そして、ついにあの子との遭遇です。
書くのを忘れてました。「」内の文は日本語で『』内の文はフランス語での会話です
彼は今、迷子である。
場所はどこかもわからない路地裏である。
地図の読み方もわからないという絶望的な状況でも彼は落ち着いていた。
「どうしましょうか、さすがに勝手に抜け出してきたので親に連絡したら...何を言われるかわからないですね。連絡したとしても寝ている場所と携帯の置いてある場所は違ったはずですし。これなら、地図の読み方も習っておくべきでした。
とりあえず現地の人を探してホテルの場所を聞くことにしましょう」
なんとも、精魂たくましい男である。
しかし、ここは路地裏。下手に歩くと土地勘がなければ迷うような現代の迷宮でもある。だが、彼はそんなことも気にせずに適当な方向へと歩き始めた。
「ここは右ですね。次は左。ここはまっすぐ進めばいいでしょう」
もし、知らない人が見たら、適当に歩いては大丈夫なのか?と思うだろう。だが、現地の人間が見れば、なぜあいつは何も知らないのに大通りへの道を的確に歩いているんだ、と言うだろう。なんと、彼は勘だけで知らない道の正規ルートを進んでいたのだった。なんとも末恐ろしい男だ。
そして、大通りへはあと一つ曲がれば出られるというところで、綺麗な金色の髪の毛の女の子がうずくまっているのを見つけてしまった。無視する人もいるだろう。最初は彼もお腹が痛いのかな?と思ってさすがに体調の悪い人に道を尋ねるのはよくないし、自分と同じくらいの子だから地図も読めないだろうと思っていた。だが、近づいていくと「ひっぐ、えっぐ」と、少女の嗚咽が交じった泣き声が聞こえた。彼は、無慈悲にも路地裏のゴールへと歩を進めてーーー
ーーーは行かず少女の前に立ち止まった。
それはそうだろう。こんな小さな女の子がうずくまって泣いているのだ。これを無視するのはクズか外道のようなやつだろう。彼は、たまたま後ろポケットに入っていた未使用のハンカチを取り出しながら、フランス語で少女に語りかけた。
『お嬢さん、泣いてるならこれをどうぞ。これを使って涙を拭いてください。そして、よろしければですが泣いてる理由も教えてはくれませんか?』
と、言ってハンカチを差し出しながら、いつも自分をジムへと連行する父の友人の言葉を思い出していた。もし、困っている人を見かけたらできるだけ助けなさい。泣いている人がいたら優しく語りかけなさい。そして、できれば泣いている理由を聞いて力になってあげなさい。いついかなる時でも紳士でありなさい、と。
彼はまさに紳士であった。
少女は、少し顔を上げるとその顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっており、目の周りには確実に泣いていたことを証明できるほど泣きはらした跡と、こすった跡が残っている。
少女は彼と差し出されたハンカチに何度も視線を往復させると、『使ってもいいの?』と、震えた声のフランス語で聞き返す。それに対して彼は、『ええ、構いませんよ』と、表情を変えることなく、とても流暢なフランス語で返した。
数分後
少女が自分のハンカチを使って顔を拭き終えると、そこには涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていた顔はなく、年相応の幼くプニプニとしてそうな顔に、ピンク色の唇、整った鼻、そして、綺麗なアメジスト色の目をしており、100人中100人全員が可愛いと答えるくらいの美少女が彼の目の前にいた。まだ、目の周りには泣いていた跡が残っているが。
『えっと、その、ごめんなさい。ハンカチを汚しちゃて』
『いえいえ、構いませんよ。それよりも、こういう時は謝るよりもありがとうとひとこと言ってくれた方が相手は嬉しいものですよ。お嬢さんのような可愛い子には特に、ね』
少女は、彼の口説き文句により顔を朱く染め上げていた。それは、先ほどまでは泣いていたから少し恥ずかしいと言う理由で朱かったのだが、彼の言葉に嬉しさと泣いていた時よりも恥ずかしくなってしまったせいである。しかも、彼は無表情ではあるが整った顔をしており先ほどの紳士のような態度と相まって、少女にはとてもかっこよく見えていたのだ。しかし、その朱さらに濃い朱にに変わることになる。
何を勘違いしたのか彼は、唐突に少女の額に自分の額を押し当てたのだった。これは前世の彼の親が五歳の頃に風邪をひいて熱を出してしまったその時に相手の額に自分の額を当てて体温を測るということをしていたのだ。それを特典によって思い出してしまっていた。そして、顔が赤くなっていた少女が熱を出してしまっているのでは、と勘違いしてしまったが故に起こってしまったのである。
