できるだけ無欲で生きていきましょう   作:タクロス

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ようやく投稿できました。今回は構想練るのにかなり時間をかけてしまいました。ああでもない、こうでもないを何回もしてました。

今回は時間軸上、鈴さんとの別れではなくドイツに行くことになりました。

そんなわけでドイツのあの子が登場です。
今回も『』のなかは外国語(ドイツ語)になっています。


モンドグロッソ 〜相談と誘拐〜

 

(りん)のイジメがあった日からまた三年が経った。その間に新人(あらと)たちは小学六年生になり、新人たちが四年生のときにISの世界大会、第一回モンド・グロッソが開催され新人の友人である織斑一夏(おりむらいちか)の姉、織斑千冬(おりむらちふゆ)が覇者としてブリュンヒルデの称号を獲得していた。それよりも前に新人の祖父母の家と織斑家はお隣さんだという事実が発覚したり(発覚するのが遅れたのは新人が一夏より早く登校し日直の日以外では一夏より早く帰っているから二人とも相手の家の位置を知らなかったためである)、鈴が日本語でしっかり会話することができるようになったり、長期休みに下園くんたちに会いに行ったり、そのときに一夏たちと友達になったことを下園くんに伝えたら驚かれたり、体を鍛えたり、シャルロットと電話したり、鈴や一夏たちと遊んだり、一夏とその姉の千冬に剣道を勧められたが断ったりと色々あった。

その三年間で、特に目立つのは第一回モンドグロッソで織斑千冬が優勝してから世界的に大きくなった女尊男卑思考、そしてそれを広げようとする女性利権団体である。ISを唯一扱うことのできる女は偉い。男なんかより遥かに尊い。女が男に命令し男はそれに従わなければならないのは当たり前。そういったことをまるで当然のように謳い、日々信者を増やしていっている団体で、新人たちのクラスにもそういった人間が増えていっているのである。ただ、鈴はそういった思考は好きではなく逆に嫌いだと言って変わらずに過ごしている。

 

そして唐突だが、今日は第二回モンドグロッソの決勝戦である。一夏は応援できて欲しいと鈴たちに頼んだのだが用事があると言われ、そこで新人に白羽の矢がたったのであった。頼まれた新人は一言、いいですよと言って了承した。そのあとに、電話で下園くんに今度のモンドグロッソに行くかを聞かれ、新人が今決まったことを伝えるとすぐに家に来てくれと言われた。下園くんと話をして帰った後、新人は親にドイツに行くことを伝えると、まあ大丈夫だろうとなって、ドイツへ行く準備をして一回戦と二回戦の試合前日に到着。そして、見事一回戦、二回戦と準決勝まで快進撃を続け、今に至る。

 

「一夏くん。僕は試合まで時間があるので少し散歩してきますが、一夏くんはどうしますか?」

「ん〜、俺は千冬姉のとこに行こうかな。最後の試合前だし、その後は会場で待ってるよ」

「そうですか。では試合5分前にはそちらに着くように行ってきます」

「おう、遅れんなよ」

「大丈夫ですよ。それよりも渡したお守り落とさないでくださいね」

「わかってるって。そんじゃまた後でな」

 

そう言って新人はドイツの街に繰り出す。街はISの登場やモンドグロッソの開催地になっているため日本語でしゃべる人や案内板が作られている。まだ朝食を食べてない新人はそこらへんにある飲食店の出店で朝食を買うとベンチに座って買ったものを食べ始める。なかなかに美味しかったのでもう一個買ってから、公園へと向かう。公園にはモンドグロッソの決勝戦があるせいか人がほとんどおらず、銀色の髪(・・・・)をした少女が一人だけ俯いてベンチに座っているだけだった。

 

『失礼、お隣よろしいですか?』

『あ?あ、ああ、どうぞ』

 

少女になんだこいつは、みたいな目で見られるも新人は特に気にすることはなく座ると、少女もすぐに視線を下へと落としていった。少しの間沈黙が流れる。そして、

 

