ポケの細道   作:柴猫侍

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第百七話 人それぞれのステップアップ

 

 “あついしぼう”。文字通り、厚い脂肪によって【ほのお】と【こおり】タイプの技の威力を半減にするという特性であり、【くさ】タイプを有すフシギバナにとっては耐久面を強化できる特性だ。

 故に、【みず】ポケモンが【くさ】ポケモンへの対抗手段として覚えていることの多い【こおり】技も、メガフシギバナにはそれほど効かないという訳だ。

 

 だからこそ、普段はできないような無理も通る。

 

「ガメェッ……!」

「バナァ……!」

 

 フシギバナが繰り出す蔓が、カメックスの両腕を拘束する。それぞれ一門ずつ備わっている砲塔を封じられるというのは、攻撃手段を封じられることと同義である為、非常に痛い状態だ。

 残りの一門は首裏から伸びている為、攻撃に転じるには少しばかりしゃがまなければならない。これも、しゃがんだ際に地面に叩き付けられ、そのまま為す術なく甚振られる可能性も出てくるので、好ましい戦法ではない。

 

(どうしたものか)

 

 このまま何もしなければ“やどりぎのたね”によって体力を吸い尽くされる。

 もしそのままカメックスが倒されれば、残りのフライゴンに全てを任せることになってしまう。物理攻撃を主体に育てているデクシオのフライゴンであるが、メガフシギバナ相手には少々荷が重い。

 これでは詰みとなってしまうのだろう。

 

―――砲塔だけで攻撃すると仮定していたのであればの話だが

 

「カメックス、“ラスターカノン”ッ!!」

「“ヘドロばくだん”で迎撃ですわっ!」

 

 砲塔ではなく、口腔から銀色の光線を解き放つカメックス。眩い光を放つ攻撃に対し、フシギバナもまたフリーになっている口腔から毒々しい色の塊を吐き出し、“ラスターカノン”を相殺する。

 ちょうど河川が流れている場所で起こる爆発に、少しばかり蔓による拘束が緩んだ。

 

「よし、カメックス。左の砲塔だけで“ハイドロポンプ”!」

「ガメェッ!」

 

 照準定まらぬ砲塔が放った水流。穿ったのは、フシギバナの右側にそびえる岩壁だ。轟音を奏でながら放たれる水流は瞬く間に岩壁を削り取り、凄まじい土砂を生み出してフシギバナを呑み込まんとすべく流れる。

 右側からの激流に踏ん張るフシギバナ。相手を拘束している以上、そう簡単に放す訳にはいかないと踏ん張り続けるも、溺れさそうとする意図の感じられるほどの激流にどんどん体力が奪われていく。

 水に冷やされ、体温が奪われていくというものは思っているよりも疲労を招くもの。

 

「もうっ! このままじわじわ体力削られるのも性に合いませんわ! フシギバナ!」

「バァナッ!!」

「―――“ハードプラント”ッ!!!」

 

 蔓の数本を地面に突き立てるフシギバナ。するとコロシアム全体に激震が奔る。

 

『こ、この技は―――ッ!?』

「不味い! カメックス、地面に“ハイドロポンプ”!」

 

 ビキビキと罅が入っていく地面に危惧を覚えるデクシオの指示を受けたカメックスは、すぐさま拘束が緩んだ腕の砲塔で地面に“ハイドロポンプ”を放つ。

 真下に攻撃を放つことによる衝撃で、少しばかりカメックスの巨体が浮かび上がる。

 直後、隆起した岩を砕きながら極太の木の根が蛇のようにのたうち回りながら、カメックスの体を突きあげた。

 

 しかし、直前に放った“ハイドロポンプ”によって体を浮かしたことにより、直撃ではなく僅かに掠るだけに留まる。

 

 カメックスを捉えきれなかった木の根はそのまま天高くうねりながら伸びていき、途中まで成長したところでバラバラと朽木へ風化していった。

 

「くッ、外しましたか……」

 

