やはり俺の青春ラブコメにこんなにヒロインがいるのは間違っている。   作:とまとと

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皆さんお待ちかねの彼女の登場です!
私の手には負えない子なのでどうなるか怖いです!


仮面の下は・・・上

「ふぅ~」

 

今日も1日つまらない。無駄な1日だったな。

最近は毎日そう思う。雪ノ下グループの仕事をさせてもらうのはいい、自分の将来のためになるから。しかしその後のお偉い方との食事会、ましてやその子供達とさせられるお見合いなんてものは苦痛でしか無かった。

しかし私はそれを嫌と言える立場に無いこともわかっている。なので、自慢の仮面をいつもかぶっている。この仮面を取ることができるのは1人の時だけ。だがふと頭をよぎったのは

 

 

「あっ、そっか、比企谷君だけは一目でこの仮面に気付いたんだったか。」

 

 

最近お気に入りの喫茶店でコーヒーを飲みながらぼんやりしていると、まだ私が楽しかったと思えた時の思い出が脳裏に蘇る。

初めて会ったときから私の仮面に気づいてくれた比企谷君、雪乃ちゃんを変えてくれた比企谷君、隼人をつまらないおもちゃだと改めて理解することができたのも比企谷君のおかげ。うん、認めようかな、私はあの時比企谷君をただのお気に入りだと思っていたけどそうじゃなかった。きっと彼に少なくともお気に入り以上の好意を向けていたのだろう。そのことに離れてから気づくなんて私もまだまだだなぁ。

 

あぁ、比企谷君は今どこでなにをしているのだろう。

とても気になっているが自分から連絡しようとは思えない。こんなにつまらなくなった私を見て彼はなんて言うだろう、それがたまらなく怖い。私がこんなことを思うなんてほんと彼ぐらいだろう。

 

はぁ、明日もまたお見合いかぁ、と一息つき喫茶店を後にするのだった。

 

 

 

 

「今日はお日柄もよく、わざわざお越しいただきありがとうございます。」

 

今日も仮面を張り付けて挨拶をしていく。

あぁ、昨日彼のことを思い出してしまってからとても憂鬱だ。もうなにを聞かれても思うことは〖つまらない〗

この一言だった。

 

ぱっぱとお見合いを終わらせて、あのお気に入りの喫茶店へと向かう。

 

カランカラーン

 

扉が開くとなるこの音も心地よい、お客がそんなにいないのもお気に入りの理由の一つだ。

 

 

「マスター、いつものおねがい。」

 

カウンター席に座りそう声をかけると、

 

 

「すみません、今はマスターちょっと出てまして・・・」

 

ん、そうなんだ。でもなんか聞いたことがある声だな。

 

 

「えっ、比企谷君?」

 

 

「・・・雪ノ下さん、お久しぶりです。」

 

これが私と比企谷君の運命?の再会だった。

 

 

「比企谷君、こんなところでなにしてるの?」

 

他愛のない会話を始める。いつもならすぐ終わらせよう終わらせようとするのだが比企谷君との会話は終わらせたくない。素でいられるのもとても心地よい。

 

 

「・・・バイトですよ、大学生も甘くないですね・・・」

 

ふむふむ、ならここに来れば比企谷君はいるのか。

 

 

「いつからここでバイトしてるの?結構来るんだけど初めて会ったよね?」

 

 

「えーと、2ヶ月くらい前からですね。

・・・雪ノ下さんが来てる時は裏で作業してました・・・」

 

 

「へぇ、それってどういうことかな?」

 

思った以上に低い声が出てしまった。

だって下手すればもっと早くに会えてたってことだもん、それに比企谷君は気づいてわざと会わないようにしてたってことだし、多少なりとも、いや、結構傷付いた。

 

 

「なんか今までと雰囲気が違って近づきづらかったってのもあります。」

 

へぇ、やっぱり比企谷君は気づいてくれるんだね。

 

 

