アルフが貴族達と交流しているのと同時刻。
エ・ランテル 某レストラン。
アインズ、ペロロンチーノ、クレマンティーヌ、ナーベラルはそこで食事をとっている、と言ってもアインズは食事をとれないので見ているだけだ。
なぜクレマンティーヌがここにいるかと言うと、アルフは彼女を昼餐会に誘ったが
『私、ドレスとか柄じゃないし、堅っ苦しいの苦手だからパス。留守番も暇だからアインズさんの所で暇潰ししてる』との事で今こうしてここにいる。
「そー言えば、モモン様達はこれからどうするの?あー・・・・御主人様と合流するの?」
クレマンティーヌは動かしていた匙を止めてそう聞いてきた。途中アルフの事をあーちゃんと呼ぼうとしたがナーベラルに睨まれ、言い直している。
「そうだな、ここでやることは粗方終わった。もう少ししたら王都に行く予定ではあるが、アルフさんと合流するかはまだ決めていない。それと、様付けはやめてくれないか?」
「そうしたいのはやまやまなんだけどねぇ・・・・・・」
そう言いながらナーベラルを横目で見ている。
「私はこれでも譲歩しているのですよ?至高の御方々への口の聞き方、アルフィリア様の眷属でなければ今頃ミンチになっています」
「ナーベ、私達は構わないと何度も言っているだろう。それにそういった口調の方が好ましい、お前もクレマンティーヌ程とは言わないがもう少し砕けた感じで話せないか?」
「ですがモモンさ・・・・ん、それでは至高の御方々に失礼です」
忠義をつくしてくれるのは良いが、ここまで頭が固いとは。他のシモベ達にも言えることだがもう少し柔らかく考えられないものか・・・・・・。
「その辺りはゆっくりと考えるとして。ペロロンチーノさんはアルフさんとの合流どう考えてます?」
「俺は合流しても良いと思うけど。そういえば、アルフさんは今頃王城で豪華な食事を食べてるのかなぁ、俺も昼餐会出たかった」
「まだ言ってるんですか。今は鎧を着てるから嘴や翼、羽毛は装飾品だって誤魔化せてますが、俺とペロロンチーノさんが正装したら正体露見のリスクが高くなるんですから」
「デスヨネー。こんなことになるって知っていたら人間の姿をとれる種族選んどけば良かった」
ペロロンチーノはそう言いながら食事を進めていく。
彼の言うことも理解できなくもない。自身もこの世界に来ると知っていれば食事をとれる種族を選んでいただろう。仲間が食事している姿を見ているとその思いが強くなる。リアルでは今まで一人で栄養補助合成食とサプリメントをとるだけだった。
皆と一緒に食卓を囲み、一緒に食事が出来たらどれだけ楽しいか。
アインズはそう思いながら、これからの予定を組み立て始めた。
王城 ロ・レンテ城 ヴァランシア宮殿通路
そこを並んで歩く女性が二人、一人はラキュース、もう一人はぶくぶく茶釜を抱えたアルフだ。
「それにしても、さっきは大変だったわね。私もあんなことになるとは思わなかった」
ラキュースは笑いながらそう言ってくる。
さっきとはあの事だろう。
昼餐会会場の広間でアルフは貴族達の相手をしていた。話の内容は交友を持つため、商談をするため、求婚といろいろあった。
貴族達と談笑し、求婚を断り、商談などを進めているとき、それは訪れた。
アルフの前に現れたのは画家をしている貴族の家系の者らしい、その人は貴族達の間でも有名らしく幾人も肖像画を頼んだりしているようだ。
そんな彼が話しかけてきた理由は「貴女の絵を描かせてほしい」と言うものだった。アルフはそれを了承したのだが、その後から複数人の画家が名乗りをあげ、広間で写生大会が開催され、食事をとることができなかった・・・・・・。
「笑い事じゃないですよ、あれのせいで料理食べられなかったんですよ?」
その辺りは心配していなかったりする。アルフが絵を描かれている間、ぶくぶく茶釜に頼んで料理を箱詰めにしてもらっている。
「ごめんなさい、今度私のおすすめの所に食事につれていってあげるから」
「それで、お姫様は私にどんな用事があるのでしょうか?」
「その辺りの詳しい話はラナーから聞いて、この件に関してはあまり口外出来ないから」
口振りからすると、何かしら秘密裏に進めている事があり、おそらくそのために双子の片割れを偵察に出しているのだろう。
「着いたわ」
考えているうちに目的の部屋の前に着いた。
ラキュースはノックしてから、扉を開けなかに入った。
「ラナー、アルフィリアを連れてきたわ」
ラキュースの後に続きアルフも部屋に入り、扉を閉めた。
部屋の中には様々な調度品が置かれ、部屋の中心には丸いテーブルと4つの椅子が置かれている。
その椅子の内二つは既にうまっており、片方には黄金の髪をした美しい女性が座り、もう片方はクライムが座っている。
テーブルの上にはティーセット一式と高級そうな茶菓子が並び、ティーカップからは湯気が立ち上っている。
「ラグナライト様。私はラナー・ティエール・シャルドロン・ライル・ヴァイセルフと申します」
ラナーは一礼した後、空いていた二つのカップに紅茶を入れるよう、部屋のすみに待機していた執事に告げ、それが終わると彼を退室させた。