できるだけ無欲で生きていきましょう   作:タクロス

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チャイナリターン 〜弾幕と奇策〜

 

宙に浮かぶ二つの機体、一方は白を基調に金と青のアクセントをあしらった美しい機体、白式

もう一方は緑色と鋼色を半々に交えた無骨だがスラっとしたスリムな印象を思わせる機体、ラファール・リヴァイブ

それぞれの搭乗者は相対し、言葉を交わす。

 

「一年一組代表、織斑一夏、全力で戦わせてもらう。お互い手加減はなしだ」

「一年二組代表、ティナ・ハミルトン、アメリカから留学してきたわ。みんなの期待を裏切りたくないし、鈴にたくさん特訓してもらったんだから、織斑くんだろうと負けたくない」

 

黒と金、日本とアメリカ、明確な違いがあれど戦う彼らは一人の人間だ。誇りと熱意を持って互いに(銃口)を向ける。その意思は絶対に曲がらない。勝ちたいと願う。無欲な馬鹿になんてなれない。闘争本能をむき出しにして、今

 

戦いの火蓋が切って落とされた(試合開始のブザーが鳴った)

 

 

白式は初っ端からブースターを吹かせ全力で突撃をするが、ラファールは右手に物理盾を即時展開し一撃を防ぐ。しかし衝撃を殺すような技術はなく一刀の下大きく吹き飛ばされる。

PIC(パッシブ・イナー・キャンセラー)を利用して姿勢制御をしながら片手でC-50Ranzell(50発弾倉のアサルトライフル)の弾倉を空にするまで撃ち放つ。白式はハイパーセンサーで制圧射撃に対し刀身の腹で必要なものだけを捌きできるだけダメージを減らしてラファールへと再度突撃をする。

アサルトライフルを放り捨て垂直二連式のショットガンを拡張領域(バススロット)から取り出し、スラグ弾をほぼ正確に同じ位置へと放つ。白式はなおも刀身の腹で捌こうとするがほぼ同時に叩きつけられる衝撃に、一発目に耐えれても二発目に耐えれず体制が崩れ仰け反ってしまう。

ラファールはそこからさらに距離を取ると両手の武器を拡張領域へしまい、また両手に新たな武器を展開する。AA-16(対空16連装ハンドミサイルランチャー)を両手に展開し隙だらけになった白式めがけ照準を絞る。白式はロックオンアラートを一夏に大音量でかき鳴らし全力で警告する。

ロックオン完了のサインとともに引き金を引き計32発のミサイルが白式めがけて一同に飛来する。白式はブースターを全開で吹かして一度空へと逃げミサイルを引きつける。ラファールはその隙にSR-98フルメタル(スナイパーライフル)を展開して両手で抱えハイパーセンサーを頼りに固定砲台となる。

白式は引きつけたミサイルが全て背中に回ったことをハイパーセンサーで理解すると、今度は一気に急降下しミサイルもその後を追いかける。そして手に持っていた剣を放り捨てる。そして新たに拡張領域から武装を展開する。だがしかし白式には格納できるものなぞ限られている、白式とほぼ同じカラーリングで構成され、本来白式はこれしか持てないとされている武装、雪片Mk-2。それを左腰へ納刀しラファールへ瞬時加速(イグニッションブースト)で一直線に突撃する。

ラファールは突撃までに一発もカスることなく弾倉が尽きたSR-98フルメタルをまたも放り捨てる。いつのまにかフィールド(戦場)の地上部分には投げ捨てられた銃や剣やらが転がっているがそんなこと御構い無しに次の武装を展開しようとする、が瞬時加速の速度は先程までより断然違い、予想より早くこちらへと到達することを理解すると回避を選択する。

急降下してくる白式が居合い斬りを放つ直前にブースターを全力で吹かし半歩分、音を破る斬撃をなんとか回避した。

白式はラファールが回避して停止したことをハイパーセンサーで感知する。そして左から右へと降り抜かれた反動を利用し、さらに左側だけに出力を割いてブースターを瞬時加速の要領で一瞬だけ吹かせ、体の向きを180°反転させる。そして瞬時加速で距離が離れたミサイルに向けて、空いている左手で腰のスカートアーマーから括り付けたハンドガンを取り出して撃ち抜いた。

ミサイルはちょうどラファールの近くに位置していた。先頭か最尾にあった物か、それとも中間ほどに位置していたのか、どれかもわからない一つに弾丸は破裂した。

 

32のミサイルが誘爆し多大な爆発と閃光、轟音で会場を二重の意味で震わせる。ラファールは爆心地から外れてはいたものの、爆風を大きく受け壁に叩きつけられるまで吹き飛ばされていた。白式は慣性をPICでなんとか制御しようとするが抑えきれず速度を落とせぬまま地上へと叩きつけられた。

瞬時加速や今まで受けた弾丸の分に加え先程の地面に叩きつけられたことでSE(シールドエネルギー)は既に200を切っていた。叩きつけられた衝撃は鈍い痛みとなって全身にまわるがそれを何とか抑えて立ち上がる。これで骨が折れてないのだからISの絶対防御とら末恐ろしい。

ラファールは叩きつけられた壁を陥没させハマっており、そこから動く様子がない。気絶したのかもしれないが試合終了の合図はまだなってはいないのだ。トドメを刺すために白式はゆっくりとラファールへと近付こうとしたその時だった。

 

 

一筋の光が(フィールドバリアの天井)を割った


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