やはり俺の青春ラブコメにこんなにヒロインがいるのは間違っている。   作:とまとと

5 / 8
Happy Birthday!陽乃さん!
忙しいけど書きました!笑


仮面の下は・・・中?

 

「はい。俺に出来ることなら。」

 

私は家に帰り部屋にこもりずっとニヤニヤしているだろう。まさか比企谷君からこんなことを言ってくれるだなんて想像もしていなかったからだ。大学に通ってからの比企谷君を私は知らない。そこが嬉しくもあり、少し寂しくもある。私をこんな気持ちにさせる比企谷君には責任をとってもらわないと、と思っていると。

 

 

コンコン

 

 

不意に扉がノックされる。

私はいつもの仮面をつけ、いつもの様にこう答える。

 

「はい、陽乃です。」

 

 

「陽乃、少しいいかしら?」

 

 

そう静かに答えるのは私のお母さんだ。最近はよくこうして私の部屋に来ている。まぁ、ここに来る時の話なんてあの話しか無いんだけど。

 

 

「うん、大丈夫だよ。」

 

こう答えると、いつもは扉越しに用件を伝えるだけなのだが、

 

 

ガチャ

と、部屋に入ってきた

 

 

「陽乃、あなたも今日で22歳になったじゃない?

そこで・・・」

 

 

嫌な予感しかしない。いつもはこんなことを言わないのに今日はなんだか嫌な感じがする。せっかく比企谷君と再会してこれからが楽しみって感じなのに。やめて、その先は言わないで。

 

だが、無情にもその一言が口に出された。

 

 

「陽乃。今までは付き合いの関係で相手からの申し込みがあった時にお見合いを受けてたんだけど、今回は雪ノ下家から〇〇家にお見合いをおねがいさせて貰ったわ。」

 

 

えっ、どういうこと?雪ノ下家からの申し込みってこと?それは私に断るの選択肢が無いということ、それに加えてわざとへんな態度をとり、相手に嫌われるということも雪ノ下家の名前がある限りそんなへんなことは出来ないだろう。なぜ?なんでこんな急にこんな話になったの・・・と、しばらく黙り込んでいると、

 

 

「あなたももう22歳になったのだし、私達もこれでも待ったのよ?あなたが気になっている人がいるとかそうやって言うこともあればこんなことにもしなかったのだし。

私達も陽乃にそのような相手がいないって判断してこのお見合いを設けたの。

もしも、そのような相手がいるのだったら白紙にもどすこともできるのよ。ただ、その相手をちゃんと雪ノ下家にお招きして、みんなに紹介してちょうだい。」

 

 

「それ、は・・・」

 

 

私はなにも言えなかった。比企谷君にこんな迷惑をかけたくなかった。

 

 

「それでは明後日、陽乃。よろしく頼みますよ。」

 

 

「はい、わかりました・・・」

 

お母さんが出ていった後私はその場に崩れ落ちる。

結局私は怖かったのだ。今まで付けてきた仮面を外すことが。こんな私が幸せになれるはずなんて無かったんだ。

不意に涙が零れる。私が覚えている中では初めての涙だ。仮面を付けてから涙なんて流したことが無かったのに。本当の私はこんなにも弱いのだ。弱い私を必死に守るために私は仮面を手に入れたのだった。こんな仮面をなくした私を誰が必要としてくれるのだろう。いや、誰もいないだろう。これが本心を隠し、守り続けてきた私の本当の姿だ。

こんな私の姿を見て比企谷君はどう思うのだろう。呆れるのだろうか、嘲笑うのだろうか。あぁ、怖いなぁ。

私はそのまま泣きつかれ眠ってしまったのだった。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

 

 

「コーヒーおねがい。」

 

私はお見合いの前日またあのお気に入りの喫茶店に来ていた。多分ここに来るのも、比企谷君と会うのもこれで最後だろう。そう決めていた。

 

 

「・・・雪ノ下さん、どうしたんですか?」

 

ふふっ、なんでこんなに鋭いんだろうね、比企谷君は

 

 

「ううん、なんでもないよ?どうしたのかなぁ、比企谷君。お姉さんが心配なのかな~?」

 

いつもの様に仮面をつけて話を濁す。今にも涙が零れてしまいそうだ。だか、張り付いた仮面にはそんな素振りは一つもない。いつもの笑顔だ。

 

 

「はい。心配です。だって、雪ノ下さん・・・・・・泣いてるじゃないですか。」

 

っ!この一言を聞いた瞬間私の15年以上付けてきた仮面なんか何の役にもなく剥がれ落ちた。

涙がどんどん溢れてくる。まるで今まで我慢してきた涙がいっせいに溢れ出しているようだった。

 

 

「・・・雪ノ下さん、俺じゃ力になれないですか?」

 

優しい比企谷君の言葉で私はまたこう言ってしまう。

 

 

「比企谷君、助けて欲しいの。」

 

 

比企谷君はまたこう言うのだった。

 

 

「はい。俺に出来ることなら。」

 

 

そして私は彼に全てを伝えたのだった。

私がお見合いをさせられることを、それを助けて欲しいことを。

 

 

「雪ノ下さん、全て捨てましょう。嫌ですか?

すみませんけど自分にはそういうやり方しかできないです。」

 

 

「ううん、嫌じゃないよ。こうなったのも私が原因だしね、どうしてくれるの?」

 

私は彼に期待してこう聞いたのだった。すると彼からはこんな思いがけない一言が。

 

 

「雪ノ下さん、明日のお見合い、行ってください。」

 

えっ?彼はなんて言ったのだろう。

 

 

「えっ、比企谷君?それ本気??」

 

私は期待を込めてこう聞く。

 

 

「はい。雪ノ下さんはお見合いを受けてください。

雪ノ下さんの話を聞く限りどちらの両親も参加するそうですし、そのお見合いは受けるしかないと思います。」

 

 

「それで、私は嫌われるようにすればいいの?」

 

 

「いえ、普通に楽しそうにお見合いをしてくれればいいです。」

 

彼は何を言っているのだろう。私を助けてくれるのでは無いのだろうか。彼の考えていることがわからない。

 

 

「それで、私は何もしなくていいの?」

 

これで最後だと、彼に聞く。

 

 

「はい。何も無いです。」

 

ここに比企谷君の無情な一言。私は頭が真っ白になって喫茶店から飛び出してしまった。彼に期待した私がダメだったのか?いや、絶対ダメじゃないはずだ、じゃあなぜ?考えがまとまらない。なにも考えがまとまらないうちに家に着いてしまった。今比企谷君に連絡をとろうと思ったが怖くてできなかった。そのうち比企谷君の方から連絡が来るだろうと思っていたがどれだけ待っても連絡がくることは無かった。

 

こうして私はお見合いの日を迎えてしまったのだった。




クライマックスを今日出したかったですね・・・

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。