オーバーロード 月下の神狼   作:霜月 龍幻

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第37話

ナザリック地下大墳墓・第二階層 死蝋玄室

 

「さあ、着いてきてくんなまし」

 

アルフとクレマンティーヌはシャルティアの案内で、彼女の住居内を進んでいく。

そこは薄絹で出来たピンクのベールが吊られ、そこかしこから女の嬌声が聞こえ、甘いかおりも漂ってくる。

 

ここにはバッドステータスを与えるギミックがある。アルフは太股に付けたグレイプニルで、クレマンティーヌはここに来る前に渡した腕輪でそれを防いでいる。

 

シャルティアに案内され、いくつかの部屋を通るが、そこにはいろんな意味でヤバイ物が置かれていた。

 

いろんな形をした怪しげな器具、三角木馬、拘束台、荒縄、手枷足枷等々いろいろ置いてあり、

見つかれば確実にBANされるであろう物が所々見られる。今までよく消されなかったなぁ、と逆に感心してしまう。

 

「ついたでありんす」

 

ついた場所は空気に水気を含んでおり、シャルティアのむこうの部屋を覗き見るとそこには湯をはった大きな浴槽と、下半身だけ湯船に浸かっている全裸のヴァンパイア・ブライドが3人いた。

 

 

何故シャルティアが二人を風呂へ連れてきたかというと。

 

「死臭というのも魅力的でありんすが、ソープの香りをまとったアルフィリア様の方が良いでありんす」

 

と頬を染めながら言っていたからだ。何となくシャルティアが二人の裸体を見たいだけのような気がするが、転移前含めて湯に浸かるというのは初めてなので気にしないでおく。

 

 

 

 

そして今現在、アルフとクレマンティーヌは全裸になって凹の形の椅子に座っている。何故こんなものを設置したとペロロンチーノを問い詰めたいがろくな答えが帰ってこない気がする・・・・・・。

 

アルフは自分の体を見下ろす。そこには大きめの胸がある。視線を正面の鏡に移すと、美しい漆黒の髪が塗れ肌がほんのり朱に染まった自分が映っている。その自分の姿に頬を紅くし、興奮している自分がいる・・・・・・。

 

 

「ちょっ!そこはいいって、自分で洗えるからぁ‼」

 

アルフの右隣ではクレマンティーヌがヴァンパイア・ブライド達に前や後ろ、耳、尻尾、下腹部等全身洗われている。

 

 

「ではアルフィリア様、準備は良いでありんすか?」

 

「・・・・・・出来れば自分で洗いたいんだけど」

 

「アルフィリア様はお客様でありんす、私が誠心誠意おもてなししんす。では、いくでありんすよ」

 

背後にいるシャルティアの問に、拒否で答えるが。

拒否しきれずシャルティアに洗われる事になってしまった。

 

 

シャルティアは泡立てたソープを自分の体に塗り、その状態でアルフの背中に胸を押し当て上下し。手に付けた泡で肩や腕を洗っていく。

 

「後ろの次は前を洗うでありんす」

 

「いや、前は自分でやるから。シャルティアは先に湯に浸かったら?」

 

「遠慮はしなくても良いでありんす、わたしは気にしないでありんす」

 

「ちょ!僕は気にするから! そんなところに手を入れないで‼」

 

そしてアルフはシャルティアに全身、とくに胸、尻尾の付け根、下腹部を重点的に洗われた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

風呂に入り終え、今はシャルティアに案内された寝室のピンクの天蓋付きの大きなベッドに、アルフとクレマンティーヌはぐったりと寝そべっている。

 

「・・・・・・クレマンティーヌ、大丈夫?」

 

「大丈夫じゃない。茶釜ちゃんにされたことに比べたらあれだけど、複数人でまさぐって来るんだもん・・・・・・」

 

ペロロンチーノはヴァンパイア・ブライドにもそうするように設定を組んでいたのだろうか、後で踏もう。

 

「それよりシャルティア様のあれって・・・・・・」

 

風呂に入っているとき、目線がシャルティアの胸にいっていたので、恐らくは胸の事を言っているのだろう。

 

「クレマンティーヌ、本人の前では言わないであげて。いろいろ気にしてるみたいだから」

 

「了解」

 

「シャルティアのせいで風呂では疲れが取れなかった・・・・・・」

 

「同感」

 

そうしているうちに眠気が訪れる、こんなものは睡眠不要の装備を使えばどうとでもなるが、眠りの心地よさが好きなのでそうはしない。

そして睡眠欲にまかせ、意識を手放し深い眠りへと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ナザリック地下大墳墓・第九階層 会議室

 

そこには各階層の守護者が揃っていた。

 

「では、これから臨時守護者会議を始めます。議題はアインズ様の方針をどう思っているかです」

 

アルベドの声が会議室に響く。

 

「アインズ様はこれから、見所のある者や他種族をナザリック外から招く方針のようです、私はそれについては異論はないけど、皆の意見を聞きたいの。まずはデミウルゴス」

 

「私は有能であればナザリックに率いれても良いと考えてます。無能でもいろいろ役に立つ者もいる可能性がある、例えば異種族どうしでも子は成せるか等の交配実験やゴーレムやスケルトンでは出来ない作物や家畜の管理ですかね」

 

「次はアウラ、マーレ」

 

「あたしは従ってくれるモンスターなら良いけど、外の者が自由にナザリックを歩き回るのはなんか嫌だな」

 

「ぼ、ぼくもお姉ちゃんと同じです」

 

「アウラ、その気持ちは皆一緒よ。アインズ様が友好的に接するよう言われているわ。外部に我々は他種族とも友好的な者というアピールとの事だけど、私は他にも狙いがあると考えているわ」

 

「アインズ様の思考は私やアルベドでも読めない時がありますからね」

 

「では次、コキュートス」

 

「私モ有能、マタハ有望デアレバ引キ入レテモ構ワナイト思ッテイル」

 

「最後にシャルティア」

 

「わたしもアインズ様の方針に異論はないでありんす。今回加わったクレマンティーヌと言う者、忠誠心は低いでありんすがなかなか良い身体をしていんした」

 

「その事だけど。あなた、そのクレマンティーヌと一緒にアルフィリア様ともお風呂に入ったそうだけど、それは本当?」

 

「本当でありんす。あの美しい黒髪、バランスのよい肢体、艶のある肌、大きめの乳房、今思い出しても興奮するでありんす」

 

シャルティアの顔が紅く染まり、その手をワキワキと動かしている・・・・・・。

そんなシャルティアに羨ましさと嫉妬の混じった視線が複数向けられる。

 

至高の御方と一緒に風呂に入るなど、ご褒美以上に価値のあるものだ。

 

「シャルティア、至高の御方に不敬な事をするのは・・・・・・」

 

「わかっているでありんす、もし本気で拒絶されたらやめるでありんす」

 

「はぁ・・・・・・皆、概ねアインズ様の方針に異論は無いようね。ではこれで会議を終わりにします」


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