨクシティに居るって言っていたから、良かったら久し振りに会ってみたらどうだい?」

「そうですね! 連絡とって会ってみます」

 

 先にヒヨクシティに着いたというデクシオとジーナの二人もイーブイを捕まえたと聞いたライトは、膝の上で丸くなるイーブイに『友達増えるかもね』と体を撫でながら呟いてみる。

 ライトの言葉に嬉しそうに鳴き声を上げるイーブイに、場の雰囲気は和やかなものとなった。

 

 そんな中、軽快に車を走らせるプラターヌは先程の話の続きをし始める。

 

「さっきの話なんだが、私とソフィーの二人で海神の穴という場所の調査に向かったんだよ」

「海神の穴……ですか?」

「ああ。昔エネルギーが溢れて出来たといわれる、アズール湾の浅瀬にある洞穴さ! 私の研究テーマのメガシンカに何か関係するんじゃないかと思ってね」

「メガシンカ……あっ。そう言えば僕、キーストーンをコンコンブルさんから貰いましたよ」

「へえ! それならもうメガシンカはさせたのかい!?」

「いえ、メガストーンが無いらしくて今の所は……」

 

 キーストーンをコンコンブル―――別名『メガシンカ親父』から貰ったというライトに目を輝かせるプラターヌであったが、まだメガシンカさせることができないという現実にガックリと肩を落とす。

 しかし、次の瞬間には凛とした顔立ちに戻って話を続ける。

 

「まあ、その内使えるようになるさ! それに、メガシンカと同じくらい面白い話があるんだけどどうだい?」

「メガシンカと同じくらい面白い話……ですか?」

「えっ!? なんですか、それ!?」

 

 食い気味に身を乗り出すコルニを腕で制止しながら、自分も気になると言わんばかりの瞳をバックミラーに移すライト。

 その顔を一瞥したプラターヌはにっこりとしながら助手席のソフィーにアイコンタクトをとる。

 するとソフィーは、一つの大きなタブレットを持ち出して三体のポケモンの姿を映しだした。

 

 一体は、美しさと猛々しさを両立するかのような、火を纏う鳥ポケモン。

 

 次に、雷の荒々しさを体現するような黄と黒が基調の鳥ポケモン。

 

 最後に、氷のような艶やかさを持つ翼を持つ鳥ポケモン。

 

「これって……」

「伝説の鳥ポケモンの『ファイヤー』、『サンダー』、『フリーザー』さ! 昔から、海神の穴付近で目撃証言があってね、何枚か写真も残っているんだよ!」

 

 興奮気味に話すプラターヌ。大人気ないと言わんばかりに口元を抑えて苦笑するソフィーであるが、その一方で伝説の鳥ポケモンと聞いたトレーナー二人はプラターヌとさほど変わらぬ興奮を顔に浮かべていた。

 この三体のポケモンはカントー地方でも有名な伝説のポケモンであり、テレビ番組でも特集が組まれる程の知名度を誇る。

 特に目撃証言があった場所まで直接調査に向かう『ジンダイ探検隊シリーズ』は、ライトも録画して何度も見返すほどだ。

 

「カロスにもこの三体が生息しているんですか?」

「いや、生息っていうよりは遠くの地方から渡って来た時に、決まって海神の穴を拠点にしてカロスを周回するというのが今の所定説になっているね」

「へぇ~! それで調査結果はどうだったんですか?」

「それがね……ソフィー。あの写真を」

「はい。これを見てください」

 

 そう言って一つの写真を画面に映し出すソフィー。映し出されたのは、ドームのような洞穴の中が荒らされているというものであった。

 所々が焼け焦げていたり、鋭い物が穿たれていたり、果てには凍りついていたりと統一性がない。

 まるで、何かが争ったような形跡だが―――。

 

「バトルの後みたいな感じですね」

「そうなのさ。僕の見解では、三体の伝説の鳥ポケモンが海神の穴に一堂に会してしまい、そのままバトルに発展してしまったものだと考えているよ」

「で、伝説の三体がですか!?」

「そうでなければ、この荒らされた形跡が説明できない。野生のポケモンも、海神の穴には強力なポケモンが頻繁にくることを知っているから、近付くこともほとんどないからね」

 

 先程の興奮した様子とは打って変わって、神妙な面持ちとなるプラターヌ。

 何やら、少々困ったことでも起こっているかのような顔だ。

 

「三体が同時期にカロスに来るなんて、本当に何十年ぶりっていうくらいに珍しいことなんだけど……う~ん……」

「どうしたんですか、プラターヌ博士?」

「実は統計データで、二体同時にカロスに来た時のものがあるんだけれど、バトルに負けた方は海神の穴という固定の拠点を持つことができなくなって、カロス中を転々と渡るんだよ」

