ポケの細道   作:柴猫侍

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第百五話 必殺技は子供のロマン

 白熱した会場を包み込むのは、フィールドで繰り広げられているバトルを観戦して昂ぶる人々、そしてポケモンの歓声。既にポケモンバトルから引退した者達、今もポケモンバトルに熱中している者達、そしてこれからの将来においてポケモンバトルを担っていくかもしれない者達。

 だが、共通しているのは彼等が須らくポケモンを愛しているということだ。

 

 相棒、家族、戦友、職場での同僚、ペット、はたまた恋人か。

 

 そんなポケモン達を戦わせることを非人道的と謳う者も多いかもしれない。しかし、月並みかもしれないが私はこう思う。

 ポケモンバトルとは、太古の昔より築き上げられてきた人とポケモンの絆を確固たるものにするべく生まれた儀式の一つなのではないか、と―――。

 

「姉さん、もう少しで次の試合始まっちゃうわよ?」

「はーい」

「ん、何書いてたの?」

「今度の雑誌のコラムに載せようかなってね。まあ、落書きみたいなものだけど」

 

 コロシアムの一角に点在する、記者などの報道関係者たちのみが立ち入ることのできる部屋。熱心に物書きに耽る姉・パンジーに一声かけたのは妹のビオラであった。

 会場警備を任せられているジムリーダーの一人であるビオラは、普段通り涼しげなタンクトップ姿で姉の下に駆け寄る。その健康的な姿に、他の取材陣の男性は鼻の下を伸ばしているが、当の本人は全く気にしていない。

 

(この子も、も~ちょっとそこら辺に気を遣えたらいんだけどね……)

 

 余りの不用心さに苦笑いしか浮かんでこない。

 

「ほら、次の出場者が出てきたわよ!」

「ええ、そうね」

 

 興奮するビオラが指差す先では、入場口から堂々とした佇まいで歩み出てくるトレーナーたち。

 まだまだポケモンリーグは始まったばかりだ。

 

 

 

 ***

 

 

 

『さあ、ポケモンリーグ二回戦の試合、いずれも白熱した様相を見せている―――ッ! 例年になく本選への新人トレーナー出場率が多い今年、どのような番狂わせが見えるか楽しみとなっております! 続きましては、同郷対決! 互いにカロス出身の新人トレーナー同士のカードだァ―――ッ!』

 

 実況者の煽りを受けて盛りに盛り上がるコロシアム。青空を衝かんばかりに轟いた実況者の声が消え入るよりも前に、二人のトレーナーがバトルフィールドへ向けて歩み出してきた。

 一人は金髪の落ち着いた風貌の少年。

 もう一人は、褐色肌で溌剌とした笑みを浮かべる少女。

 

『二回戦第四試合……共にミアレ出身のデクシオ選手対ジーナ選手! 彼等は彼の有名なカロスのポケモン研究の権威・プラターヌ博士の助手を務める将来有望株! さあ、どのような試合を見せてくれるのでしょうか!?』

 

 実況者がそうこう話している内に、コロシアムの巨大モニターにはバトルフィールドを選択する為のルーレットが映し出されている。

 ピピピッ、と規則的に点滅し始めるルーレットは、十秒ほど経ってから荒野の画像のところで止まった。

 

 次の瞬間、大きな振動がコロシアムに伝われば、二人の中央にぽっかりと空いていた空洞から巨大なバトルフィールドが出現する。

 荒れ果てた赤土に、切り立った岩壁。そして中央に流れる河川。

 

 一見、【いわ】や【じめん】などに有利そうなフィールドに見えるかもしれないが、中央の河川は無視できるものではない。

 

『フィールドは荒野! さあ、如何に中央の河川や両端の岩壁の高低差を生かすかが重要のフィールドで、両選手は一体どのようなポケモンを繰り出すのでしょう!? まずは―――……デクシオ選手が先攻に決まりました!』

「……頼んだよ、バンギラス!」

「グァアアアアアッ!!」

『デクシオが繰り出したのは、なんとバンギラスだ―――ッ!!』

 