 悔しそうに顔を歪ませるジーナであったが、それ以上にデクシオは冷や冷やと焦燥の念を覚えていた。

 “ハードプラント”―――【くさ】特殊技の中でも最高峰の威力を有する技であり、“はかいこうせん”の【くさ】版とでも言うべき技だ。しかし、“はかいこうせん”とは違って特定のポケモンしか覚えることができず、更には覚えさせるポケモンがトレーナーに全幅の信頼を置くほど懐いているのが条件。

 しかし、ジーナのフシギバナは“ハードプラント”を用いてきた。どこで覚えさせたのかは知る由もないが、当たればカメックス―――否、フライゴンさえも即瀕死は免れない威力の攻撃に、デクシオの頬には一筋の汗が流れる。

 

「とんでもない隠し玉だね……言うなれば、秘密兵器かい?」

「もう隠していませんけれどねッ!」

「揚げ足とらないでくれるかい」

「うるさいですわよ!」

 

 バトル開始時よりもどこか攻撃的な口調になっているジーナ。

 その変化はバトルスタイルにも変化をもたらし、終にはフィールドさえも変えるほどとなっている。

 【くさ】の究極技が用いられた荒野のフィールドは、度重なる激しい攻防によって見る影がなくなっていた。どこかで整備士を務めているショウヨウジムリーダーが『また仕事が……』と呟いている気がする。

 それは兎も角、只でさえ荒れていた荒野のフィールドは、“ハードプラント”を皮切りに土砂崩れに呑み込まれた後の地域のように変わってしまった。

 

 じわじわと体力を削られることを良しとしなかったジーナが発破をかけた結果であるが、これはデクシオにとって好都合であった。

 

(土砂だけれど、フィールドに水が満ちているね……相手に【こおり】が効かなくても、これならやりようはいくらでもある)

 

 全体に満ちる濁った水。

 これほどに水が満ちていれば、【みず】タイプの本領をいかんなく発揮できるというものだ。

 

「よし、“れいとうビーム”をフシギバナの足元に発射!」

「ガメッ!」

 

 瞬時に精密に狙いをつけ、フシギバナの動きを鈍らせるべく“れいとうビーム”を解き放つ。【こおり】技は相手を凍らせることによって動きを止める&鈍らせることに真髄がある。例え“あついしぼう”によって体内が守られていようと、外側からの負荷をゼロにすることはできない。

 そう結論付けたデクシオであったが、ふととある事に気付く。

 

(動かない?)

 

 “ハードプラント”を放って以降、一向にフシギバナが身動きをとらないのだ。

 てっきり迎撃するものとばかり考えていたが、答えに辿り着くにはそう時間はかからなかった。

 

(成程、威力が高過ぎる弊害だね。反動で動けないのか)

 

 “はかいこうせん”並みの威力であるならば、放った直後に攻撃の反動で動けなくなるのは容易く想像できる。

 均衡を崩すために攻勢に出たとはいえ、流石に拙かったのではなかろうか。そう思いながらデクシオはほくそ笑む。

 

 だが、余裕綽々といった訳で居る訳にもいかない。

 直撃を免れただけであり、完全に避けきれた訳ではない。“やどりぎのたね”のこともある故に、楽観できる状況ではないことは確かだ。

 

(【こおり】状態を狙いたい……!)

「もう一度“れいとうビーム”ッ!!」

「“ヘドロばくだん”!」

 

 再びフシギバナを凍らせるべく放たれる光線は、“ヘドロばくだん”に遮られる。毒々しい色の塊は一瞬にして凍りつき、そのまま周囲へと散らばり、溜まっている水をどんどん冷やしていく。

 泥水に毒が加わり、毒沼と称すべき光景に変貌していく荒野。

 