「え? でも、一体の時でもカロス中は回るんじゃ……」

「そうなんだけど、追い出された方は安心できる拠点を得る事ができなくなって、通常より攻撃性を増してしまうからね……実際に過去のデータでも、二体来た時は各地で被害が出ているんだ」

 

 驚きの事実。

 まさか、そのようなことが起こっているとは思いもしなかった。更にプラターヌの言葉から推測するに、三体同時にカロスに渡ってきているこの時期は、一体だけやって来る場合よりも各地で被害が出るという事になるのではないか。

 まだまだ子供であるライトやコルニでも、それは想像に難くなかった。

 

「だから、今年はリーグ本部の方もかなり警戒するんじゃないかな。多分、そう掛からずに各地のジムリーダーに連絡が届く筈だと私は思うよ」

「そんなに危険なんですか?」

「伝説のポケモンと言われるくらいだからね。四天王クラスなら問題ないと思うけど、やっぱり他の野生ポケモンとは一線を画しているよ」

「じゃあ、メガシンカとかができないと危ないんじゃ……」

「ははっ、そうだね! メガシンカができれば、伝説のポケモンとだって互角に戦えるかもしれないね!」

 

 今までの雰囲気を打ち壊すかのように明るい笑い声をあげるプラターヌ。そんな彼の笑いにつられるように、三人も微笑を浮かべる。

 地方によっては『天災』と呼ばれるまで怖れられる伝説のポケモン。そのような相手と互角に戦うには、やはりメガシンカが必要になってくるのだろう。

 特に伝説のポケモンと戦う予定はないものの、希望的観測としてメガシンカをして伝説のポケモンを倒せればカッコいいだろうなと想像するライトとコルニ。

 頭の中でフワフワとしたイメージを浮かべている二人であったが、そこでプラターヌが声を上げた。

 

「おっ、もうヒヨクシティに着くよ! どうする? ポケモンセンターまで送っていくかい?」

「あ……いえ、大丈夫です! ちょっと街の方をブラブラしたいですし」

「そうかい! じゃあ、デクシオとジーナにもライト君がヒヨクシティに着いたことを伝えておくよ!」

「ありがとうございます、プラターヌ博士!」

 

 街の出入口辺りにある看板を通り過ぎた車は、そのままコンクリートで舗装されている道を突き進んでいく、ある程度街中に入った辺りでゆっくりと停車した。

 二人が『ありがとうございました!』と言いながら車から降りると、海岸の方から吹き渡ってくる潮風が二人の肌を優しく撫でる。

 

 何度浴びても飽きない風を受けた後、振り返った二人はもう一度プラターヌに一礼した。

 それを見たプラターヌとソフィーは、笑顔のまま手を振る。

 

「それじゃあ、良い旅を!」

「はい!」

 

 爽やかなイケメンスマイルを決めたプラターヌは、そのまま車を発進させていき街中へと繰り出していった。

 傍から見ればドライブデートにしか見えないが、あれだけ顔が整っているのだから勘違いされても仕方がないのではないかと勝手に想像を膨らますライト。

 しかし、周囲の異様な賑わいに気付き、何事かと辺りをキョロキョロと見渡す。

 

「……お祭りでもやるのかな?」

「ホント、そんな感じだけど……」

「祭りじゃよ、祭り」

「「?」」

 

 不意に聞こえてくる声に反応する二人は、大きな山羊のようなポケモンに乗った老人を視界に捉えた。

 緑色のハンチング帽を被り、首には山吹色のスカーフを巻いている。恰好としては庭師のような姿であり、腰にはそれを象徴するかのような大きな鋏がぶら下がっていた。

 優しそうな笑みを浮かべながら、乗っているポケモンと共に歩み寄ってくる老人。

 

「ヒヨクシティの年に一度の祭りじゃ―――」

 

 

 

 その昔、とあるトレーナーとポケモンが居た。

 彼等は一緒に旅に出て数々の冒険を共にし、やがてこの地に辿り着き、以降いつまでも幸せに暮らしたという。

 彼等はお互いの健闘と変わらぬ友情を讃え合い、トレーナーは一つの小さな苗をポケモンに贈った。

 やがてその樹は立派に育ち、ヒヨクシティで一番大きな樹となり、『誓いの樹』と呼ばれるようになったという。

 

 

 

「―――それからじゃ。誓いの樹の下でトレーナーがポケモンに贈り物をすると、その絆が一層深まるといわれる行事になったのは……」

「そのお祭りって、いつ始まるんですか!?」

「日が暮れたらじゃよ。トレーナーは贈り物を一旦、誓いの樹の下に飾り、夜になったら自分のポケモンに贈り物をするのじゃ」

 

