翌日
ナザリック地下大墳墓・第九階層 食堂 9:30
そこには遅めの朝食をとる一般メイドとアルフ、クレマンティーヌ。それを見ているぶくぶく茶釜とペロロンチーノの姿があった。
アルフとクレマンティーヌは昨日の精神的疲労で九時頃まで寝ており、ぶくぶく茶釜とペロロンチーノはアインズからの報告をアルフへと伝えるために食堂で待っていた、という状況だった。
そのぶくぶく茶釜から聞いた報告は、アインズとナーベラルが昨夜の件で
「で、もうしばらくしたらアインズさんが戻ってくるから。その時皆で今回どうするか決めるみたい」
「そうなんだ」
アルフは報告の内容を聞き、思案する。
一応冒険者のランクについては当人達から聞いているのでそれなりに詳しい、今回の規模の事件であればオリハルコンになっても良いはずだ。やはり実績は必用、との答えに行き着き、ヴァンパイア討伐の依頼を利用した実績作りを思いつき提案してみる。
「それ良いな、後はどうやって証拠を作るかだが・・・・・・」
「それは適当な場所を焼き払えば良いんじゃない?」
ペロロンチーノの言葉に、ぶくぶく茶釜が物騒な答えを返す。
「なら模擬戦やってその過程で焼き払えばそれっぽい痕跡が作れるな。アルフさんと守護者が全力戦闘すればちょうど良いかも」
「何で僕が・・・・・・それに守護者が断ったらどうするんですか」
「いや、俺は狙撃系だし、姉ちゃんは防御主体で殴り合うスタイルだし。アルフさんの本当の全力戦闘ならいい感じで焼けると思う」
「それと守護者は断らないと思うけど、だめ押しでアルフさんが何か一つ頼み事を聞いてくれるって餌で釣れば大丈夫」
アルフとしては適当に大地をボコボコにすればいいと思っていたが、意思に反して話が妙な方向に進んでいく。自分で提案した事なので取り下げにくい。
そんなこんなで、守護者がアルフと模擬戦をして勝てれば何か一つ頼みを聞いてもらえる。という話し合いの内容が一般メイドから守護者達に伝わってしまい、引くに引けない状況になっていき、帰ってきたアインズに提案を話しOKが出たことにより完全に退路を断たれてしまった・・・・・・。
死を撒く剣団 アジト跡地近くの平原 21:00
そこにはアインズ、アルフ、ぶくぶく茶釜、ペロロンチーノ、クレマンティーヌ、各階層守護者が揃っている。
ここにいる目的は、ここで模擬戦を行い、その戦闘痕をヴァンパイア討伐時に出来たものと報告するためだ。うまくいけばアインズは冒険者の頂点、アダマンタイトになる可能性が高い。
「では、昼間話した通り守護者の中から一人、アルフさんと全力で模擬戦をしてもらおうと思う。この模擬戦で勝利すれば彼女が一つ頼み事を聞いてくれる事になっている」
アインズの言葉に、アルフは納得が出来ないというような表情をしており、守護者達はアルフへ獲物を狙うような視線を向けるが、すぐにそれがなくなる。
数日前行われたコキュートスとの試合を思い出したのだろう、
そんな中、模擬戦の相手を申し出る守護者がいた。
「アインズ様。アルフィリア様との模擬戦相手、わたしが勤めるでありんす」
「うむ、他に申し出る者もいないので、アルフさんとの模擬戦の相手はシャルティアとする。シャルティアよ、アルフさんに望むことはなんだ?」
「はい、アルフィリア様には睦事のお相手をして欲しいでありんす」
シャルティアの言葉に沈黙が訪れる。
「・・・・・・許可する」
「ちょっと!アインズさんなに考えてるんですか‼」
アインズの言葉にアルフが詰め寄り抗議の声をあげる。
「良いではないか、アルフさんが勝てば問題はない」
「他人事だと思って・・・・・・今度数倍にして返してあげますから、楽しみにしててくださいね」
「で、ではこれより模擬戦を行う。両者指定の位置について準備を行え」
アルフの言葉と誰もが惚れそうな笑み+威圧のオーラにアインズが慌てて模擬戦の準備を促す。表情があればその顔はひきつっていただろう。
「では、今回の模擬戦のルールを説明する。
ルールその1、魔法は超位魔法以外なら全て使用可能。
ルールその2、装備の制限は無し。
ルールその3、消費アイテムの使用禁止。
ルールその4、どちらかのHPが残り25%を切ったら模擬戦は終了、念のため蘇生アイテムは装備すること、以上だ」
アインズのルール説明が終わり、アルフとシャルティアは模擬戦の準備を始めた。
誤字脱字の指摘ありがとうございます。