『なにか悩み事がおありですか?』

『・・・・・・』

『もしよろしければ話してみてはどうですか?悩み事は知らない人に話してみるともしかしたら解決したり、少しくらいですが気が楽になったりしますよ』

 

新人が口を開く。唐突にあなたには悩みがあるなんて言われてもなに言ってんだこいつ、としかならない。この女尊男卑の世界となった今では特にそうだ。だが、少女は

 

『本当に悩みが解決するのか?』

 

あまりにも純粋すぎた。まるで、おじちゃんについてきたら飴ちゃんをあげるよと言われそのままついて行ってしまう子供のように。

 

『絶対に解決するというわけではありません。ですがもしかしたら解決の糸口やなにかを発見することがあるかもしれませんよ』

『そうか……なら、私の話を聞いてくれないか?』

『はい、よろこんで』

 

彼女の話はこうだ。彼女は少し特殊な環境で育ったために軍に所属している。そこではいつもトップの成績をおさめ、優秀な兵として活躍してきた。だが、二年前にISが軍の中で主流になってから彼女はとある手術を受けた。それを受けてから、体力は手術前から圧倒的に落ち、反射神経なども格段に落ちた。そしていつの間にか成績は一番下になっており、周りからは無能の蔑まれるようになった。彼女の育ての親は軍の中でかなり偉いらしくその人のおかげで何とか軍に居られるがそれも時間の問題らしい。育て親のためにも、訓練を頑張っているらしいがなかなかもとの体力には戻らず、連日続けで心配になった育て親の人が休暇を出したらしい。少し休めとのことだった。ついでに近々モンドグロッソが開かれるからそれを見て参考にでもしなさいと言われたらしい。そして、それを自分に相談して今に至るとのこと。

 

『ふむ。難しい問題ですね。少し待ってくださいね』

『いや、わからないなら無理に答えを出そうとしなくてもいいさ。私としても悩みを話せて少し気が楽になった。ありがとう』

『すみません。自分から相談してみてはと言ったのにこんなザマで。自分の親友ならもしかしたらこの相談に最的確な答えを出してくれると思うんですが』

 

と、悔やむ新人。だが仕方のないことでもある。ただの小学六年生がこんな質問に最的確な答えを出せるはずがないのだから。新人が、悔やんでいると新人のポケットから「ピロロロロロロロ」と携帯の着信音が鳴る。失礼します、と言って少しベンチから離れて携帯の着信にでる新人。そこからは先ほどの話に出ていた親友の声が聞こえてきた。

 

「おい、新人。今どこにいる?」

「どこって、ドイツのモンドグロッソの会場がある街にいますが」

「そういうことじゃない。その街のどこにいるかを聞いているんだ」

「えっと、会場から少し離れた公園ですね。人はほとんどいませんが」

「そうか、なら話しやすいな。いいか新人、よく聞いてくれ。

 

織斑一夏が誘拐された」

「それは本当ですか?」

「ああ、ほんとのほんとだよ。今会場から車で移動してるっぽいな。かなりの速さでどこかへ向かっている」

「なぜそれを下園くんが?」

「お前に織斑一夏に渡しておけって言っておいたお守りがあったろ、あれの中にGPSの発信機を入れておいた。何となくだけどこうなることは予測できたからな」

「そうですか、それでどこに行けば?」

「はぁ、お前誘拐犯に一人で立ち向かう気か?さすがにそれは無謀すぎる。確かに俺たちくらいの歳じゃ、いたずらかもしれないって切られるかもしれないし、会場警備で忙しいとか言われて無視されるのがオチだろうな。信用やそういった関係のコネもないし」

「ですから一人で…」

「行かせると思ってんのか?周りに誰か頼れる人はいないのか?」

 

頼れる人、そういえば彼女は軍に入っていると言っていたのを思い出す新人。しかも、偉い人と繋がりがあると言っていたからもしかしたらと、彼女に話しかける新人。

 

『すいません。少し唐突ですがよろしいでしょうか?』

『どうかしたのか?私でよければ力になるが』

『会ってすぐの人にこう頼むのもおかしいと思いますが、お願いします』

 