 中々ロマンチックな行事に目を輝かせているコルニ。やはり、一応は女の子ということなのだろう。

 だが、ライトもまたポケモンに贈り物をするという行事に興味を抱き、折角なのだから祭りに参加しようと考えた。

 

「祭りって誰でも参加できますか?」

「勿論じゃ。誰でも大歓迎じゃよ」

「へぇ~……教えてくれてありがとうございます!」

「ありがとう、おじいさん!」

 

 太陽のように晴々とした笑顔で礼を口にする二人に老人は、『はっはっは』と髭を撫でながら朗らかに笑う。

 

「ポケモントレーナーなら、パートナーを大事にせねばな。この機会に、面と向かってパートナーと絆を深めるといいじゃろう。それでは、わたしは樹の飾りつけがあるのでな」

 

 そう言うと老人は、メェークルによく似たポケモンを走らせ、誓いの樹の方向へと去っていった。

 面白い行事を教えてくれた老人を見送った二人は、胸を躍らせながら顔を見つめ合う。

 

「ポケモンに贈り物だってさ! 折角だし参加しようよ!」

「そうだね! 普段だと、ちょっと照れちゃうし……ライトも、ジム戦前に手持ちとの絆を深めて団結力アップ! みたいな!?」

「うん、いいね! それじゃあ……」

「あら? ライトじゃありませんか?」

 

 話し合う二人の間に割って入るように姿を現したのは―――。

 

「ジーナ! ……と、デクシオ!」

「まあ、凄い偶然ですわね!」

「ホント、久し振りだね。元気にしてる?」

「うん、勿論! 二人は?」

「あたくしはもう絶好調ですわよ!」

「僕もだね。ジムバッジ集めも好調だよ」

 

 久し振りに再会した二人との対面に、否応なしに興奮した声色で話をするライト。そんな三人の雰囲気にコルニは、中々入るタイミングを見つけられずにモジモジとしていたが、ふとジーナがコルニを見てハッとする。

 

「ライト、貴方はもしかして……野生のポケモンだけでなくガールフレンドまでもゲットしたのですか!? 留学しに来た地でガールフレンドを作るなんて、中々隅に置けないですわね、このこのぉ~」

「違うから。普通に友達だから」

 

 からかうように肘で突っついてくるジーナに対し、苦笑を浮かべるライト。そんな二人のやり取りを見て、デクシオとコルニもまた苦笑を浮かべている。

 

「それにジーナだってデクシオと一緒に居るんだから、そんなに大差ないでしょ」

「ち、違いますわよ! あたくしとデクシオは今日偶然会って、尚且つヒヨクシティで祭りが行われると聞いたので、普段お世話になってるパートナーへのプレゼントの為にショッピングを……」

「はいはい」

 

 やる気のないライトの返答に、顔を真っ赤にして反論していたジーナは更に憤慨しながら凄まじい剣幕を見せる。

 

「なんですの、その返答は!? 『はい』は一回って習いましたでしょう! パイルドライバーをかけますわよ!」

「なんでそんなにプロレス技に詳しいの?」

「あたくし、こう見えてP-1グランプリをよく見てますのよ!」

「……へぇ~」

 

 最強の【かくとう】ポケモンを決める大会であるP-1グランプリ。それを女子であるジーナが見ているというのは些か意外であったが、他人の趣味にまでどうのこうの言う性格ではないライトは、軽く流すことにした。

 そんなライトに未だに鼻息を荒くするジーナであったが、良心であるデクシオが『そろそろ』と宥めに入ったので、漸くジーナも落ち着き始める。

 本当にいいバランスの二人組だとつくづく思う。

 

 場が鎮まった所で、ようやくコルニが自己紹介を済ませると、ジーナがポンと手を叩いてある事を口にした。

 

「そうですわ! 折角ですし、皆で贈り物の為のショッピングに行きましょう!」

「おっ、いいねソレ!」

「でしょう!?」

 

 女子同士、意気投合しているジーナとコルニを見て、ライトとデクシオは流れに身を任せようと互いに頷きあう。

 すると、女子二人が明後日の方向を指差し始める。

 

「さあ、そうと決まれば早速ショッピングですわ!」

「気合いいれて行こォ―――ッ!」

 

 そう宣言した二人は、颯爽と賑わう街中へと走って消えていく。見失わないように駆けだす男子二人は、恐らく一日中引っ張り回されるのではないかという予想を立て、既に疲労に満ちた顔を浮かべるのであった。

 


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