 ポケモンを繰りだす順を決めるルーレットがデクシオを指示した瞬間、デクシオは一つのボールを放り投げた。

 次の瞬間、飛び出してきたのは怪獣を思わせるような、緑の皮膚を有す巨体。同時に涼やかな風が吹いていたフィールドには、轟々と砂嵐が舞い始める。肌や衣服を擦るような砂嵐に、ジーナは思わず顔を顰めた。

 それは砂嵐によって自身が汚れることと、出てきたポケモンが一筋縄ではいかないことを示している。

 

 『よろいポケモン』バンギラス。ヨーギラスの最終進化形であり、その強靭な皮膚を揶揄して『よろいポケモン』と呼ばれている。

 極めて好戦的なポケモンであり、常に戦いを求めて住処である山を彷徨うのだが、一度バンギラスが暴れまわれば周辺地域の地図が書き換えられるほどの惨事となるのだ。そのはた迷惑なパワーも、ポケモンバトルにおいて味方となればこれほど心強いものはないというほど頼りがいのあるものとなる。

 

 “すなおこし”。バンギラスの特性の一つだ。文字通り、天候を砂嵐に書き換えるというものなのだが、砂嵐の天候下では【いわ】タイプの【とくぼう】が上昇するという研究結果が学会で謳われている。

 【いわ】・【あく】タイプであるバンギラスは、この恩恵を受けられるのだ。

 自ら砂嵐を起こし、それによって自らの【とくぼう】も上昇させる。

 『よろいポケモン』の名に恥じない鉄壁さを誇るという訳だ。

 

 そんな岩の城塞を前にジーナが繰り出すのは、

 

「お願いしますわ、ドサイドン!」

「ドサァアアアアア!!」

『ジーナ選手も負けじと繰り出したのは、ドサイドン! これは荒野のフィールドでは映える、迫力のあるバトルとなりそうだァ―――ッ!』

 

 バンギラスを超す巨体を有す怪獣。

 額から生えるツノはドリルの如く溝が掘られており、身体中の至るところにはプロテクターを思わせる突起物が並んでいる。

 『ドリルポケモン』ドサイドン。カロスではポピュラーなサイホーンレースに用いられるサイホーン―――その最終進化形である。

 進化前のサイドンですら圧巻と言われるほどの巨体であったにも拘わらず、更にその上をいく個体。迫力を覚えないという方が土台無理な話だ。

 

『両選手のポケモンが出揃いました! 共に【いわ】タイプ! 荒野に佇む二体の巨獣は、一体どのような激戦を繰り広げてくれるのか!? 選手共々、心躍る対戦カードです!』

 

 怪獣映画さながらの光景を前に、興奮した様子の実況は、砂嵐の音によってノイズが混じっているかのような音質でコロシアムに響き渡る。

 視界も不良。

 まさしく実況者泣かせの状況であるが、

 

「バンギラス、“あくのはどう”!!」

 

 砂嵐を跳ねのけながら、一条の漆黒の光線が奔る。

 蠢くように疾走する“あくのはどう”は、山の如く佇むドサイドンの胴を捉えていた。しかし、黙って受けるほどジーナもドサイドンも馬鹿ではない。サイホーンの頃は猪突猛進で頭が悪かったが、二足歩行となって脳が発達したとか、そういう揶揄ではなく―――。

 

「“アームハンマー”ッ!!」

 

 鉄槌のように振り下ろされた巨腕が、向かって来た“あくのはどう”を叩き潰す。更には攻撃のみならず、振り下ろした先の地面を圧砕した。

 地面の破片が飛び散り、中央の河川も揺れ動いて水飛沫を上げる。

 

 初撃から大技の応酬であるが、これはまだ挨拶程度の攻防だ。

 

 二体とも【こうげき】と【ぼうぎょ】に秀でたポケモン。最も得意とするのは接近戦。

 故に―――。

 

「ギャォオオオオ!!」

「グァアアアアア!!」

 

