モモンガは今にいたるまでと、現在の状況をガゼフに話し、ガゼフは疑問に思ったことをモモンガに聞く。
そんなやり取りをしているなか、一人の騎兵が広場に駆け込んできた。息は大きく乱れ、運んできた情報の重要さを感じさせる。
騎兵は大声で緊急事態を告げる。
「戦士長! 周囲に複数の人影。村を囲むような形で接近しつつあります!」
先ほどの報告を聞き、モモンガと村長、ガゼフは村長の家に入っていった。
アルフとペロロンチーノは村長宅の屋根に上り、村を取り囲んでいるもの達を観察する。
「あれって、
「うん、そう見えるね」
ペロロンチーノの言葉に同意する。
「モモンガさんはガゼフさん達に力を貸すのかな」
「どうですかね、僕としてはガゼフさんに力を貸してもいいと思います。20人でその倍ほどの量を相手にするのは分が悪い」
そんな会話をしていると、ガゼフ達が村を出て遠ざかっていく。アルフとペロロンチーノは村長の家に入り、モモンガに今後どうするのか話を聞くことにした
馬の興奮が両足から伝わってくる。
たとえ軍馬として調教された馬であっても、いやそんな馬だからこそ、これから突入する死地を感じ取っているのだろう。
相手は四五名しかいないにも関わらず、村の周囲を大きく取り囲むように展開している。そのために各員の間隔は大きく開いているが、何らかの手段によって完璧な檻を構築しているはずだ。
つまりは確実に罠。踏み込めば致死の顎が開くはず。
それを把握しながら、ガゼフの取る手段は強行突破である。いや、それしか現状では手段がない。
モモンガ、アルフ、ペロロンチーノは、遠隔視の鏡でガゼフ達と敵の戦いを覗いていた。
戦いは一方的であり、ガゼフ達には勝ち目がないように見て取れる。
そんな中、ガゼフの戦いは凄まじかった。ユグドラシルにはなかった技を使い、六体の天使を一振りで両断し、続く攻撃で一体、二体と倒していく。
だが天使が倒されても、また次の天使が召喚される。これでは、歴戦の戦士といえど体力がもたず、いずれ殺されるだろう。
「 そろそろ交代だな」
モモンガの呟きとともに、モモンガ、アルベド、アルフ、ペロロンチーノの姿が消え。変わりに傷ついたガゼフと騎兵達がそこにあらわれた。
「こ、ここは・・・・・・」
「ここはアインズ様が魔法で防御を張られた倉庫です」
「そんちょうか・・・・・・ゴ、ゴウン殿達の姿は見えないようだが・・・・・・」
「いえ、先ほどまでここにいらっしゃったのですが、戦士長さまと入れ替わるように姿が掻き消えまして」
そうか。頭に響いた声の主は・・・・・・。
ガゼフは必死に込めていた力を体から抜く。これ以上はもはやすることはないだろう。地面に転がったガゼフに、村人達が慌てて近寄ってくる。
六色聖典。周辺国家の戦士としては最強であるガゼフですら勝てなかった相手。
しかしアインズ・ウール・ゴウンが負けるというイメージは一切浮かばなかった。
草原に先ほどまでの死闘の名残はない。
そんな草原にそれまでなかったはずの人影が四つ。
スレイン法国特殊工作部隊、陽光聖典隊長、ニグンはその四人に困惑の眼差しを向ける。
一人は魔力系
一人は漆黒の
ニグンに、いやスレイン法国にとってあとの二人の方が問題と思われた。
一人は獣の耳と尻尾を有した美しい少女である、その身は軽装であるが前の二人と勝るとも劣らない装備をしており、外見からして
もう一人は黄金の鎧を見にまとい、背には二対四枚の翼が生えている、顔は鳥を模した仮面で確認できないがおそらくバードマンだろう。装備は他の三人より少し落ちるが、それでも一級品のマジックアイテムであることには変わりない。
亜人種、異形種はスレイン法国にとって敵であり、滅ぼさなければならない存在だ。
追い詰めたガゼフの代わりに姿を見せた謎の四人。逆にガゼフやその部下達の姿はない。何らかの転移魔法によるものだろうが、その魔法に心当たりがない。未知の魔法を使う、正体不明の人物。警戒は絶やせない。
ニグンは天使達を一旦全員引かせ、自分達を守る壁のように配置し、若干の距離を取る。そのまま油断なく出方を窺っていると、前に立つ
「はじめまして、スレイン法国の皆さん。私の名前はアインズ・ウール・ゴウン。アインズと親しみを込めて呼んでいただければ幸いです」
ニグンが何も言わないでいると、アインズと名乗った人物は重ねて言葉を紡いだ。
「そして後ろにいるのがアルベド、アルフィリア、ペロロンチーノ。まずは皆さんと取引をしたいことがあるので、少しばかりお時間をもらえないでしょうか?」
大人気の噛ませ犬、ニグンさんの登場。
所々必要でない話を飛ばし、少しおかしい所があるかも知れませんが、気にしないでいただけると助かります。