 ゴポポッ、と粘性を持った泡が弾ける音は聞く者皆を不快にする。しかし、カメックスを追い詰めていくという点においては、毒沼は理に適っていると言えよう。

 カメックスは一定量の水を甲羅の内側に備わっているタンクに貯蔵している。攻撃に用いる際はそのタンクの水を用いるのだが、空になった場合には周囲の水を汲みとって補給することも可能なのだ―――が、この毒が入り混じる水を補給すれば、体内からじわじわと毒が回り、“やどりぎのたね”も相まって即昇天してしまう。

 となれば、残るは賭けのような手段しか残っていない。

 

「戻れ、カメックス!」

「おっと、デクシオ選手ここでカメックスをボールに戻したァ―――!」

(ここでフライゴンを出すつもりなんですの? 一体なにを……)

 

 カメックスの代わりに飛び出してくるフライゴンであるが、直前にフシギバナが放った“ヘドロばくだん”を真面に受ける。効果はいまひとつといったところだが、ギルガルド戦の疲れも相まって、長くは戦えなさそうだ。

 

「なにをするか知りませんが、先手必勝! もう一度“ヘドロばくだん”!!」

「フライゴン、“おいかぜ”だッ!」

「ッ……“おいかぜ”!?」

 

 フライゴンが背中の大きな翼を羽ばたかせれば、デクシオ側に追い風が吹き始める。その直後、フシギバナの放った攻撃を受けて倒れるフライゴンに、審判が戦闘不能のジャッジを下す。

 入れ替わりで再び登場するカメックス。

 しかし、どことなく先程よりも俊敏な動きに、ジーナの表情が引き攣る。

 

(まさか……!)

「カメックス、“あくのはどう”!!」

「くッ、怯んではいけませんわよ! ここで決める……フシギバナ、お願い! “ハードプラント”ッ!!」

 

 各段に速くなった動きで照準を定めて“あくのはどう”を繰り出すカメックスに、フシギバナは後手に回ってしまった。

 “おいかぜ”は、少しの間味方の【すばやさ】を上昇させる補助技。カメックスはフシギバナよりも僅かに【すばやさ】が劣っている為、今迄先手をとることができなかった。しかし、“おいかぜ”があれば上から叩くことができる。

 

 先手を取れる+怯ませることがある技を有している=……

 

「“ハードプラント”を撃たせる前に決着をつける!!」

「ガァァアメェエエエエッ!!!」

 

 “おいかぜ”で背中を支えられているにも拘わらず、反動で後方へ滑っていくカメックス。

 一方フシギバナは、再び“ハードプラント”を放つべく身構えるが、それよりも早く黒い衝動が身に襲いかかる。ギリギリと歯を食い縛るフシギバナは、確実にカメックスを仕留めるべく―――そして、ジーナの期待に応えるべく全神経を集中させて蔓に力を込めた。

 

 

 

 

 が

 

 

 

 

「バナッ!?」

 

 ぬかるんでいた地面に足を取られ、それを機に後ろへズリズリと滑っていくフシギバナ。

 攻撃を放つための踏込もできないまま、フシギバナの一ターンが終了する。

 

 そして、一射目の“あくのはどう”を撃ち終えたカメックスは、第二射の照準を体が浮いて露わになっているフシギバナの胴体に合わせた。

 

「フシ―――」

 

 『フシギバナ』。

 そう呼ぼうとしたジーナであったが、瞬く間に緑色の巨体は黒い波動に呑み込まれ、見えなくなった。

 巻き上がる水飛沫を腕で防ぐジーナは、最後に最も派手に跳ね上がった水飛沫を体感した後に瞼を開く。

 

 彼女の視線が捉えたのは、五体投地で地面と口づけを交わすパートナーの姿であった。既にメガシンカは解け、戦闘続行するには不可能だということは火を見るよりも明らか。

 

『あぁーっと、フシギバナ、ここで戦闘不能となってしまったぁ―――ッ!!』

 

 実況の声と重なるようにして、審判も戦闘不能を示す旗を掲げてみせる。

 一瞬呆けたジーナ。しかし、すぐさま己の頬を両手で叩いて気を取り直す。

 