 共に咆哮を上げながら突進していく二体は、苦手である水をものともせず河川に飛び込み、すかさず取っ組み合いになる。尤も、バシャバシャと水飛沫を巻き上げながら暴れ回る二体は、【いわ】であるにも拘わらず“なみのり”を覚えるというポケモンだ。攻撃としての水は兎も角、こうして水中に入る程度のことはお茶の子さいさいと言った所なのだろう。その為、こうして臆することなく水中に身を投げながら取っ組み合いができる。

 重機が岩を砕くかのような轟音が轟く間に、何度も二体は技を繰り出す。

 

「“れいとうビーム”だ、バンギラス!」

 

 その中で、バンギラスが口腔から解き放った強烈な冷気が、ドサイドンの巨体を襲いかかる。

【じめん】を有すドサイドンにはキツイ一撃……かと思いきや、ドサイドンは平然とした顔で“れいとうビーム”を耐えていた。右手を盾にし、不敵な笑みを浮かべるドサイドン。

 

「ふふんっ、この砂嵐の中で“ハードロック”のドサイドンに【こおり】技は効かなくってよ!」

 

 得意げにジーナが言い放つ“ハードロック”とは、自身に効果抜群な技のダメージを軽減するという特性。そこに砂嵐の恩恵による【とくぼう】上昇も加えれば、ドサイドンにとってはさほど驚異の威力にはならないという寸法だ。

 

「それはどうかな?」

「なんですって……はっ!」

 

 デクシオの言葉を受けた次の瞬間、得意げな笑みを浮かべていたジーナはハッとした様子でドサイドンの下半身に目を遣った。

 彼女の瞳に映ったのは、凍った河川の水面。ドサイドンの体を拘束するかのように凍てつく水面は、厚い氷を張っていたのだ。

 

 『そっちが狙いでしたのね!』とジーナが思うや否や、バンギラスはその場で大きく振りかえり、鋼鉄のような金属光沢を放つ尻尾をドサイドンに振るう。

 

「“アイアンテール”だっ!」

「くっ……ドサイドン、“がんせきほう”発射スタンバイ!!」

 

 このままではドサイドンに“アイアンテール”が命中するという時、ジーナは“がんせきほう”を指示した。

 次の瞬間、“れいとうビーム”を防いだ腕とは逆の腕の筋肉が膨れ上がるドサイドン。

 ゆっくりと持ち上げられる左腕は、今まさに振るわれるバンギラスの尾を目がけて―――。

 

「ファイアッ!!」

 

 爆音。耳を劈くほどの音が鳴り響けば、大多数の観客が驚きの余り目をつぶり、耳を塞いだ。

 更には砂嵐の流れを崩すほどの衝撃に、コロシアムの上層階に位置する観戦席の窓は震え、今にも割れそうな様相を見せる。

 

 【いわ】タイプの物理攻撃において、最強と謳われる威力を誇る技―――“がんせきほう”。一部のポケモンしか扱えないその技は、文字通り岩石を大砲のように繰り出す技であり、命中すればどのようなポケモンでも大ダメージは必至だ。

 反面、威力が高い技には付き物の反動も大きいが、その余りある威力はロマンそのもの。

 ……お嬢さま口調のトレーナーが口にするには、余りにも無骨過ぎる技であるのかもしれない。

 

『―――っと、申し訳ありません! 凄まじい技の衝撃に、一瞬マイクの音声が途切れてしまいました! 今、フィールドでは“がんせきほう”を尾に受けたバンギラスが後方に吹き飛び、ドサイドンが技の反動で動けなくなってしまっているという光景が広がっています!』

 

 ブツリ、という音が鳴った瞬間、実況が再び開始され状況説明がなされる。

 今言ったように、バンギラスは尾に受けた衝撃だけでデクシオが立っている場所の方へ戻ってしまい、ドサイドンは未だ水の中に佇みながら反動の回復を待っていた。

 効果はいまひとつであるにも拘わらず、かなりのダメージを受けた様子のバンギラス。だが、絶好の攻撃の機会を逃すまいと力を振り絞り立ち上がる。

 

「よしッ……バンギラス、もう一度“れいとうビーム”だ!」

 

