アルフとクライムはセバスの案内で娼館の裏手にきていた。
襲撃の手筈としてはまずセバスが表から乗り込み、後からアルフとクライムが裏から挟撃をしかけ、逃げ道を潰す。
その際、相手は殺しても構わないが幹部格の者は生かして捕まえてほしいとクライムから頼まれている。
アルフは漆黒の柄の紅く透き通った刀身の短刀を持ち
、クライムは緊張した面持ちで剣を構え、突撃に備えている。
「ラグナライト様は緊張なされないのですか?」
「わずかながら緊張しますが、固くなりすぎてもいつもの力を発揮できないですから」
「そうですか。それにしてもその刀綺麗ですね、どう言った物なのでしょうか?」
クライムは緊張を解すためか関係のない話をふってくる。
「これは昔、知り合いに作ってもらった物です。柄と鞘にはドラゴンの鱗、刀身は龍血晶で作られてます」
これはゲオルギウスから取れた素材で試験的に作った短刀だが、とくにこれと言った特殊能力は無く、切れ味と頑強さを突き詰めて造り、自然とオブジェクト破壊効果が付与された。
「ドラゴンの鱗と血ですか!しかし間合いが短いですが大丈夫ですか?」
「心配しなくても大丈夫ですよ。建物内のような狭い場所で戦う時はこの方が効果的なんです」
そんなことを話していると、ズドンと言う衝撃音と共に娼館が揺れ、中からドタドタと複数の人間が走る足音が聞こえてくる。
「今のはいったい・・・・」
「今のはおそらくセバス様だと思います。こちらも突入しましょう」
アルフはそう言うと、短刀で複数回扉を切りつけた。
短刀は扉をバターのように切り裂き、扉がガラガラと崩れて入り口が出来た。
「あ?なんだ?」
娼館の裏口の見張りをしていると、扉がバラバラと崩れ、その向こうには短刀を持った美女と、その後ろには男がいる。
「なんだお前。ずいぶん綺麗な嬢ちゃんじゃないか、ここで働きたいのか?」
男は入ってきた美女に下卑た視線を向け、ねぶるように見つめている。
「いや待て。こいつ、コッコドールさんが言っていたヤツじゃないか?」
扉が崩れる音が気になったのか、奥から次々と仲間が出てくる。
「確かに、確か捕まえたら壊さない程度に犯しても良いんだっけ?」
その言葉を聞き、仲間達の目の色が変わった。たぶん頭の中でこの女が酷いことをされているのだろう。
「だが、傷つけたら価値が下がるんじゃねぇか?」
「傷くらいはポーションでなんとかなる、悪く思うなよ嬢ちゃん!」
俺は剣を振り上げ、女を切りつけようと降り下ろしたのだが、
その剣は女によって、左手の親指と人差指で挟んで受け止められた。
「なっ!!」
「貴方達に質問があります。ここにサキュロントと奴隷部門の長がいると思うのですがどこにいるかご存知ですか?」
「し、知らねぇよ。知ってても教えるか!」
俺は剣を両手で持ち、思いきり力を込めるがびくともしない。
「そうですか。では貴方には用はありません」
女は指に力を込め、剣を折り砕くと同時に右手に持った短刀で右から左へと一閃した。
次の瞬間、顔が床に叩きつけられた。
何が起こったのか確認しようと視線を動かすと、そこには首のない自分の体があり、そこで意識が途切れた。
頭を失った男の体はその断面から勢いよく血を吹き出しながら、膝から崩れ落ちた。
それを見ていた者達の時間が止まったように辺りが静かになった。
それもそうだろう、一瞬で、一撃で、今生きていた人間の命がいとも簡単に吹き消されたのだ。
「次は誰が来ますか?」
「よ、よくも!」
取り囲んでいた内の一人が駆け出し、剣を振り上げるが、アルフにとっては遅すぎる。
アルフはがら空きになっている首を鷲掴み、床に叩きつける。
「グハっ!!」
叩きつけると同時に床が陥没し、男は吐血した。
こうしていると、クレマンティーヌを眷属にした時の事を思い出す。
「では、貴方にも同じ質問をします。サキュロントと奴隷部門の長は何処ですか?」
「し、知らねぇ。知ってても教えねぇよ!」
「そうですか、貴方も同じですか」
首を掴んでいる手に徐々に力を込めていき、締め上げていく。
「ガっ!?・・・・グ」
男はアルフの手を剥がそうと手をかけるが全く動かない。
「いい忘れていましたが。私は貴方達のような犯罪者は大嫌いです」
いい終えると同時、相手の首を握力のみで握り潰し、切断した。
「ひっ!・・・ば、バケモノ‼」
男達は踵を返し逃げようとするが、そう簡単にはいかなかった。
「
魔法が発動し、床や壁から鎖がのび、男達の足や腕に絡み付き拘束する。
男達は拘束から抜け出そうとするが、ガチャガチャと音をたてるだけで拘束が解ける気配はない。
「クライムさんはここで働かされている人達の解放をお願いします。私はこの人達から幹部の居場所を聞き出します」
クライムは呆然としており、反応がない。
「クライムさん!!」
「は、はい!!」
「ここは私に任せて、貴方は働かされている人達を助けて来てください」
「わ、わかりました!」
そう言うと、クライムは拘束されてい男達の間を抜け、奥へと走っていった。
「では、尋問を始めましょうか」
アルフはそう言いながら、怯える男の頭に手をかけた。
残虐シーンが上手く書けないです。