「まだ……まだ勝負は終わっていませんわよ! 頼みましたわよ、ドサイドン!!」

 

 

 

 ***

 

 

 

「凄いバトルだったね、デクシオ。見てて興奮したよ」

「ありがとう、ライト」

 

 選手入場口に戻って少し進んだ所にある休憩室。そこでバトルを終えたデクシオとライトは会話を交わしていた。

 結果はデクシオの勝利。流石にメガカメックスを疲弊したドサイドンで打ち倒すことは難しかったらしい。

 

 運要素の強い試合であったが、ポケモンリーグの名に恥じない激しいバトルであったことには間違いないだろう。

 

「えっと……あのさ」

「ん? どうしたんだい?」

「ジーナは? 慰めなくて大丈夫?」

「……うん。そっちの方がいいと思うよ」

 

 切り出し辛そうにしていたが、結局は口に出して問いかけるライト。

 気になっているのはジーナの様子だ。勝負に負けた今、どこで何をしているのだろうか。もし敗北を喫した相手が見ず知らずの他人であれば、すぐ隣に駆け付けて慰めの言葉なりなんなりを口に出せただろうか、生憎今回は訳が違う。

 絶対に負けたくない相手に負けたのだ。悔しくない方がおかしい。

 しかし、勝者からの激励ほど敗者の心にくるものはなく、非常にナイーブな問題となっている。

 

「……僕が出来る事と言ったら、彼女の分まで勝ち進むことだけどね」

「まあ、その彼女とは一体誰のことでして?」

「「えッ?」」

 

 扉側から聞こえる声に振り向けば、そこに佇まっていたのは缶ジュース片手に仁王立ちしているジーナ―――とコルニ。コルニに関しては『慰めに行く』と先程向かったばかりだが、途中で偶然会ったのだろう。

 鼻を鳴らして気丈に振る舞うジーナだが、目の下が若干赤く腫れている。しかし、こうして振る舞ってくれている以上、わざわざそこを尋ねるのは無神経という所だ。

 

 『来ていたんだね』。デクシオが乾いた笑いで口を開こうとした瞬間、スチール缶が凹む程手に力を入れたジーナが凄まじい睨みを利かせ、前へ歩み出てくる。

 

「なんですの? まさかあたくしが負けてメソメソ泣いているとでも思っていて? ふんっ、勝ちは勝ち。負けは負け。今回ばかりは素直に認めますわよ……でも次勝つのはあたくしですわ!! 覚えてらっしゃいっ!!」

「う、うん……オーケー、ジーナ……」

「分かっていたらよろしくてよ」

 

 心中の言葉を吐き出したジーナは缶の蓋を開けて中身の含み、一息吐く。

 

「ふぅ……さて。あたくしはこれからポケモンを回復しにポケモンセンターに行きますわ。でも、寛大なあたくしですから、デクシオのポケモンもついでに連れて行ってあげてもよろしくてよ」

「じゃあお言葉に甘えて……」

「ああ、それとコルニちゃんが次の貴方の相手のバトルをカメラで録画していたようですので、見せてもらったら如何? それでは、オ・ルヴォワールッ!!」

 

 颯爽とデクシオの手持ちを手に取り、俊足で部屋から去って行くジーナに、三人全員がぽかーんとした様子で呆けた。

 

「……ま、まあ、コルニが撮ってくれてたバトルビデオ見ようか」

「そう……だね。ありがとうございます」

「ううん、気にしないでいいよ! アタシも後で見てバトルの参考にしようかなーって撮ってただけだから」

 

 気を取り直して、と言わんばかりのライトが仕切る。

 デクシオとジーナの試合を以て第二回戦の前半が終了した訳だ。次の第三回戦はまずライトVSアヤカの試合に始まり、次にデクシオともう一人の試合が行われる。

 その時の相手というのが―――。

 