必死の形相のバンギラスに応えるべく、デクシオもすかさず指示を出す。

 再び口腔から解き放たれた冷気が宙を爬行すれば、身動きのとれないドサイドンの体に命中し、瞬く間に二メートルを超える巨体を氷漬けにしていく。

 いくら“ハードロック”があると言えど、氷漬けにされるのはよろしくない。そう言わんばかりにジーナの眉間には、少女ならざる量の皺が刻み込まれていく。

 

 若干引くデクシオ。だが、ここで情けを掛けるほどデクシオは優しくない。というよりも、情けを掛ける方が相手を侮辱しているに等しい行為だ。認めているからこそ全力で、攻めることができる時は徹底的に攻める。

 そのようなことを考えている内に、砂嵐も止む。

 

「そのまま“れいとうビーム”だ!!」

「グォォォォォオオ!!」

 

 決して低くない【とくこう】の能力値から放たれる“れいとうビーム”が、本来に近しい威力でドサイドンに連続して突き刺さる。

 ビキビキと音を立てて成長していく氷柱は、留まることを知らない。

 

(このまま削り切れれば……!)

 

 状況は優勢。

 これで先に相手の数を減らせることができるという確信にほくそ微笑むデクシオであったが、軸線上に佇む少女が放つ覇気にハッとした。

 

「余り……舐めないで下さいましィッ!!」

「ドサァアッ!!」

「なッ……!?」

 

 ジーナが咆哮すると共に、氷を砕いて飛び出してくるドサイドンは、腹の底に響くように重い足音を響かせ、真っ直ぐにバンギラスの下へ駆け出す。

 最初は驚きを隠せなかったデクシオだが、こちらが攻撃を続けていることには変わりない。このまま“れいとうビーム”を繰り出し続け、体力を削り切るか、若しくは再び【こおり】状態にさせられれば一本先取である。

 

 しかし、そのような考えが甘かったと、後の彼は語った。

 

「ドサイドン、“つのドリル”ゥッ!!」

 

 意気揚々と鼻を鳴らしながらジーナが指示すれば、途端にドサイドンの額に生えている二本のツノが軋む音を奏でながら回転し始める。

 工事現場に鳴り響く削岩機のソレだ。空気の渦が巻き起こるほどに回転するツノを突出しドサイドンが突進すれば、ドサイドンを止めるべく放たれていた“れいとうビーム”がたちまちに“つのドリル”の回転に呑み込まれていく。そして、凍てつかせられるよりも早く、冷気を自身の体から逸らしたドサイドンは、そのまま迷うことなく、サイホーンの頃を思い出すかのように猛進するではないか。

 

 “れいとうビーム”を止めさせ、回避に専念しよう。その選択は既に除外されていた。

 

 強烈な冷気の光線を突き破り、ツノはバンギラスの胴体に突き立てられる。

 岩よりも硬い皮膚を有すだが、岩を容易く削り取るドリルを堪えることはできなかったのだろう。途端に『カハッ』と息を漏らしたバンギラスは、“れいとうビーム”を放てられなくなり、そのままドサイドンに突き上げられ、放物線を描きながらデクシオの目の前に落下した。

 

「一☆撃☆必☆殺……ですわッ!」

 

 ツノを突き上げた体勢のドサイドンの後方では、戦隊ヒーローさながらのポーズを決めているジーナの姿が窺える。

 同時に審判がバンギラスの戦闘不能を示す旗を上げた瞬間、観客たちは大いに湧き上がり、ありったけの歓声をジーナとドサイドンに注ぎ込む。

 その様子を見ていたデクシオは、苦笑いを浮かべながらバンギラスをボールに戻し、

 

「……清々しい程のごり押し……言うなれば、脳筋戦法だね」

「うっ、うう、ウルサイですわよッ! そんなの負け惜しみですわ!」

 

 やれやれと首を振れば、それをジーナが図星を付かれて慌てふためく。

 彼女の目標としている現カロスチャンピオン・カルネと比べれば、余りにも優美さに欠ける戦法。しかし、やや荒っぽい戦法ではあるものの、それを執り行える程にジーナのポケモンは鍛えられていると、デクシオは内心冷や汗を掻く。