そう言って、事情を話す新人。彼女は真剣にその話を聞いてくれた。

 

『事情はわかった。少し待ってくれ。あの人に頼んでみる』

『本当ですか。ありがとうございます』

 

表情も声色も変わってはいないが新人は深く感謝をしていた。彼女は自分の携帯を取り出して電話をかける。そして何回か喋っていると、彼女が誘拐された人物の名前を聞いてきた。新人は織斑一夏ですと答えると、少女は電話の相手に同じように伝える。すると、何秒か経ってから突然少女は驚いた顔をしてこっちを向いてきた。

 

『な、なあ。もしかして織斑一夏ってあの織斑千冬の弟のことか?』

『はい、そうですが』

『な、なら今すぐ織斑一夏の場所を教えろとのことなんだが』

『えっと、すいません。少し待ってください』

 

と言ってから、新人は下園くんに位置情報を送ってくださいと頼む。データはすぐに送られてきてそれを少女に伝える。少女は電話の相手に位置やまだ動いてることを伝えると携帯を耳元から外してこちらを向いた。

 

『協力感謝するとのことだ』

『そうですか。では』

 

と言って走り出そうとする新人。だがその手をすぐに掴まれて動くことができない。

 

『どこへ行くんだ?これ以上私たちにはできることはない。足手まといになるだけだ』

『一夏くんの動きが止まりました。つまりそこに捕まっているわけです。ここからなら走って十分もあれば、すぐにたどり着けます。軍の人を待つよりも早く行けます』

『お前一人が言って何になるんだ!子供一人が大人相手にかなうはずがないだろう!』

『ですが見過ごすことはできません。大切な友達ですから』

『装備もなしに突っ込んでいって犬死したいのか貴様は!』

『別に構いません。一夏くんを助けられるならそれで』

『くっ…この分からず屋!』

『それでは、さよならです。あまり悩みの解決を手伝えなくてすみませんでした』

 

そう言って走り出そうとする新人であったが、『待て!』と大きな声で後ろから呼び止められた。

 

『私は軍人だ。一般市民が一人で誘拐犯に立ち向かおうとしているのを黙って見過ごすわけにはいかない。私もついて行くぞ』

『そうですか、ありがとうございます。では行きましょう』

『待て、これから誘拐犯のところに行くのにお互いの名前も知らないんじゃ連携も取れない。お前の名前を教えてくれ』

『自分の名前は天下新人(あましたあらと)といいます。貴女は?』

『ラウラ・ボーデヴィッヒだ。行くぞ新人』

 

そう言って二人は一夏がいるであろう場所へと向かっていった。





というわけでラウラさんの登場です。正直話し方がこれで合っているのか不安になってます。

そして、新人くんがいつもなら取らないような行動(作者の中では)を取っています。これは新人にもまだ焦りや心配などの感情が残っていることを表すためです。彼は表情や声色に変化がないだけで実際のところは一部感情などはしっかりと残っています。フランス編ではそれが少しは出ていると思っています。下園くんに関してはどうして発信機なんか持ってんのかとかの疑問がわくと思いますがこれは、IS学園に入ったらわかります(正確には福音戦あたりで)
突っ込みどころはそれ以外にもあるかもしれないですが感想とかで書いてくれると嬉しかったりします。


UA五千越え。お気に入り70件越え。そして、いつも読んでくださっている皆さまに感謝を。


次回は一夏のくん救出です。

ワンサマ「また俺の出番少ないな」
作者「ごめんなさい。たぶんIS学園に入ったら出番増えるからもう少し待ってください」
ワンサマ「出番あるならいいけど早くIS学園編まで書いてくれよ」
作者「あ、それは無理です。この後初めて戦闘シーンとか書いたり他の話も書かないといけないんで」
ワンサマ(そっと雪片弐型を構える)
作者「ま、まて。話せばわかる!交渉を!


アッーーーーーーー!!」

くだらない茶番申し訳ないです。次回も早く書けるように頑張ります。

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