「アッシュって言う人。シンオウ出身のトレーナーで、リーグ出場経験もある凄腕トレーナーってところかな」

「相手は?」

「相手は……ほら、フウジョタウン出身の! ガーベラちゃんって」

「ん……ああ、メガピジョット使いの!」

 

 ふと『ですー!』という叫びが頭に響き渡る。

 それは兎も角、【ひこう】使いの彼女とアッシュが戦い、結果はアッシュの勝利に終わった訳である。

 その全貌がコルニが手に有しているカメラに収められているのだが……。

 

「ッ……これは」

 

 余りの光景に目を見開くデクシオ。その横では神妙な面持ちのライトとコルニが、映像によって蘇る激闘が瞳に映っていた。

 

 【ひこう】ポケモンを繰りだすガーベラに対し、ガブリアスを繰り出すアッシュ。【ひこう】らしく風の如き速さで森林のフィールドを駆けるが、マッハで飛ぶことのできるガブリアスに捉えられ、“ストーンエッジ”一撃によって沈む。

 その次もまた、暫しの攻防を経てガブリアスが相手を沈め、最後の砦であるメガピジョットも、同じくメガシンカを果たして姿を大きく変えたガブリアスとの競り合いに負け、地に堕ちた。

 

 俗にいう三タテ。

 

 【ドラゴン】タイプの圧倒的パワーを差し引いたとしても一方的過ぎる試合展開に、三人も息を飲まざるを得ない。

 

「完全に格上ってことか……」

「確か彼の手持ちは、今のガブリアスに加えて―――」

「ああ、大丈夫だよ。自分の相手の手持ちくらい、自分で調べるから」

 

 フッと柔和な笑みを浮かべたデクシオは、ビデオを見せてくれたコルニに『ありがとう』と声を掛けて席を立つ。

 

「格上でもやりようは幾らでもあるしね。そんなことよりライト。君も他人の心配してないで、次の自分の試合を心配した方が良いんじゃないかな?」

 

 去り際に、今のような言葉を吐いて休憩室から出て行くデクシオ。

 彼なりの激励なのだろうか。そんなことを思いつつライトは、こうしてはいられないと徐に立ち上がる。

 

(三回戦も勝ったら、次はデクシオかアッシュって人だ。先を見越して戦おうなんて気を抜いてるかもしれないけど、先も見越さないでバトルすれば絶対にボロが出る!)

 

 ライトが危惧するのは次の日の日程だ。

 三回戦、そして準決勝も行う四日目は熾烈を極める日となろう。準決勝はフルバトルということもあり、選出するポケモンの疲労も考慮しなくてはならない。

 トレーナー歴が短く、充分に育てたポケモンの控えが少ないとはいえ、それを理由に敗北してもいいという訳ではない。

 

 疲労していればミスを誘発するのは世の常。トレーナーとしてポケモンの精神的な体力も考慮するのは当たり前だ。

 

 バトルの時以外にもトレーナーとしての力量が求められる。

 ライトもまた、一人のトレーナーとしてステップアップを求められているのであった。

 

 

 

 ***

 

 

 

 コロシアム前広場・噴水。

 噴水によって、他の場所よりも僅かに水気を含んだ涼やかな風が、バトル後の火照った体を癒してくれる。

 彼も―――アッシュもまた、自分のパートナーと共にひと時の休憩に身を委ねていた。

 

 空を仰げば、苛立つほどに清々しい青空が澄み渡っているのが見える。淀んだ自分の心境とは反対の様相に、アッシュは思わず溜め息を吐いた。

 

 

 

―――前はもっとバトルを楽しめたのにな

 

 

 

―――なあ、ゴウカザル

 

 

 

―――もし、俺がチャンピオンになったら……強いことを証明できたら、

 

 

 

―――もう一度俺と一緒に戦ってくれるか?

 

 

 

 今現在手持ちにいないポケモンのことを想う。

 アッシュにとって、そう、このポケモンリーグは取り戻すための場であった。あの忌まわしい記憶から、最愛だったパートナーを取り戻す為の……

 


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