オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第77話

アルフは娼館襲撃の報告のため、蒼の薔薇が泊まっている宿に来ていた。

 

アルフの格好は夜と言うこともあり、フード付きの丈の長いローブを纏って耳と尻尾を隠し、頭にはゲオルギウスを乗せている。

 

「はぁ・・・・・・多分怒られるよなぁ」

 

ラキュース達に相談もなしに厄介な相手にちょっかい出したのだ、それを思うと気が重くなる。

 

「うだうだしてても仕方ないか」

 

アルフは怒られる覚悟をきめ、蒼の薔薇が泊まっている部屋をノックしたのだが、怒られる心配は杞憂に終わることになる。

 

ノックをした直後扉が開かれ、ラキュースに部屋に引きずり込まれた。

 

 

「アルフィリア、大丈夫!?怪我はない!?」

 

部屋の中にはラキュース、ティア、ガガーランの3人がいる。

 

ラキュースはアルフの着ているローブをめくり上げ、怪我がないかを確認している。

 

「ちょっ!ラキュース!?」

 

「もう、ティアとティナから八本指の娼館を三人だけで襲撃したって聞いて心配したんだから」

 

「すみません、でも見ての通り怪我はありませんよ」

 

「でもじゃないわ。貴女はぷれいやーで強いかも知れないけど女の子なんだから、あまり危ないことしないで」

 

ラキュースはそう言うとアルフをぎゅっと抱き締めた。

 

そう言えばまだ中身の性別言ってなかったなぁ。

蒼の薔薇の皆なら「一応は女の子だからいいんじゃない」とか、ティアなら「中身が男なら私がお嫁さんになる」とか言いそうで話しても問題ないと思うのだが、どう切り出したものか。

 

そんなことを考えていると、ティアから思いもしない言葉が出てきた。

 

「リーダー、アルフィリアは中身男の子」

 

「そうだっけ?」

 

「そう。私がお嫁さんにするのに重要な事だから、中身が男なら女好き」

 

うん、間違ってはいないけど言い方が悪い気がする。

 

「あの。それ誰から聞きました?」

 

「茶釜からよ。貴女が数日店を空けていた時に話す機会があってね、そこで聞いたのよ。心配しないで、蒼の薔薇をやめさせたりしないから」

 

「中身が男と言う点ではガガーランも同じ、だから気にしない」

 

「おい、それどう言う意味だ?」

 

説明する手間は省けたし、懸念していた皆の反応も問題ないようだ。

 

「それより、明日からは忙しくなるわよ。今回の娼館襲撃で八本指はいろいろ動いてくると思うわ、その前に八本指の施設を叩きます。その時貴女にはクライムと一緒に行動してもらう予定よ。作戦の内容が決まったら伝えるから、早く茶釜の所に行ってあげて。貴女がいなくて寂しそうだったから」

 

「わかりました、ではまた明日」

 

アルフは転移門を発動し、部屋から出ていった。

 

 

 

 

 

「にしても、アルフィリアの中身が男かぁ。そんな風には見えなかったが」

 

「ガガーランにしては珍しい。茶釜義姉様から聞いた話だとアルフィリアは童貞でああなった、いつもみたいに誘わないの?」

 

「ティア、俺を何だと思ってんだよ。そりゃ童貞の男ならさそうけどよ、女の体で物が無いんじゃやりようがないだろ」

 

「ガガーラン、生えてないの?」

 

「俺は女だ!にしても、お前は嬉しそうだな」

 

「もち。いつもは可愛い女の子がいて告白しても反応はほぼ一緒、だけどアルフィリアは中身男だから恋愛対象は女、だから私にもチャンスがある」

 

「はぁ、この話はここまで。ティナとイビルアイが帰ったら明日の準備をしましょう、ラナーがクライムから話を聞いて計画を前倒し、修正しているはずよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アルフの店

 

転移門を抜け、店の居住区にあるリビングに出るとそこにはアインズ、ペロロンチーノ、ぶくぶく茶釜がそろっていた。

 

「ただいま」

 

「アルフさん寂しかったー」

 

「え!?茶釜さん!?」

 

挨拶をした直後、ぶくぶく茶釜に抱き付かれ、押し倒された。

 

「アルフさん成分補給」

 

そう言いながら複数の手をくねらせながら、服の下に潜り込ませてくる。

 

「ちょっ!茶釜さん、やめっ!胸揉まないでくださいっ!」

 

「良いではないか、良いではないか」

 

ぶくぶく茶釜は手をくねらせてパンツを脱がそうとするが、アルフはスカートの上からそれを押さえて抵抗する。

 

「何してるんですか!」

 

「あーちゃんを直に感じようと思いまして」

 

「あまりこの手は使いたくなかったんですが、〈強制転移〉!」

 

魔法が発動すると同時、ぶくぶく茶釜の姿が消え失せた。

 

 

 

 

「アルフさん、大丈夫ですか?」

 

アインズが心配そうにこちらを見るが、すぐに顔を反らした。ペロロンチーノは顎に手を当て満足げだ。

 

二人がなぜそんな反応をしたのか気になり、自分の今の姿を見て理解した。

着ている衣服が乱れ、スカートが捲れ上り、脱げかけのパンツが見えている。

アルフは慌てて捲れたスカートを戻し、衣服を整えた。

 

 

「あー、それで茶釜さんはどこへ転移させたんですか?」

 

アインズはそう言いながら辺りを見回している。

 

「茶釜さんならそこです」

 

アルフは床を指差した。そこには床下収納があり、アインズがそこを開けると大きめのビンが一つ入っており、ゴトゴトと音をたてて動いている。

 

アインズは床下収納からビンを取り出し、テーブルの上に置いた。

ビンの中にはぶくぶく茶釜が詰められており、ビンから出ようともがいている。

 

「アルフさんこれって、スライム種捕獲用のビンですか?」

 

「そうです、スライム種には開けることも破壊することもできないよういろいろいじりましたけど。もしもの時に用意しておきました、今夜はビンの中で反省してもらいます」

 

『にぁーー!!開かない!』

 

ぶくぶく茶釜はビンを開けようともがくが、ゴトゴトと音をたてて揺れるだけだった。




ニニャとツアレは難しいところですね。
その辺りいろいろ考えます。

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