『ッ〜〜〜〜」
『熱はないようですね。よかったです。それでは、泣いてる理由を話してもらってもよろしいですか?』
『は、はい。えっと、あの、その...』
『ああ、そう言えばまだ名前を言っていませんでしたね。自分の名前は
『えっと、わたしの名前はシャルロット・デュノアって言います。・・・あの、もしかしてアマシタさんって日本人ですか?』
『ええ、そうですよ。まだ五歳の日本人です』
『えっ、五歳なんですか?話し方とか丁寧だったし、身長も高いからてっきりもっと年上かと思ってました。でも、同い年って聞いてなんだか安心しちゃった』
『そうですか、それならよかったです。
では、話を戻して...どうして泣いていたか話してもらっても?』
『はい、大丈夫です。
えっと、実は、その、わたし、お父さんとあ母さんとはぐれちゃって、一人になって寂しくなってそれで......』
『ふむ、つまりは迷子ですか。自分と同じですね』
『うぅ、それは...ってアマシタさんも迷子なんですか!?』
『はい、実は言うと自分も迷子でして困っていたんですよ。地図はあるんですけどまだ読めなくて』
『そうなんですか...わたしも地図は読めなくて』
『いえ、別に構いませんよ。自分だって読めないわけですからお互い様ですよ』
彼らはお互いの自己紹介と現状確認を済ませる。そして、これから先どうすればいいかを考え始める。少し時間が経つと少女ことシャルロットの表情は先ほどの余裕もなくなってきていた。それを見た彼は彼女に一つの提案をする。
『よし決めました』
『えっと、何か決まったんですか?』
『ええ、まずはデュノアさん、あなたの両親を探すことから始めましょう』
『えっ、でもいいんですか?アマシタさんも迷子なんですし無理にわたしのために頑張らなくても......』
『ですが不安そうなデュノアさんの顔を見ていたくはないので、先にデュノアさんのお父さんとお母さんを探しましょう。大丈夫です。心配しなくてもなんとかしますから』
『本当にごめんなさい。わたしのためにこんなことをしてもらって』
『ですから、こういう時は謝るよりも感謝された方が嬉しいんですよ』
『えっと、それじゃぁ。ありがとう・・・ございます』
『どういたしまして。さあ、いきましょう』
そう言って彼はシャルロットの手を優しく握ると、大通りへの道へと歩き始めた。だが、唐突に後ろから「ぐぅ〜」という音がなる。振り返ってみるとそこには、少し俯いて頬を赤く染めたシャルロットが立っていた。携帯を確認してみると時刻はすでに正午を超えて13:30と表示されていた。
『そう言えばもうお昼でしたね。ちょうどお腹もすいてきましたし、どこかで食べてからお父さんとお母さんを探しに行きましょうか』
(コクコク)
こうして、彼らは少し躓きながらもフランスの街へと足を進めていくのであった。
自分のことはほったらかしにして
新人のイメージ
年齢 五歳
身長 120cm
体重 26kg(筋肉込みで)
インナーマッスルでしなやかな筋肉
頭髪 黒色 長さは前髪が眉毛あたりにギリギリ掛からず、後は首の真ん中くらいまでの長さ
目の色 黒 しかし光があまり宿っていない感じである
感情 希薄であまり表に出ることはない。希薄な理由は転生による欲の消失による副作用と表情筋のせいである
表情 いつも無表情。だが実際のところは表情筋が固すぎでろくに笑えなかったりするため表情を読み取るには長い歳月が必要となる
喋り方 基本敬語 女性の前ではだいたい紳士的 ときたま天然の毒を吐く
自分の呼び方
自分もしくは、僕or私
他人の呼び方
親 父さん 母さん
知り合い 苗字+さん、くん
友達や親友 名前+さん、くん
例外 下園くん
なのでまだシャルロットはまだ名前呼びにはなりません。
以上が作者のイメージする現在の新人君です。
例外の下園君に関してはいずれわかります。
ようやく、原作キャラを出せました。と言ってもまだ一人ですが。これからあと、3人くらいと出会う予定なので出会い編は少し長くなりそうです。それと、シャルロットの一人称がなぜ私なのかというとまだ原作のように男装の訓練を受けておらずただの五歳児だからです。
そして、感想を書いてくださった5O5O9eoさん(略してゴオーさん)
非ログインユーザーながらわざわざこんな小説に感想を書いていただき、ありがとうございます。
さらに、お気に入りが16人から19人になりました。新しくお気に入り登録してくださった皆様、感謝しております。
UAも1000件を超えとても嬉しい限りです
2017.1.14誤字修正、報告ありがとうございます
フランス編はあと2話で終わらせる予定です
紳士だったかなあれ?すごく心配です。