「のもってことは他には?」

 

そう意地悪で聞いてしまった。だってこんなに久しぶりに会ったのに雰囲気が違うと気づいてくれたのはすごい嬉しいから。

 

 

「単にめんどくさかったというか・・・」

 

前言撤回、最低だ比企谷君。

 

「おねーさんが困ってる時にめんどくさいってどういうことかな?」

 

 

「いや、あの雪ノ下さんがあんなに憂鬱そうにしているなんて絶対に面倒事でしょ」

 

こーいうところがずるいんだよねぇ、なんでも気づいてくれる。なんでもっていうのはちょっと違うね。気づいて欲しいことに気づいてくれるっていうのがずるい。

 

 

「よくわかるねぇ、比企谷君、やっぱり君は面白いよ」

 

 

これは紛れもない本心だ。

 

 

「まぁ、ありがとうございます。」

 

これは想定道理だ、ここで一つ爆弾を投下してみよう。

 

 

「ところで比企谷君、比企谷君は雪乃ちゃんと付き合ったのかな?それともがはまちゃん?それか一色ちゃんか、大穴でめぐりとか??」

 

あ~、ここでだれかと付き合ってたら私は失恋しちゃうんだ。と、聞いてから理解してしまった。

こんなことなら聞かなきゃ良かったと後悔してしまう。

すると比企谷君は少し躊躇いながら、

 

 

「あの2人とはそーいうんじゃないんですよ・・・、一色や城廻先輩も・・・」

 

 

そっか、そうなのか、良かった、初めての恋を諦めなくてよくて良かった。私にもこんな気持ちが残ってたんだってことも凄く嬉しい。こんな気持ちになるのは初めてだな。と考えていると比企谷君が

 

 

「雪ノ下さん、どうしてそんなに泣きそうになってるんですか?」

 

 

「!?そ、そんなことなってないよ~?どうしたのかなぁ比企谷君?」

 

とっさに仮面をかぶってしまうが彼にはこの仮面がきかないことに気がついた。

 

 

「比企谷君、実はね・・・」

 

私は今まで両親にも、誰にも伝えたことのなかったほんとの気持ちを比企谷君にぶつけた。

つまらないと思われてもいい。ただ、嘘はつきたくなかった。

 

 

「雪ノ下さん、昔は自由気ままで凄く・・・怖いなって思ってたんですけど、今はずいぶんと違いますね。」

 

あぁ、飽きられちゃったかな、つまらないと思われちゃったかな。涙が零れそうになってしまう。

 

 

「そうだよ・・・ホントの私はこんなに弱い。今まで必死に仮面をかぶってきて、誰にも本心を悟られないようにしてきた結果がこれなの。まぁ、比企谷君にはなぜだか最初から仮面なんてきいてなかったけどね。」

 

ははは、と乾いた笑いがでる。

これで彼に飽きられちゃっておしまいかな。

あぁ、私の初恋はその恋に気づいた途端に終わってしまうのか。今まで嘘ばっかりで生きてきた私に相応しい終わりなのかな。

 

 

「俺がなんとかします。」

 

 

「えっ?」

 

彼は今なんて言ったのだろう。

 

 

「俺は今まで雪ノ下さんのことはただ怖いとか自由だとかそんな偏見でしか見てなかったです。それで本心を聞いたり、今の雪ノ下さんを見てると、なんだか、えっと、失礼ですけど年下みたいだなって・・・」

 

 

私が年下?ふふっ、やっぱり比企谷君は面白ことを言うな~と思いつつ、私は一番伝えたかった事を彼に伝える。

 

 

「ねぇ、比企谷君、私を救ってくれないかな?」

 

 

「はい。俺に出来ることなら。」

 

 

こうして私、雪ノ下陽乃は生まれて初めて人に助けを求めたのだった。

 

 

 

 




どっ、どうでしょうか!?
こんな感じなのでしょうか!?

こんなのがいいとかありますか!?

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