 “つのドリル”は、所謂一撃必殺技にカテゴリーされる大技。長所があれば短所があるのが世の常というべきか、一撃必殺技は須らく、技を繰り出すポケモンよりも相手のレベルが高ければ通用しないという特性がある。

 

 つまり、ジーナのドサイドンはデクシオのバンギラスよりもレベルが上。バンギラスは、その凄まじいポテンシャルに比例して、進化するまでの道のりが【ドラゴン】タイプに比肩するほど険しいものとなっている。

 野生のポケモンについては、人が育てるよりも早く進化するという例も存在するが、それでもバンギラスはポケモンの中でも進化が遅い方だ。そのバンギラスよりもレベルが高いというのは、単純に厄介。

 幸いであったのは、ドサイドンの【すばやさ】はかなり遅い方であるということと、バンギラスとの戦闘でかなり体力を削れたということ。

 

(砂嵐が切れたのは幸か不幸か……)

 

 思慮を巡らせるデクシオが手に取ったボール。

 そこに収まっていたポケモンは、

 

「頼んだよ、フライゴン!」

「フリャアアッ!」

 

 忙しない羽音を響かせて宙を舞う、別名『砂漠の精霊』のポケモン。

 

「成程……フライゴンで来ましたのね」

 

 相性で言えば、ドサイドンが不利になる対面にジーナはどうしたものかと眉を顰める。

 

「……戻って休んでてよ、ドサイドン。お行きなさい、ギルガルド!」

『ジーナ選手、ドサイドンとギルガルドを交代だ―――ッ!』

 

 ドサイドンという巨獣がフィールドから消えるのと入れ替わって繰り出されるのは、大きな盾に一本の剣が突き刺さっているかのようなフォルムのポケモン。

 柄の中央には目と思しく丸い球体が埋め込まれている。

 

(『おうけんポケモン』ギルガルドか……厄介だな)

 

 フィールドを吹き抜ける風によって運ばれる、禍々しい空気。それは違うことなき、ギルガルドの放つ威圧だ。

 ギルガルドは【はがね】・【ゴースト】タイプであり、相性ではフライゴンに軍配が上がる。しかしデクシオが危惧しているのは相性ではない。

 

 ギルガルドは、彼のカロス四天王の一人・ガンピの有しているポケモンであり、カロスのトレーナーの間ではギルガルドの強さは周知のものとなっている。

 その強さの根源たる特性こそ―――。

 

(“バトルスイッチ”……ここからは読み合いですわよ、デクシオ!)

 

 不敵な笑みを浮かべるジーナ。

 “バトルスイッチ”とは、現在ギルガルドのみに確認されている特性であり、繰り出した技によってフォルムが変わるという希有な特性なのだ。

 攻撃技を繰り出せば、【こうげき】と【とくこう】に秀でた“ブレードフォルム”に。

 そしてギルガルドのみが覚える“キングシールド”と呼ばれる防御技を繰り出せば、【ぼうぎょ】と【とくぼう】に秀でた“シールドフォルム”に。

 

 このように攻防一体のギルガルドであるものの、片方の能力が秀でた形態にフォルムチェンジした時には、もう片方の能力が下がるというデメリットを有する。その為、フォルムチェンジ―――つまり、技を繰り出すタイミングを間違えれば一気に形勢が傾いてしまうという、諸刃の剣的な一面を有す。

 

 持ち合わせた技を繰り出すタイミングで、勝敗の分かれ目を左右するのがギルガルドというポケモン。巷では、ポケモンの中でも比較的上級者向けと呼ばれる部類に入っているらしい。

 

 

 

 心理的圧迫をかけるにはもってこいのポケモン

 

 

 

『さあ、デクシオ選手、手持ちの数で一歩リードされているが、挽回できるかァ―――ッ!?』

 

 響き渡る実況の声も相まって、コロシアムの熱気は高まりに高まっていく。

 同郷対決は、まだ続くのであった。

 


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